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Power陣営が開発効率改善に注力、用途別の開発リファレンス環境を用意

[2008年12月号]

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図1 リファレンスアーキテクチャの例(デジタル家電機器の場合)

Power.orgは、米IBM社が開発したプロセッサアーキテクチャ「Powerアーキテクチャ」の標準化を進める業界団体である。IBM社のほか、米Freescale Semiconductor社、米Synopsys社らがメンバー企業として名を連ねている。同団体は、PowerアーキテクチャのプロセッサコアをベースとしたSoC(System on Chip)と、それを利用した組み込みシステムの開発期間を短縮することが可能な「リファレンスアーキテクチャ」を用意していく計画を明らかにした。SoCや組み込みシステムの開発に必要なハードウエアIP(Intellectual Property)やソフトウエアIPをコンポーネント化して、それを主要なアプリケーションごとにまとめる。まずは、自動車やデジタル家電機器、通信の3分野について、2009年前半にも提供を始める予定だ。

 リファレンスアーキテクチャは、PowerアーキテクチャのユーザーがSoCを開発し、それをシステムに組み込むときに必要となるハードウエア/ソフトウエアの基本部分を事前に準備し、これらを統合してエコシステムとして提供しようというもの。この基本部分をコンポーネント化して相互互換性を確保しておくことで、顧客がコンポーネントを個別に開発したり、評価したりする必要がなくなる。

 Power.orgでマーケティングコミッティのチェアを務めるFreescale社のFawzi Behmann氏は「多くのPowerアーキテクチャユーザーは、汎用的な開発環境を求めている。そうした環境がなければ、ファームウエアやミドルウエアなど、あらゆるレイヤーのソフトウエアの開発を独自に行わなければならない。それに対し、われわれが提供するリファレンスアーキテクチャを利用すれば、ユーザーはそれぞれ個別にソフトウエアを開発/検証する必要がなく、トータルの開発コストが抑えられる。そして、開発の期間も短縮できて、ユーザーはROI(投資収益率)を確保することが可能になる」と説明する。

 Power.orgで準備を進めているリファレンスアーキテクチャの一例を図1に示す。これはデジタル家電機器向けのものだが、OSや通信/インターフェース用ミドルウエアからアプリケーションソフトウエアの領域まで幅広くサポートしている。リファレンスアーキテクチャの開発には、Power.orgに参画しているコアメンバー企業35社やディベロッパ企業2000社がそれぞれの立場でかかわっている。また、関連するユニークな技術を保有する企業であれば、メンバーでなくとも参加することができるという。Behmann氏は「組み込み型マルチコアプロセッサにおける仮想化技術など、Power.orgでまだ仕様が固まっていないものもあり、今後早急に規格化していきたい」としている。


Power.orgでマーケティングコミッティのチェアを務めるFawzi Behmann氏(左)と同CTOのKaveh Massoudian氏(右)

 また、Power.orgのCTO(最高技術責任者)を務めるIBM社のKaveh Massoudian氏は「Powerアーキテクチャのプロセッサを搭載した商品を早く市場に投入していくためには、SoCや組み込みシステムに必要なハードウエアIPやソフトウエアIPなどをコンポーネント化していくことが重要だ。機能IPをブロック化してSoCに組み込めるようにするとともに、ソフトウエアとも連動したリファレンスアーキテクチャとして統合を進めていく」と述べた。ソフトウエアの開発環境だけでなく、ハードウエアに関してもSoC設計に必要なIPコアのコンポーネント化を進めているという。その上で、ユーザーの要求などに基づいて、リファレンスアーキテクチャのカスタム化や最適化を推し進めるために、主要なアプリケーションごとに機能を絞り込んで提供していくことにした。

 ターゲットとする応用分野についてBehmann氏は「通信や自動車など、Powerアーキテクチャのシェアが高い分野はもちろん、デジタル情報家電機器、ルーター/スイッチ、ハイパフォーマンスコンピューティング、航空宇宙、産業機器、医療機器などの分野を考えている」と述べた。その中でも自動車やデジタル家電機器、通信の3分野を最優先としていく方針だ。

 Power.orgは、これまでは、命令セットアーキテクチャの標準仕様や内部バスの設計、およびこうした技術の普及などを中心に活動を行ってきた。今回のリファレンスアーキテクチャの整備によって、Powerアーキテクチャの市場拡大に弾みをつけたい考えである。

(馬本 隆綱)



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