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デジタルテレビ用のフルデジタルアンプIC、
負帰還制御回路を内蔵した製品は業界初

[2008年04月号]

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 日本テキサス・インスツルメンツ(以下、日本TI)は2008年2月、20Wステレオ出力のフルデジタルアンプIC「TAS5706」を発表した。デジタルテレビ市場を主なターゲットとする。パッケージは10mm×10mmのQFPまたはSMT。100個購入時の単価(参考価格)は5.46米ドル。

 一言でD級アンプといっても、その実現形態は大きく分けて2種類ある。アナログ入力型のD級アンプ(図1)とデジタル入力型のD級アンプ(フルデジタルアンプ)である(図2)。D-Aコンバータからのアナログ信号を受け取るアナログ入力型に対し、フルデジタルアンプでは、I2Sフォーマットのデジタルデータを直接入力することができる。実装面積や部品点数に対する要求が厳しいデジタルテレビにおいては、フルデジタルアンプは魅力的な存在だが、音質の面で1つの問題があった。

図1 アナログ入力型のD級アンプ
図1 アナログ入力型のD級アンプ
 
図2 デジタル入力型のD級アンプ
図2 デジタル入力型のD級アンプ


 D級アンプを用いる場合、通常は、MOSFETを用いたパワーアンプ部の電源電圧変動や、Hブリッジ回路のスイッチング特性、デッドタイムといった音質の劣化要因を解消するための負帰還制御回路を設けることになる。電源電圧の変動を例にとると、PWM制御では、パワーアンプ部の電源電圧とパルスのデューティ比の積で出力電力が決まるので、電源電圧が理想状態から外れると音質が劣化してしまう。そのため、パワーアンプ部の電源電圧が変動したらそれを検出し、PWM信号のデューティ比を変動させるといった負帰還制御が必要になるわけだ。

 アナログ入力型のD級アンプでは、この負帰還制御回路を実現することは比較的容易である。それに対し、フルデジタルアンプでも一般的に考えられる実現手段がないわけではないが、専用のA-Dコンバータを内蔵する必要が生じてチップ自体のコストが増加したり、制御系の応答時間の問題が発生したりすることから現実的な解とは言えなかった。また、パワーアンプ部の電源電圧が安定していれば上述したことは問題にならないが、その安定した電源回路の実現にはコストがかかり、「デジタルテレビの分野では、最適な解決策だとは言えない」(日本TI)という。

 TAS5706の最大の特徴は、上述した負帰還制御回路を比較的低コストな手段で実現したことである。パワーアンプ部の出力とその前段のPWM回路の比較を行い差分を制御系にフィードバックするという基本的な仕組み以上は明かさなかったが、このような回路を内蔵したフルデジタルアンプは「業界初」(日本TI)だという。同社は、安価な電源を利用した場合について、負帰還回路を持たない製品とTAS5706との比較評価を行った。その結果、図3に示すような特性が得られているという。

図3 安価な電源を用いた場合の特性比較
図3 安価な電源を用いた場合の特性比較

 なお、TAS5706は、小規模なDSPを搭載しており、7バンドのスピーカ補正用イコライザやダイナミックレンジコンプレッサ、デジタルボリュームなどの機能が利用できる。

(飴本 健)

連絡先:プロダクト・インフォメーション・センター(PIC)、:http://www.tij.co.jp/pic/




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