Design Ideas

大型リチウムイオン電池用の監視回路

[2008年01月号]

By Daniel Gomez-Ibanez ウッズホール海洋研究所
この記事を :  印刷する プリントする ブックマーク  はてなブックマークに登録 この記事をクリップ! Buzzurlにブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 メールで送る メールで送る
 例えば、電気自動車で用いる大型電池として充電型のリチウムイオン電池を使用する場合、この用途/使用法に特有な問題が生じる。まず、この用途では電源ラインの電圧が100Vを超えることになり、過充電/過放電保護のために標準的なICを使用することができない。また、リチウムイオン電池のセルを直列に多数接続することになるので、セルごとの自己放電特性のわずかな違いによって、個々に充電レベルが異なってしまう。そのため、セルごとの充電レベルが均等になるようにバランスをとることが要求される。そこで、本稿では大型/高電圧リチウムイオン電池を保護しつつ充電レベルのバランスをとるための方策を紹介する。

 図1に示したのは直列接続された複数のリチウムイオン電池のうち、1つのセルの電圧を監視する回路である。システムとしては別に監視指令用ホストがあり、この回路と通信を行う。ホストのディスプレイによって各セルの電圧をモニターし、そのモニター結果から「問題あり」と判定された場合には保護スイッチをオフにし、問題のあるセルを特定してバランスをとるためのタイミングを決める。この方式であれば、高電圧を得るために電池全体を構成するセルの数を増やしたい場合でも容易に対処することができる。

図1 リチウムイオン電池の電圧監視回路
図1 リチウムイオン電池の電圧監視回路
マイクロコントローラをリチウムイオン電池に直接接続し、電圧と温度を監視する。これと同様の監視回路を、電池を構成する各セルに対して用意する。各セル用の監視回路はフォトカプラーを介して監視指令用ホストと通信する。


 1つのセルの電圧は3V~4.2Vの範囲にあるので、図1のマイクロコントローラIC1(米Microchip Technology社の「PIC16LF88」)の電源としてそれを直接使用できる。回路全体としての待機電流は1μA以下であり、待機時の電池の自己放電は少なくて済む。ヒューズF1とツェナーダイオードD2は保護用の素子であり、監視するセルが高電圧を発したときに回路を保護する。フォトカプラーIC3(米Fairchild Semiconductor社の「MOCD207M」)は、各セル用のモニター回路間を接続する9600ボーの非同期シリアルバスに対する入出力回路となる。セルの選択信号は監視指令用ホストから送出され、各セルを順次選択するために使用される。IC3の電流伝達比は明確に規定されているため、電源電圧の許容変動範囲を容易に決定できる。IC3の待機電流はほぼゼロだが、これを動作状態に復帰させてモニター機能を活性化するためには、ホストからシリアルバス経由で1つのパルスを送るだけでよい。

 セル電圧は基準電圧源D1(「LM4050」)からの固定出力との差分として計測される。この差分はオペアンプIC2により増幅されて、マイクロコントローラIC1に内蔵された10ビットのA-Dコンバータに入り、分解能3mV相当で計測が行われる。基準電圧源やオペアンプ回路に起因して計測結果に誤差が生じるが、これはソフトウエアによって補正する。これらの誤差要因は温度の変化からも影響を受ける。抵抗R7、R8として温度係数が25ppm/℃のものを使用したところ、電圧の計測精度は0~50℃に対して±7.5mVとなった。基準電圧源D1に対して、マイクロコントローラIC1の端子RB1からのバイアスを重畳することで、所要条件になったときのみ監視回路が動作するように構成することができる。これと同様にIC1の端子からの出力によって数個のサーミスタをバイアスし、それを利用してセルの温度を計測することが可能である。

 この監視回路は、監視の対象となるセルが過剰に充電されている場合には、Q1をオンにしてセルからR10経由で200mAのシャント電流を流し、充電レベルのバランスをとる。このシャント電流は電池の最大放電電流である12Aに比べると少ないが、直列接続された各セルの自己放電率のばらつきを均等化し、バランスをとるには十分なレベルである。

design ideas
ご寄稿のお願い

 「design ideas」は米EDNの「名物コラム」です。このコラムは、電子機器設計や電子回路設計などの現場で働く技術者の皆さまからのご寄稿により成り立っています。そこで、「EDN Japan」でも半導体メーカーや電子機器メーカーの電子技術者のほか、大学などの研究者、コンサルタント業務に携わる技術者などの皆さまからのご寄稿を募集します。

【記事内容】
  • 電気/電子回路の新たな提案とその説明。
  • 半導体製品に搭載した新たな回路の紹介。
  • 半導体/電子部品の新しい使い方。
  • 半導体/電子回路の性能を引き出す、あるいは部品の弱点を補う回路の提案。
などです。上記以外のテーマについては、別途ご相談ください。

【原稿の長さ】
  • 1~2ページ。文字数は1000~1500、図版は1~2点です。
【原稿料】
  • 採用原稿に対して、400字当たり3000円(税抜き)。
【注意点など】
  • 未発表のものに限定します。
  • ご寄稿いただいた原稿は、EDN Japanで選考して、採用/不採用を決めさせていただきます。ご寄稿いただいた原稿は、お返しできません。
  • ご寄稿いただいた原稿に対して、加筆、改筆をお願いする場合がございます。
  • 掲載した原稿の版権はEDN Japanに帰属します。
  • ご寄稿いただいた原稿は、EDN Japanのほか、EDNやEDN Asia、EDN China、EDN Europeに掲載される可能性があります。

design ideasへのご寄稿に関するご質問、ご要望などは、
EDN Japan編集部、
住所:〒107-0051東京都港区元赤坂1-7-10 元赤坂ビル8F
電話:03-3402-0076、FAX:03-3402-0029
e-mail:ednjreader@reedbusiness.jp

この記事を :  印刷する プリントする ブックマーク  はてなブックマークに登録 この記事をクリップ! Buzzurlにブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 メールで送る メールで送る

Sponsor Links

Partner Solutions

EDN RESOURCE CENTER


新着ホワイトペーパー情報




アナログ・デバイセズ - 22件
インターナショナル・レクティファイアー・ジャパン - 1件
ナショナル セミコンダクター ジャパン - 9件
リニアテクノロジー - 15件
日本アルテラ - 4件
リード・ビジネス・インフォメーション - 1件