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用途が広がるFPGA、
ESECでザイリンクス製品の応用例が多数展示

[2008年07月号]

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 2008年5月14~16日に東京ビッグサイトで開催された『第11回 組込みシステム開発技術展(ESEC)』では、FPGAを応用したアプリケーションが数多く展示された。ここでは、ザイリンクスのFPGAを利用した展示をいくつかピックアップして紹介する。

LTEのベースバンド処理を実演
図1 ザイリンクスの「FX70T」の評価ボード
図1 ザイリンクスの「FX70T」の評価ボード
LTEベースバンド処理に用いられたFX70T評価ボード。ベースバンド処理により変調されたデータは、ケーブルによってFPGAの外部にいったん出力され、再度、同じFPGAに入力される。ケーブルを伝わる信号は、同社の高速シリアルインターフェース「Aurora」によって伝送される。

 ザイリンクスは、次世代携帯電話の通信規格である3GPP LTE(long term evolution。以下、LTE)のベースバンド処理をFPGAに実装し、それを動作させるデモを同社のブースで展示した。そのデモは、1台のパソコンと1枚の評価ボード(図1の「FX70T」)で構成される。この評価ボードには、同社の「FX
70T」が実装されている。パソコンから送信されたビデオストリーミングを、FPGAを用いてI/Qデータに変調/復調して、再びパソコンに戻すというものである。

 FX70Tは、FPGAにプロセッサコア「PowerPC 440」を集積する「Virtex-5 FXTファミリ」に属する製品である。このFX70TにLTEのダウンリンクの変調で要するターボ符号処理と逆FFT(fast fourier transform)処理を行う回路を実装し、さらにその復調を行う回路が実装されている。ターボ符号処理はエラー訂正を実現するためのもの。逆FFTは複数のサブキャリアとして変調されたデータを時間軸の信号に変換するための処理だ。LTEのベースバンド処理は負荷が大きいものだが、このデモによってFPGAで実行できることを実証した。

CTスキャン向け信号圧縮技術
 リアルタイム信号圧縮技術のIPベンダーである米Samplify Systems社は、CTスキャン向け信号圧縮/伝送技術の展示を行った。これは、同社とスリップリング(CTスキャンにおいて、被写体の周囲を回るガントリ内部に使用され、固定部と回転部の電気的な接続を図るもの)メーカーであるドイツのSchleifring und Apparatebau社が、ザイリンクスのFX70Tを使用したPCI Express評価ボード「TB-5V-FX70T-PCIEXP」(東京エレクトロンデバイスが提供)を用いて開発したもの。CTスキャン内のX線検出器から得られた10ギガバイト/秒を超える帯域幅のデータをリアルタイムに圧縮し、6.5ギガバイト/秒以下の帯域幅に低減してスリップリングを通じてシリアルインターフェースで伝送する技術である。

 次世代のCTスキャンでは、高解像度化のために数千個のX線検出器が配置され、その検出器のA-Dコンバータの高精度化が進むと考えられている。その際のボトルネックネックの1つとして挙げられるのが、スリップリングを経由した伝送帯域の狭さだ。Samplify Systems社の技術によって、スリップリングを経由した広帯域幅のデータ伝送が可能になり、CTスキャンの撮影画像の高解像度化が実現できるという。

 Samplify Systems社のリアルタイム信号圧縮技術は、ロスの生じない圧縮方式により元のデータを1/1.8~1/2に圧縮できるというものである。また、圧縮に要する時間が短く、遅延が少ないという利点もある。FPGA各社向けのIPコアとして提供されている。

マルチコア/マルチOSの実現
図2 ウェルビーンの「マルチコア/マルチOS開発環境」
図2 ウェルビーンの「マルチコア/マルチOS開発環境」
開発環境に実装されたFPGAに複数のプロセッサコアが組み込まれている。それらのプロセッサコア上で仮想マシン「WB-VRT」が稼働しており、同時に複数のOSを実行できる。

 ウェルビーンは、「マルチコア/マルチOS開発環境」と仮想マシン「WB-VRT」を展示した(図2)。

 前者は、1個のFPGA「Virtex-5 SXT」や4組のギガビットイーサーネット/UART(universal asynchronous receiver transmitter)インターフェース、2つのディスプレイ出力などが実装された基板として構成されている。Virtex-5 SXT上に複数個の32ビットプロセッサコア「MicroBlaze」が組み込まれており、マルチコアプロセッサ環境を実現している。

 一方、仮想マシンのWB-VRTは、リアルタイムOSであるμITRONに仮想マシンモニター機能を組み込んでカスタマイズされた「μITRON Kernel with VMM」と、それの上で動作する仮想マシンのタスクである「VMM Task」、マルチコア/マルチOS開発環境用のBSP(board support package)である「VMM BSP」で構成されている。ホストOSであるμITRON上で、ゲストOSであるLinuxを1つのタスクとして動作させることが可能となっている。これらによって1つの基板上で複数個のOSを起動することができる。用途としては、IT分野において複数のサーバーを1つに集約することや、組み込み分野においてリアルタイムOSとリッチなGUI(graphical user interface)を備えたOSを機器上で統合することなどが考えられるという。

 このデモでは、リアルタイム制御とリッチなGUIの同時実行をアピールするために、μITRONのタスクがA-Dコンバータに直接アクセスして8kHzサンプリングのステレオオーディオ信号を再生し、別のタスクでLinuxを動作させていた。

(小野 明久)



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