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予防安全を実現する車載センシング技術
——『人とくるまのテクノロジー展2008』から
[2008年07月号]
昨今の自動車の最新モデルには、事故発生そのものを防ぐ予防安全技術につながる新機能が採用されていることが多い。ミリ波レーダー、レーザーレーダー、カメラなどを使ったセンシング技術が、これらの機能に応用されている。ここでは、2008年5月21日から23日まで、パシフィコ横浜で開催された『人とくるまのテクノロジー展2008』における展示の中から、2008年発売の新車に採用された技術を中心に紹介する。
ステレオカメラだけで予防安全
図1 EyeSightのステレオカメラモジュール
EyeSightは、30万画素のモノクロCCDセンサーを2個搭載するステレオカメラと、カメラ画像を基に前方の車両や歩行者などを3次元で認識する専用ASICにより、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報、クルーズコントロールなどの機能を実現している。通常、これらの機能のセンシングには、ミリ波レーダーやレーザーレーダーが使用されるが、ステレオカメラだけで実現したことが最大の特徴である。「カメラ画像の場合、レーダーと比べて雨や霧などの外乱要因に強く影響されるため、周辺環境に影響されない認識性能を実現するための調整が最大の課題だった」(同社)という。量産化は、日立製作所が担当した。完全な新規技術だったこともあり、富士重工業による技術開発終了から量産化まで約4年を必要とした。
図2 スズキのドライバーモニタリング技術
ドライバーの顔の向きと視線を検出することにより(右下)、前方カメラ画像の赤い丸の部分を見ていることを認識する。
スズキは、慶応大学と共同開発しているドライバーモニタリング技術を展示した。
現行の量産車で採用されているドライバーモニタリング技術は、カメラ画像からドライバーの特徴点を2次元的なパターンとして抽出する。それに対し、スズキと慶応大学の技術では、複数のカメラを使って特徴点を3次元的なパターンとして認識する。さらに、時系列でパターン認識を行う「パーティクル・フィルタ」と組み合わせることで、顔の向きと視線を同時に検出できるようになる。展示では、2台のカメラでドライバーから9つの特徴点を取得し、車両前方のカメラ画像のどこを見ているのかを示す、最新の研究成果を紹介した(図2)。
認識対象データのベクトル化
図3 デンソーのイメージマイニング技術
一般的な画像認識では、認識対象のパターン画像を準備しておき、取得した画像に対するパターンマッチングを行う。この方法を自動車の安全機能に利用する場合には、認識対象の拡大、縮小、回転の影響を避けるために、1つの対象物に対して複数のパターンを用意する必要がある。それに対し、イメージマイニング技術では、認識対象のデータをベクトル化することで、通常のパターンマッチングに比べて準備すべきパターン画像数を大幅に減らすことができる。展示では、群集の写真をジグソーパズルのように分割した個別のピースをカメラで認識し、そのピースの向きにかかわらず群集の写真のどの部分に当たるかを瞬時に示すデモンストレーションが行われた。
アイシン精機は、2008年2月発売の新型「クラウン」に採用された「スマートハンドル」を展示した。静電容量式のタッチセンサーを利用することにより、ハンドルの後ろに触れるだけで開錠し、ハンドル上部のくぼみに触れるだけで施錠が行える。「ロックボタンがなくなったので、クラウンに見合う高級感のある外観を実現できた」(同社)という。ドライバーの確認を行うためのスマートキーとの通信用アンテナ、開錠/施錠を行うための静電容量センサー、センサー検出回路をハンドル内に実装することで、性能の向上とコスト低減を図っている。
(朴 尚洙)











