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ΔΣ型A-Dコンバータの要点
(その4)
[2008年07月号]
図1 デシメーション比と有効ビット数の関係
(a)、(b)は変調器出力における信号とノイズの周波数分布を表す。この図から、出力データレート(FD)がオーバーサンプリングレート(FS)に対して相対的に高くなると、出力に含まれるノイズの量が増えることが理解できる。(c)は、こうした結果として得られた有効ビット数とデシメーション比の関係を表したものである。
どのようなA-Dコンバータであれ、分解能は、A-D変換の結果得られるデジタルデータのビット数になる。ここで重要なのは、分解能と精度は同義ではないということだ。A-Dコンバータの出力において、ノイズの影響を含めて実質的に得られる精度は、「有効ビット数」と呼ばれるビット数換算の値で定義されることがある。ΔΣ型A-Dコンバータの有効ビット数は、変調器のオーバーサンプリングレート(FS)と、本来のサンプリングレートである出力データレート(FD)との比率、すなわちデシメーション比によって決まる。このデシメーション比は、本来のサンプリング周波数と変調器でのサンプリング周波数の比であるオーバサンプリング比の逆数だと言い換えることができる。オーバーサンプリング比は、一般的に4~32768程度の範囲の値をとる。
図1に示す周波数分布を考えてみよう。今、出力データレートFDが変調器のオーバーサンプリングレートFSに比較してはるかに低いとする(図1(a))。信号成分は周波数0Hz~FDまでの範囲にあるわけだが、この条件であれば、出力データのノイズ成分に埋もれて精度が劣化することはない。言い換えると、この条件であればノイズレベルが低いので有効ビット数は高くなる。一方、図1(b)に示すように、出力データレートFDがオーバーサンプリングレートFSに対して相対的に高い場合には、周波数0Hz~FDの間に含まれるノイズが多いことになり、有効ビット数が減少する。変調器の出力に含まれるノイズの大半が高周波領域に追いやられていても、FDが相対的に高ければその効果が得られないということだ。このようなデシメーション比と有効ビット数の関係は図1(c)のように表せる。
有効ビット数を減らすことなく出力データレートを増大させる1つの方法は、変調器のオーバーサンプリングレートを上げることである。これは、ΔΣ型A-Dコンバータのマスタークロック周波数を上げれば実現可能なことではある。ただし、それに伴って、消費電力が増大するという問題が出てくる。また、ほとんどのΔΣ型A-Dコンバータは、正常動作が可能なサンプリングレートに限界がある。
図1(c)に示すように有効ビット数はデシメーション比に大きく依存する。オーバーサンプリングレートを上げることなくデータレートを低く保ってデショメーション比を高くすれば、ΔΣ型A-Dコンバータの有効ビット数は向上する*1)、*2)。
脚注
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Bonnie Baker氏は「A Baker's Dozen: Real Analog Solutions for Digital Designers」の著書などがある。Baker氏へのご意見は、次のメールアドレスまで。

