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TEC素子を用いた温度調整回路を単極駆動
[2008年04月号]TECの問題点は正負両極の駆動を要することで、そのために駆動回路の設計が複雑になる。所望の方向に熱が伝わるようにTECの駆動方向を切り替えるには、デュアルの両極電源、あるいはパワートランジスタで構成したHブリッジ型の出力回路が必要となる。本稿では、そうしたデュアル電源や複雑な両極駆動回路が不要なTEC駆動回路を紹介する。その回路は、電力効率よりも回路構成の簡素化が重視される用途に適している。
本稿の回路では、すべてのTECが備える特性を利用する。その特性とは、駆動電流を増大させていくと、TEC内での熱特性が逆転するというものである。TECでは、冷却能力が最大になる駆動電流IMAXが規定されている。IMAXを基準とする駆動電流に対し、吸熱/発熱により発生する温度差をプロットすると、図1に示すような放物線形状となる。左側の灰色部分はTECが双方向特性を示す領域である。通常はこの領域でTECを利用する。その駆動電流Iは、
-0.5×IMAX<I<IMAXの範囲となる。他方、右側の白色部分が本稿の例で利用する領域である。この領域では一方向に流れる電流によって加熱/冷却の両方の温度変化が得られる。この領域での駆動電流Iは、IMAX<I<2.5×IMAXの範囲となる。この領域でTECを動作させれば、複雑な両極駆動回路を用いずに、温度を両方向にコントロールできる。
図1 TECにおける駆動電流と温度変化の関係
駆動電流が増えると、一方向の電流で加熱と冷却が可能になる。横軸は駆動電流の量を表し、その値は通常の使用法において冷却能力が最大になる電流IMAXを基準としている。
この考え方を具体化した温度調整回路が図2である。この回路は高性能なPID(proportional integral derivative:比例積分微分制御)フィードバック回路として構成している。部品点数は通常の両極駆動回路の1/4以下で済み、安定かつセトリング時間も短い。
図1から明らかなように、この回路の欠点は駆動電流が大きいことである。通常の両極駆動回路における電流の約1.5倍程度になるはずだ。そのため、ここで紹介した方法は、消費電力と発熱に対する要求が厳しくない用途や、小型のTECを利用する場合に適している。
図1から明らかなように、この回路の欠点は駆動電流が大きいことである。通常の両極駆動回路における電流の約1.5倍程度になるはずだ。そのため、ここで紹介した方法は、消費電力と発熱に対する要求が厳しくない用途や、小型のTECを利用する場合に適している。
図2 単極駆動の温度調整回路
PIDフィードバック回路によりTECを単極で駆動し、対象デバイスの温度を安定化する。
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