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LSIのノイズ対策には基板との統合解析が必須

[2007年11月号]

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電源ハーネスからのノイズを抑える

 本セミナーにおいて、ルネサス テクノロジの生産本部 技術開発統括部 実装技術開発部で主幹技師を務める中村篤氏は「低ノイズ実装技術と評価/解析技術」と題する講演を行った。この講演を通して、同氏は車載用ECU(electronic contol unit)に接続される電源ハーネス(電源供給用のケーブル)からの輻射を抑える手法について説明した。

 中村氏は、近磁界分布可視化装置と電磁界シミュレーションを用いて電源ハーネスからの輻射ノイズの調査を行った。その調査結果から、外部の電源から供給される電圧に高周波成分が載らないようにマイコン近辺に多数の電源デカップリングコンデンサを配置することが有効で、さらに電源ハーネスからの高周波成分を抑え、基板内でのデカップリングコンデンサからの給電を強化するように給電個所にフェライトビーズを入れることにより、電源ハーネスのノイズ電流を低減できることを確認できたという(図A)。

図A コンデンサやフェライトビーズの追加によって電界強度が低下する様子
図A コンデンサやフェライトビーズの追加によって電界強度が低下する様子
マイコン(ルネサス テクノロジ製「SH7055R」)を搭載した評価基板のデカップリングコンデンサとフェライトビーズを変更した場合の電界分布の違いを表している。デカップリングコンデンサとフェライトビーズがない場合を(a)、12個のデカップリングコンデンサを実装した場合を(b)、(b)にフェライトビーズを追加した場合を(c)とする。図から電源配線付近の電界強度が(a)>(b)>(c)と低下することが分かる。また、各場合における電源ハーネスからのノイズレベルは、(a)が約60dBμVで、(b)が約40dBμV、(c)が約20dBμVだったという。つまり、基板の電界強度とハーネスのノイズレベルに相関がある。


 ただし、これだけでは電源ハーネスからのコモンモード電流による輻射ノイズを十分に抑えることができない。それに対して中村氏は、基板パターンを変更することで電源ハーネスからのコモンモードノイズを20dB低減する方法を見つけた。その方法とは、電源のパターンとグラウンドの配線面積のバランスをとるというものである。同氏は「電源とグラウンドの配線面積を同じにすることによって、電源ハーネスから供給される電流と、グラウンド側に戻る電流が逆相でバランスされ、コモンモード電流が減るのだと考えている」と説明した。

 また、「面積を同じにすることでコモンモード電流による放射ノイズを低減することが可能だが、これはLvCv=LgCg(Lv:基板上の電源配線によるインダクタンス、Cv:電源配線とグラウンド平面間の容量、Lg:グラウンド配線のインダクタンス、Cg:グラウンド配線の寄生容量)の関係が成り立つときに、電源ハーネスからのコモンモードノイズが最小になることで説明できる(図B)」と述べ、「一般的に電源の配線面積よりグラウンドの配線面積が大きな基板では、電源配線に挿入するインダクタンスを調整することによっても電源ハーネスからの輻射ノイズを低減することが可能である。もちろんこの方法に頼り切ることは危険であり、まずデカップリングコンデンサなどでノイズの振幅を抑えることが重要だ」と補足した。

図B コモンモードノイズの低減条件
図B コモンモードノイズの低減条件
測定環境(a)をマイコンへの電流と寄生容量を考慮して簡素化したものが(b)である。(b)を近似したものが(c)で、さらに(c)をコモンモード電流に着目して近似したものが(d)である。


 このノウハウを基に、同社はSIP(solution integrated products)と呼ぶ、CPUやメモリーなどを基板に搭載したプロセッサモジュールを提供している。これにより設計者は単体でマイコンを購入して設計するよりも容易に、ノイズの少ない機器を設計することができるという。

(小野 明久)



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