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MID向け事業の強化を図るARM社、
ソフトウエアサポートとGPUが2つの柱

[2008年07月号]

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 英ARM社は、MID(mobile internet device)などのインターネット対応機器に向けた事業を強化していく。そのために、ウェブブラウザなどを提供するソフトウエアベンダーとの連携を強化し、ARMプロセッサ上で動作する関連ソフトウエアを充実させる。また、ARMプロセッサと組み合わせて使うグラフィックスプロセッサ「Mali」のシリーズ展開も同時に進めていく。

 MIDとは、インターネットに常時接続でき、パソコン並みの機能とパフォーマンス、携帯電話機並みの可搬性と低消費電力をコンセプトにした商品である。ARMプロセッサを搭載した製品の中では、フィンランドNokia社の「N810」や米Apple社の「iPod touch」などがMIDと呼ばれている。両製品の形態は大きく異なるが、いずれもインターネットへの接続機能を備えている。

 ARM社マーケティング部門のバイスプレジデントを務めるIan Drew氏は、「ARMアーキテクチャのプロセッサを搭載したモバイル機器を使って、フル機能のインターネット接続を体験することが可能となれば、その市場は急速に成長するだろう。そして、新たなインターネットユーザーを生み出すことができる」と語る。

 こうした中で米Adobe Systems社は、2008年5月にFlash技術のオープン化を進めるための「Open Screen Project」を発表した(図1)。このプロジェクトでAdobe社は、Flash Playerの次世代製品ではx86アーキテクチャとARMアーキテクチャのプロセッサを同時にサポートしていくことを表明している。こうした動きについて、ARM社のDrew氏は次のように語る。

図1 Open Screen Projectのホームページ
図1 Open Screen Projectのホームページ
このプロジェクトでは、Flash技術のオープン化を進めている(http://www.adobe.com/openscreenproject/)。ARM社も参加企業に名を連ねる。


 「ARMプロセッサがAdobe社のサポートを受けられることになったので、MID向けの事業を展開していく上での大きな障害が1つなくなった。Adobe社をはじめとするソフトウエア企業/団体と協力していけば、ARMプロセッサを搭載した多くの機器でインターネットを体験できるようになる」。

 オープンソースコミュニティである米Mozilla Foundationとの連携もその一例である。この連携により、ウェブブラウザ「Firefox」がARMプロセッサ向けに最適化された。その結果、ARM用に最適化されていない従来のFirefoxをARMプロセッサ上で動作させた場合に比べて、「そのパフォーマンスは6倍向上した。これはノート型パソコンで利用した場合と同等のスピードである」とDrew氏は語る。また、ARMプロセッサを搭載するNokia社の携帯端末は、米Microsoft社のウェブブラウザのプラグイン「Silverlight」もサポートしている。ARMプロセッサベースの機器でも、ウェブブラウザの利用環境はパソコンと近い状況となりつつある。

 さらにDrew氏は「当社にとって大切なのは、当社製品に対応したソフトウエアが幅広く展開されることだ。つまり、エンドユーザーが望むソフトウエアを選択できるようにする。OSについても同様なことが言え、WindowsにもLinuxにもSymbian OSにも対応できなければならない」という。

マルチコアGPUでMID対応
 ARM社は、ARMプロセッサにかかわるソフトウエア展開に加えてグラフィックスソリューションの提供にも力を入れる。その中核となるのがグラフィックスプロセッサ(GPU)コアのMaliである。同GPUは、この2年間でスウェーデンEricsson社やオランダNXP Semiconductors社、スイスMicronas社、米Zoran社など11社にライセンスされた。すでに同GPUが搭載されたアプリケーションとしては、携帯電話機、セットトップボックス(set top box)、車載ナビゲーションなどがあるが、そのほかに、MID製品も出荷されている。

 ARM社でビジネス開発ディレクタを務めるBorgar Ljosland氏は「当社は常にアプリケーションを意識しながらプロセッサコアを開発し、同時にその処理に必要となるソフトウエアも用意してライセンスする。そして、その機能をハードウエアアクセラレーションに進化させていく」と述べる。

 GPUの用途として同社がフォーカスしているのは家庭用ゲーム機器「プレイステーション3」相当の体験ができる「3Dゲーム」と「ナビゲーション」、「ブラウザ/UI(user interface)」の3つの領域だ。これらのうち、ナビゲーションではブレンディングや高品位のスムースエッジ、ブラウザ/UIでは画像の高速レンダリングとズーミング、テクスチャマッピング、画像の拡大/縮小などのグラフィックス処理機能を提供する。

 ARM社はMaliファミリのハイエンド製品として「Mali-400MP」を2008年6月に発表した。最高で毎秒1ギガピクセルの処理性能を実現する。また、アプリケーションによって、フラグメントプロセッサと呼ぶコアを1~4個まで任意に内蔵することができる。消費電力のさらなる低減に加えて、メモリー帯域幅、スケーラビリティなどが従来に比べて改善されている。Maliファミリとしては、2007年2月に「Mali55」と「Mali200」を発表しているが、Mali-400MPの追加により、Maliファミリはスマートホンから1080p対応のデジタルテレビまで、幅広いグラフィックスソリューションを提供することが可能となった。

(馬本 隆綱)

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