Pulse

Rambus社が1テラバイト/秒の
メモリー帯域幅を目指した新技術を発表

[2008年01月号]

この記事を :  印刷する プリントする ブックマーク  はてなブックマークに登録 この記事をクリップ! Buzzurlにブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 メールで送る メールで送る
図1 1テラバイト/秒のメモリー帯域幅を実現するメモリーアーキテクチャ
図1 1テラバイト/秒のメモリー帯域幅を実現するメモリーアーキテクチャ
 
写真1 16ギガビット/秒のデータ帯域幅を備えたメモリーインターフェースのデモ用ボード
写真1 16ギガビット/秒のデータ帯域幅を備えたメモリーインターフェースのデモ用ボード

 米Rambus社は2007年11月、1テラバイト/秒のメモリー帯域幅の実現を目指した技術戦略「テラバイト・バンド幅イニシアチブ(terabyte bandwidth initiative)」を発表した。1リンク(差動シグナルペア)で16ギガビット/秒のデータ帯域幅を備え、そのリンクを32個備えたメモリーICを16個使用することによって1テラバイト/秒(16ギガビット/秒×32リンク×16個=8192ギガビット/秒)のメモリー帯域幅を実現しようというものである(図1)。同社は、これを実現するための要素技術である1リンク当たり16ギガビット/秒のデータ帯域幅をすでに実現しており、発表会場でそのデモンストレーションを行った(写真1)。これは65nmのプロセス技術を用いたメモリーコントローラICとDRAMエミュレータICによって構成されており、リンクの電圧振幅はシングルエンドで75mV、差動シグナルペアで150mVだという。ただし、この電圧振幅は同社従来規格「XDR DRAM」と同様に可変とする仕様になる見込みだ。主に、次世代のゲーム機やマルチコアプロセッサ、グラフィックスプロセッサなどのメモリーインターフェースとしての採用を目指す。

 Rambus社は、1テラバイト/秒のメモリー帯域幅を実現する要素技術として、「32×データレート」と「FlexLink C/A」の2つを挙げた。

 32×データレートとは、クロック(マスタークロック)周波数に対して、データ信号の周波数を32倍高速化してデータ転送を行う仕組みのことである。これは、メモリーとメモリーコントローラそれぞれのIC内部でPLL(phase locked loop)によってマスタークロックの32倍のクロックを生成し、そのタイミングを基にデータを転送することで実現する。この技術により、シリアルインターフェースを用いて1クロック当たり32ビットのデータを転送することが可能になる。実際に使用するマスタークロック周波数が500MHzなので、1リンクのデータ帯域幅は1.6ギガビット/秒となる。

 もう1つの要素技術であるFlexLink C/Aは、従来のメモリーで制御に用いられている信号を集約し、それを差動シグナルペアのシリアルインターフェースを用いて転送するというものだ。DDR2 SDRAM(double data rate2 synchronous dynamic random access memory)やGDDR(graphics double data rate)などの規格のメモリーにおいて、メモリーコントローラから伝えられていたロー/カラムの指定やリード/ライトを示す28本の制御信号線をわずか2本の信号線に削減することができる。

 これまでにメモリーインターフェースにおけるクロック信号とデータ信号は、シングルエンド信号から差動信号に置き換わった。FlexLink C/Aを使えば、コントロール信号を含むすべての信号が差動信号に置き換わることになる。Rambus社はこれを「FDMA(fully differential memory architecture)」と呼んでいる。

 Rambus社でエンジニアリング部門のシニアバイスプレジデントを務めるKevin Donnelly氏は、「製品化は2010年~2011年を目標にしている」と述べた。その上で、「ゲーム機は5年ごとに世代が変わり、そのたびにメモリー帯域幅が100倍に高速化されている。従って、2010~2011年には1テラバイト/秒のメモリー帯域幅が必要になるだろう。また、近年のプロセッサのマルチコア化によって、プロセッサはより広いメモリー帯域幅を求めるようになっている」と1テラバイト/秒のメモリー帯域幅の必要性を説いた。

(小野 明久)

連絡先:ラムバス、03-4580-6813

まずは次世代ゲーム機器への適用から
Rambus社の社長兼CEOを務めるHarold Hughes氏
Rambus社の社長兼CEOを務めるHarold Hughes氏

Rambus社の社長兼CEO(最高経営責任者)であるHarold Hughes氏に、「テラバイト・バンド幅イニシアチブ」に関して、同社が考える応用市場などについて聞いた。(聞き手=馬本 隆綱)

Q:想定する用途は何か
A:テラバイト・バンド幅イニシアチブに基づいた半導体チップはまだ商品化されていないが、最初に使われるのは次世代ゲーム機器だと考えている。特に、基板上に搭載するメモリーチップの数量を気にするユーザーや用途には有効で、システムの消費電力やコストを低減するために効果的だ。

 テレビ受像機を例に挙げると、メインメモリーとして現行のDDR2 DRAMを使うと同じ帯域幅を得るのに複数個のチップが必要となる場合でも、当社の新技術を使ったDRAMであれば1個で済む。HD(高品位)テレビ受像機メーカーにとって今回の技術は魅力的なものになるだろう。

Q:DRAM用途としてパソコン市場は大きいが
A:パソコンにも当社の新しい技術を使ってもらいたい。DRAMの総供給量の80%がパソコンで消費されているからだ。

 これからのパソコンには、メディアストリーミングやデジタルテレビ放送への対応、CAD機能など、複数のアプリケーションを同時に処理することが求められる。このために、ハイエンドはもちろん、ミドルレンジのパソコンにも高い帯域幅が必要となるだろう。

Q:新たな技術を開発するに当たって留意した点は
A:新技術の開発に向けて、当社の技術者には既存の設計技術にできる限り適用できるものを開発するようにと指示を出した。これまで採用してきた安価なパッケージが使えるような設計になっているのもその成果の1つだ。だから、さまざまなアプリケーションに対応できる。コストに厳しい民生電子機器も例外ではない。それでありながら、従来品に比べて10~40倍のスループットを得ることが可能となる。

Q:今回のイニシアチブに対して各社の反応はどうか
A:現時点で賛同を表明している企業名を発表するまでには至ってないが、パソコンメーカーやDRAMメーカーとはすでに実用化に向けた話し合いを進めている。

Q:量産時に使うプロセス技術を教えてほしい
A:チップ生産には幅広い製造プロセスを適用することができる。今回の技術を組み込んだチップの量産時期が2010年~2011年ごろだとすれば、32/45nmプロセス技術が使われると推定される。DRAM側で用いられるのは50/65nmレベルのプロセス技術となろう。今回準備したデモ機には65nmプロセス技術で製造したチップが搭載されている。基本的には90nmプロセス技術でも実装できるアーキテクチャである。




この記事を :  印刷する プリントする ブックマーク  はてなブックマークに登録 この記事をクリップ! Buzzurlにブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 メールで送る メールで送る

Sponsor Links

Partner Solutions

EDN RESOURCE CENTER


新着ホワイトペーパー情報




アナログ・デバイセズ - 22件
インターナショナル・レクティファイアー・ジャパン - 1件
ナショナル セミコンダクター ジャパン - 9件
リニアテクノロジー - 15件
日本アルテラ - 4件
リード・ビジネス・インフォメーション - 1件