フラッシュストレージを活用せよ

[2008年01月号]

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SSDを巡る動向
図3 Samsung社のSSD
図3 Samsung社のSSD

 HDDをフラッシュメモリーで「補う」のではなく、完全に「置き換える」という動きもある。台湾Apacer Technology社、韓国MTRON社、米PNY Technologies社、台湾Power Quotient International(PQI)社、韓国Samsung Electronics社、米SanDisk社(イスラエルmsystems社を買収した)、米STEC社、米Super Talent Technology社、台湾Transcend社などの企業は、フラッシュメモリーベースで1.8~3.5インチ(約4.6~8.9cm)のサイズのSSD(solid state drive:ソリッドステートドライブ)を供給している(図3)。これらの企業は、汎用、組み込みの両方の分野でHDDからSSDへの置き換えを積極的に推進している。また、米BiTMICRO Networks社や米Texas Memory Systems社などのベンダーは、より近い将来のSSDのニッチ市場を狙っている。HDDのサプライヤも、1インチ(約2.5cm)以下の市場については、すでにそのほとんどをSSDに明け渡している。

 「SSDは高価なのではないか」という疑問を持つ方もいるだろう。その答えは、さまざまな要因に依存する。SSDの価格は、1次近似的な見方をすれば、容量に比例して高くなる。一方、HDDは容量に依存しない一定の価格体系を持つ傾向にある。ストレージへの要求がそれほど高くない用途では、そのうち十分に大容量なSSDのコストがHDDのコストよりも相対的に低くなる日が来るだろう。

 パソコン以外の分野では、HDDからSSDへの移行がすでに進んでいる。顕著な例としては、米Apple社の1インチHDDベースの「iPod mini」が発売からわずか18カ月後に、フラッシュメモリーベースの「iPod nano」に取って代わられたケースが挙げられる。Apple社のiPodの例からは、HDDに対するSSDのほかの利点もうかがえる。Windows XP Tablet PCやUltra-Mobile PCなどの高度なモバイルコンピューティングプラットフォームや、ポータブルマルチメディアプレーヤには、本質的に堅牢なSSDが適しているということだ。

 ほかの例として、モバイルコンピュータのサプライヤである米Alienware社が提供する「m9750」、「m9700」、「m5550」といったノート型パソコンが挙げられる。これらの製品は、オプションとしてRAID 0(ストライピング)構成で32GバイトのSSDを2台搭載することができる。台湾ASUSTeK Computer社、米Dell社、富士通、米Palm社、Samsung社、ソニー、東芝も、数多くのSSDベースの製品を製造している。SSDベースのシステムは、HDDベースのシステムと比較して、短期的にはかなり価格が高く、容量は少ないのにもかかわらずである。これらメーカーの決断から、次の2つの明るい展望が垣間見える。

●ベンダーはSSDの本質的な利点にかなり期待している

●ベンダーは、ターゲットとする市場におけるSSDの容量とコストの問題が、比較的早く解決されると信じている。そのため、今日の市場開拓を正しい動きだと確信している

 SSDはモーターで駆動する回転ディスクを持たない。そのため、HDDよりも平均電力/エネルギ消費が少ないと考えられる。しかし、HDDベンダーはこの意見には反対している。確かに、RAMやフラッシュメモリーを用いたキャッシュによりHDDのスピンダウン状態が多い場合は、HDDの消費電力はさほど多くない。

 SSDの利用を検討するための根拠がもっと欲しい人には次の例を示そう。米Seagate Technology社は、2008年初頭までにParallel ATAインターフェースのHDDの製造を中止する。その代わりに、Serial ATAドライブに全力を注ぐ計画である*6)*7)。一方、SSDにはさまざまなインターフェースとサイズのオプションがあり、ベンダーがパソコン以外の分野にかなりの力を注いでいる状況を考慮すると、将来にわたって製品を入手し続けることができる可能性は高い。

 また、中程度のサイズのフラッシュメモリーアレイならば、システムボード表面に占める面積もシステム全体に対する体積もHDDより小さい。

 さらに、SSDはHDDよりも潜在的に高性能であることも忘れてはならない。その優位性は、読み出しに関しては疑問の余地はない。書き込みに関しては、アプリケーションの平均データセットサイズや書き込み頻度に依存する。また、SSDのコントローラが複数のフラッシュコンポーネントと各コンポーネントの複数のブロックに対して、消費電力と引き換えに、どれだけ積極的に並列更新を行うかということにも依存する。とはいえ、基本的に優位であることは確かである。

BIOSを超えたブート機能

 フラッシュストレージは、回転式磁気ストレージであるHDDよりも消費電力が少ない。そのため、電池駆動のシステムにはフラッシュストレージが適していると言える。AC電源で駆動するシステムでは、(おそらくサーバーは例外だろうが)消費電力はそれほど大きな関心事ではない。そのため、フラッシュストレージの利点はそれほど顕著ではない。またその種のシステムには、高性能のHDDが組み込まれていて、マルチドライブのRAIDを構成する場合が多い。さらに、デスクトップ型パソコンやワークステーション、パソコンサーバーは、ノート型パソコンよりもかなり大きなストレージ容量を必要とする傾向にある。従って、フラッシュストレージがギガバイト当たりの価格という面で魅力的なものとなる日はまだまだ遠い。

 しかし、OSの仮想化という技術が登場したことから、別の理由で大容量のフラッシュメモリーが使用される可能性が高まっている。この用途では、フラッシュメモリーは「スーパーBIOS」として機能し、システム内でアップグレード可能な「ハイパーバイザー」を格納する。ハイパーバイザーは後から起動し、HDD上にある複数の仮想マシンのイメージ間を仲介する役割を担う。業界では、このような構成をDell社が開発中だという噂が流れている。この仕組みが将来どれだけ普及するか興味深いところだ。

脚注

*6)

Dipert, Brian, "Speedy simplicity: serial-storage interfaces," EDN, Jan 22, 2004, p.33.

*7)

『HDDベンチマークでeSATAの実力を探る』(Brian Dipert、EDN Japan 2007年8月号、p.50)

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