MAGAZINE ARTICLES
このページをホームページに登録
電磁界ソフトのユーザーにエキスパートが贈る助言
[2008年12月号] Bruce Archambeault博士は、米IBM社の有名な技術者である。IEEEフェローを務め、『EMI/EMC Computational Modeling Handbook』の著者としても知られている。博士に、電磁界解析ソフトウエアを使用するに当たっての助言をいただいた。
博士は以前、「実測を行うことによって、大いに“心の慰め”が得られるかもしれない。しかし、実際に得られる結果は時に有用なものでないことがある」と語っているが、その意味は
実測が重要であることは確かだ。しかし、正確さを期するには、常にその結果が信じられるものであるか否かを確認することが不可欠だ。シミュレーションについても同じことが言える。
差動ビアを設計する場合、どのようなシミュレーションツールを使用すればよいのか
フルウェーブシミュレータによって正確な結果を得るためには、どのようなことに気を付けるべきか
まず、シミュレーションの対象とする事柄に関し、物理的/電磁的特性の基本について理解しておかなければならない。そうした理解なしには、どのようなツールを使用しても有用な答えは得られない。
さらに、モデリングの手法によって扱える範囲や、それぞれのツールの限界も理解しておく必要がある。このような手法には多くの種類があり、ある目的においては優れていても、ほかの目的に対しては得意でないといったことがある。例えば、モーメント法(MOM:Method of Moments)は長い配線からの放射を解析する用途には優れているが、シールド効果の解析に用いるのは適当ではない。時間領域差分法(FDTD:Finite Difference Time Domain Method)や有限積分法(FIT:Finite Integration Technique)はシールド効果の解析には向いているが、長い配線からの放射の解析は不得手だ。
また、部分要素等価回路(PEEC:Partial Element Equivalent Circuit)法を用いれば、プリント配線板に関するシミュレーションのほとんどが行える。この手法は、時間領域と周波数領域の両方を扱うことができ、電源プレーン面のフルウェーブシミュレーションが可能だ。また、この手法では、L、R、Cなどの集中定数部品をフルウェーブシミュレーションに含めることができる。しかも、計算負荷がそれほど増大しない。この点がほかのフルウェーブ手法とは異なる。
将来的には、コンピュータを使って設計すれば物理学の基礎を勉強しなくても済むようになるのか
ツールのメーカーは、ある種のエキスパートシステムを使えば技術や物理に関する知識がなくても済むかのように宣伝しているが、そのようなことはあり得ない。極めて高速な回路を設計しようとするなら、電磁界の基本を理解することが必須だ。さもなければ、目隠しした状態で設計しているような状態に陥ることは間違いない。









Howard Johnson氏はSignal Consultingの学術博士。Oxford大学などで、デジタルエンジニアを対象にしたテクニカルワークショップを頻繁に開催している。ご意見は次のアドレスまで。

