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ルネサス、カーナビ用デュアルコアの量産は65nmで

[2008年10月号]

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 ルネサス テクノロジは2008年8月、カーナビなど車載マルチメディアシステム向けで、最大1920MIPS(1MIPSは1秒当たり100万命令)の処理能力を持つデュアルコアプロセッサ「SH7786」の65nmプロセス品を開発したと発表した。2008年10月からサンプル出荷を開始する。サンプル価格は8000円。2009年12月から月産5000個で量産を開始し、2012年4月には月産20万個にまで量産規模を拡大する計画である。

写真1 ルネサス テクノロジ 自動車事業部長の三木務氏
写真1 ルネサス テクノロジ 自動車事業部長の三木務氏

 ルネサスの自動車事業部長を務める三木務氏(写真1)は「SH7786として、一部の顧客向けに開発した90nmプロセス品を先行して発表していたが、今回の65nmプロセス品が量産モデルになる。当社のカーナビ用マイコンのシェアは、国内で80%、世界全体でも60%と高く、SH7786から始まるマルチコア技術の導入により、この高いシェアの維持/拡大に努めたい」と語る。

 今回発表したSH7786の65nmプロセス品は、32ビットRISC CPUコア「SH4-A」を1チップ上に2個搭載しており、動作周波数533MHz時における処理能力が1920MIPSである点など、基本性能は2008年1月に発表した90nmプロセス品とほぼ同じである。65nmプロセス品では、メモリーインターフェースをDDR2 SDRAM(Double-Data-Rate 2 Synchronous DRAM)から、より高速なデータ転送が可能なDDR3 SDRAMに変更するとともに、外部機器との接続に用いるPCI Express(PCIe)インターフェースの数も2系統から3系統に増やした(図1)。また、65nmプロセスの採用により、90nmプロセス品に比べて消費電力が低減した。消費電力をどの程度低減できたかについては明示していないものの、「65nmプロセス品であれば、SH7786の機能を100%使い切ったとしても消費電力を5W以下に抑えられる」(ルネサス)という。

図1 65nmのSH7786を利用したシステム構成の例
図1 65nmのSH7786を利用したシステム構成の例
90nmプロセス品と比べて、メモリーインターフェースはDDR3 SDRAMとなり、PCI Expressインターフェースが2系統から3系統に増えている。


 今後の量産展開に向けて、対応OSについても紹介した。SH7786は、1つのOS内で行われるアプリケーションの処理を動的に分散して各コアに処理を割り当てるSMP(対称型マルチプロセッシング)構成と、各コアにOSを割り当てて独立に処理するAMP(非対称型マルチプロセッシング)構成という、2つの並列処理方式に対応しているが、SMP構成で運用する場合には、OSがマルチコアプロセッサに対応している必要がある。これまでは、90nmプロセス品の発表時にリアルタイムOSのマルチコア対応が進んでいなかったこともあり、同社が独自に開発したLinuxベースのマルチコア対応OSを利用していた。しかし、今回の65nmプロセス品の発表に合わせて、カナダQNX Software Systems社が、同社リアルタイムOS「QNX Neutrino RTOS」をSH-4Aマルチコアに対応させると発表しており、開発ツールとして「QNX Momentics」も利用できるようになった。また、ルネサス自身も、マルチコアマイコン用のオンチップデバッギングエミュレータ「E10A-USB」を中心としたハードウエアベースの統合開発環境を2008年末までに投入する予定である。さらに、SH-4AマルチコアにおけるAMP構成での運用に対応したμITRONを提供する準備も進めるなど、周辺環境の整備に余念がない。

 また、SH7786では、マルチコアを利用した機能分散型システムにおいて、異なる特性や機能を持つ個々のシステムである「ドメイン」を連携させる「EXREAL-ExARIA」や、複数ドメインのOS間の干渉を抑止(ドメインの分離)する「EXREAL-ExVisor」を採用している(図2)。これらのうち、ドメイン分離を担うEXREAL-ExVisorは物理層としてチップ内に実装されている。それに対し、ドメイン連携を行うEXREAL-ExARIAでは、ハードウエアとしてはコア間で通信/同期を実現するためのインターフェースが用意されており、ソフトウエアによって実際の連携処理を実現することになる。そのソフトウエアを開発するためのツールは、2009年度後半から提供する予定だ。

図2 ドメイン分離とドメイン連携の概念図
図2 ドメイン分離とドメイン連携の概念図


 三木氏は、ルネサスにおける今後の車載半導体の事業目標についても触れた。「当社車載半導体の2007年の世界シェアは、マイコンが16%で第2位、マイコンを含む半導体全体では6%で第4位となっている。近い将来、マイコンで25%、半導体全体で10%のシェアを獲得して、いずれもトップに立ちたい。そのためにも、海外での売り上げを伸ばす必要がある」(三木氏)という。具体的な施策としては、車載用マイコンの海外専任営業/技術サポート部門の人員を、2007年比で30%増となる約150人にまで増やした。また、エンジンやトランスミッションなどパワートレイン用のマイコンの海外展開を強化するために、「グローバルパワートレイン開発センタ」を2008年1月に新設した。同センターでは、2011年以降の製品採用を目標に、次世代パワートレイン用マイコンのマーケティング/開発に注力している。

(朴 尚洙)



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