日本には、素材からアプリケーションまで、多くの産業に有力企業が存在しているという特異性がある。また、文部科学省にかかわる研究開発投資案件だけを見ても分かる通り、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジ、宇宙/航空、防災など、あらゆる分野に満遍なく開発投資が行われている。これらを強みとして生かし、これからは異分野の連携を行うことが日本の差異化につながる。
一例を挙げると、経済産業省が推進する「ドリームチップ開発プロジェクト」がある。半導体技術に立体構造の概念を取り込むことで、新しい機能を実現しようというものだ。携帯電話機などの用途が考えられている。2007年に先導研究がスタートし、2008年度から本格的な取り組みが始まる。6つの大学と30以上の企業がプロジェクトに参加しており、大学の研究に企業が参画する形を取っている。このプロジェクトでは、異分野をまたいだ産学連携が達成されている。半導体チップの設計、実装、パッケージ、テスト、インターポーザ、ソフトウエア、CADおよびコネクタなどの研究者や企業が集まって開発を行うことになっている。この取り組みは、産学連携と異分野連携を組み合わせた1つのモデルケースと言えよう。
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「異分野連携がキーワード、
日本の産業構造の強みを生かす」
——桜井 貴康氏 東京大学
[2008年01月号]エレクトロニクス業界にとって産学連携による先端技術の共同開発は大きなテーマである。しかし、その実態はまだ十分と言えるものではない。その中で、新たな異分野連携のプロジェクトが動き出す。東京大学の桜井貴康氏に、産学連携の現状やこれからの取り組みなどについて語ってもらった。
(聞き手/構成=馬本 隆綱)
東京大学 国際・産学協同研究センター 生産技術研究所第3部 教授。
1981年3月に東京大学電子工学専攻博士課程修了。同年東芝に入社。1988年からカリフォルニア大学バークレー校でLSI用のCADを研究。1996年7月から東京大学 生産技術研究所教授。1998年7月より現職、現在に至る。
研究室のプロフィール
研究テーマは「ユビキタスIT時代の低消費電力・高速LSI設計」である。0.5V動作でリーク電力を低減する設計手法や、ワイヤレスによるスーパーコネクト技術などの開発に取り組んでいる。
先進技術に対する強みと弱み
2008年2月に米国サンフランシスコで「ISSCC 2008」が開催される。その特徴の1つは、将来の技術の方向性を指し示す『Technology Directions』というカテゴリで、日本からの論文が6件採択されたことだ。日本が先進的な新しい技術開発にきちんと取り組んでいるということが証明された。
ただ、以前に海外の技術者から日本の新しい技術開発の成果が産業(製品)に結び付いていないという指摘を受けたことがある。これが日本にとっての1つの問題点だと言える。
ただ、以前に海外の技術者から日本の新しい技術開発の成果が産業(製品)に結び付いていないという指摘を受けたことがある。これが日本にとっての1つの問題点だと言える。
学会で技術課題をすり合わせ
現在、企業が先端の半導体チップを開発する際、その技術的なテーマが、特性のばらつきなのか、消費電力なのか、大学側ではよく分からない。それは、半導体業界が抱えている本質的な問題点が、日本では大学側に十分にフィードバックされていないからだと感じている。
国際的な学会に出席すると、大学と企業の研究者同士が交流し、技術的な問題点について活発な議論を行っている光景をよく見かける。一方、国内で開催されている学会では、企業からの論文発表や参加者が減少し、産学間の接点が限られている。
学会は、大学/研究機関と企業の研究者が技術的な問題点のすり合わせを行える貴重な機会だと考えている。企業は学会への参加をオーバーヘッドとしてとらえるのではなく、将来の技術開発に向けた投資だと理解してほしい。
国際的な学会に出席すると、大学と企業の研究者同士が交流し、技術的な問題点について活発な議論を行っている光景をよく見かける。一方、国内で開催されている学会では、企業からの論文発表や参加者が減少し、産学間の接点が限られている。
学会は、大学/研究機関と企業の研究者が技術的な問題点のすり合わせを行える貴重な機会だと考えている。企業は学会への参加をオーバーヘッドとしてとらえるのではなく、将来の技術開発に向けた投資だと理解してほしい。
インターンシップとメンター制度
海外での産学連携を見てみると、学生が企業で一定期間の就業体験を行うインターンシップ制度や、企業において先輩社員が後輩および新人の指導や支援を行うメンター制度がより効果的に活用されている。例えば、企業と大学の研究室が連携するときに、企業の技術者が担当窓口となって、技術動向や企業の価値観、共同研究の問題点などを大学の研究者に教えてくれる。また、大学教授の中には長期有給休暇制度を利用して企業に滞在し、その企業の開発目的などを学ぶことがある。これは研究開発に対する重要な指針を得るチャンスでもある。
日本においても、企業側は産学連携についても将来に向けた投資であると理解して、これらの活動に取り組むべきではなかろうか。大学側も企業内に飛び込んで社会との連携を強めていくことが大切だ。
日本においても、企業側は産学連携についても将来に向けた投資であると理解して、これらの活動に取り組むべきではなかろうか。大学側も企業内に飛び込んで社会との連携を強めていくことが大切だ。











