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ルネサス、カーナビ向けに
1920MIPSのデュアルコアプロセッサを開発

[2008年03月号]

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 ルネサス テクノロジは2008年1月、ハイエンドのカーナビゲーションシステムのような高性能マルチメディア機能を備える車載情報機器向けに、デュアルコアプロセッサ「SH7786グループ」を開発したと発表した。CPUコア「SH-4A」を2個集積し、533MHz動作時に最大1920MIPS(100万命令/秒)の処理能力を実現する。すでに90nmプロセス品を複数の特定顧客向けにサンプル出荷している。現在、低消費電力技術を適用した65nmプロセス品を開発中で、2008年10月にサンプル出荷する予定だ。今後は、同社が2005年から展開してきた「SH-Naviシリーズ」のように、画像処理機能なども追加したカーナビ用SoCのデュアルコア版を2009年度のサンプル出荷を目標に開発を進める。次世代の製品として、4個のCPUコアを持つ製品なども計画している(図1)。

図1 SH-4マルチコアプロセッサ開発のロードマップ
図1 SH-4マルチコアプロセッサ開発のロードマップ
中央の「SH778X」が、今回発表された「SH7786」に当たる。「RP1」は、「CEATEC JAPAN 2007」などで展示されたクワッドコアの試作品で、「SH-NaviY」は、2009年度サンプル出荷を目指すカーナビ用SoC。


 SH7786グループは、SH-Naviシリーズなどでカーナビ向けに高い実績を持つ32ビットRISC CPUコアSH-4Aを1チップ上に2個搭載する。今回は、新規にマルチコア対応のためのコアアーキテクチャを採用することで、1つのOS内で行われるアプリケーションの処理を動的に分散して各コアに処理能力を割り当てるSMP(対称型マルチプロセッシング)構成と、各コアにOSを割り当てて独立に処理するAMP(非対称型マルチプロセッシング)構成という、2つの並列処理方式の動作に対応した。また、各CPUコアで独立に、クロック周波数と低消費電力モードを設定することが可能であり、負荷変動に応じて消費電力を最小化することもできる。

 CPUコアのSH-4Aは、単独で533MHz動作時に960MIPSの処理能力を持ち、それを2個搭載するSH7786グループの処理能力は最大1920MIPS。内蔵する浮動小数点演算器の能力は、単精度で最大7.46GFLOPSを実現する。これは、同社が2007年5月に発表した600MHz動作のSH-4Aシングルコアカーナビ用プロセッサ「SH7785」の処理能力である1080MIPSを大きく上回る。消費電力は明らかにしていないが、「動作周波数を533MHzとしたのは、65nmプロセス品での消費電力を5W以下に抑えるため」(同社)とコメントしている。

 また、マルチコアデバイスを使用した機能分散型システムにおいて、異なる特性や機能を持つ個々のシステムである「ドメイン」を連携させる「EXREAL-ExARIA」や、複数ドメインのOS間の干渉を抑止(ドメイン分離)する「EXREAL-ExVisor」を適用した。これにより、既存のSH-4Aシングルコア用に開発した多くのソフトウエア資産をそのままデュアルコアのSH7786グループのシステムに流用することが可能になり、システム開発期間の短縮や、複数の異なる種類のOS動作時の高信頼性を実現できる。さらに、オンチップデバッグ機能としてH-UDI(user debug interface)機能、AUD(advanced user debugger)機能を搭載しているため、最大動作周波数でのリアルタイムデバッグとリアルタイムトレースが可能であり、顧客のソフトウエア開発負担を軽減できる。

 SMP構成に対応するため採用したスヌープコントローラを経由してCPU内蔵キャッシュの更新データを各コア間でやりとりすることで、キャッシュのコヒーレンシ(一貫性)が維持できるので、ソフトウエア処理の高速化が実現される。また、命令取り出し時に高速アクセスできるRAMを8Kバイト、データアクセス時に高速アクセスできるRAMを16Kバイト、各CPUコアに搭載しており、これらのRAMに例外処理プログラムなどを格納することで、システムのリアルタイム性能の向上も図れる。パッケージサイズは、90nmプロセス品で27mm角となっている。

 現在、カーナビなどの車載情報機器では、多機能化、高性能化が進んでおり、地図描画に用いられる3Dグラフィックス表示、地上デジタル放送などのAV機能に加えて、今後は、画像認識などの安全にかかわる情報処理も組み込まれる。そのため、さらなる高性能マイコンが求められている。一方で、車載機器は低消費電力性能への要求が厳しいことから、今後の高性能化はマルチコアが本命とされていた。2007年10月にはNECエレクトロニクスが、英ARM社と共同開発したマルチコア技術「MPCore」に基づくCPUコアを4個搭載し、処理性能が1920MIPSという「NaviEngine」を発表している。ルネサス テクノロジは、車載マイコンでは国内トップシェアで、特にカーナビ用では、国内80%、グローバル60%と高いシェアを占めることから、その対応が注目されていた。

(朴 尚洙)

連絡先:マイコン統括本部 自動車事業部 自動車応用技術第二部、03-5201-2952



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