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「デジタルコンバージェンス」を支える部品技術

[2007年11月号]

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進化するユーザーインターフェース
——静電容量センサーの応用進む
 米Apple社の「iPhone」の特徴の1つはそのタッチパネルにある。これに用いられているのが静電容量センサーである。CEATEC JAPAN 2007では、新たなユーザーインターフェースを形作るものとして、静電容量センサーの応用技術にも注目が集まった。

●センサーにかざした手の位置を検出
 アルプス電気は、静電容量を100aF(アトファラド、10-18F)の分解能で検出できる技術のデモを行った。そのデモは、静電容量センサーの上にかざした手の空間位置を検出し、その位置によってモニターに表示されたヘリコプタを3次元的に操作するというものである。

 従来の静電容量の検出技術では、5fF(フェムトファラド、10-15F)の分解能でしか静電容量を検出できなかった。それに対し、同社の展示品は複数のセンサーで容量を検出する差動検出技術と、ノイズを低減する回路技術を用いることにより、100aFの分解能で静電容量を検出することを可能とした。この技術は、タッチパネルなどへの応用も期待できるという。提供時期は未定。

 ユーザーインターフェースのほかに、MEMSセンサーなどへの応用も想定されている。例えば、物体の微小な歪(ひずみ)を静電容量センサーで測定するMEMS加速度センサーにこの技術を応用することで、小型化や高精度化が図れるという。

図5 Avago Technologies社のポインティングデバイス「AMRT-1410」と静電容量検出IC 「AMRI-2000」
図5 Avago Technologies社のポインティングデバイス「AMRT-1410」と静電容量検出IC 「AMRI-2000」
右の赤い携帯型端末における銀色の部分がポインティングデバイスである。左は、AMRT-1410とAMRI-2000のサンプル。

●ポインティングデバイスの薄型化
 米Avago Technologies社は、静電容量センサーを応用したスティックタイプのポインティングデバイス「AMRT-1410」と、それと組み合わせて用いる静電容量検出用IC「AMRI-2000」を展示した(図5)。

 AMRT-1410は、直径が14mmで厚さが1.7mmと小型/薄型であることを特徴とし、主に携帯電話機などの携帯型機器をターゲットとしている。青いスティック部分をわずかに傾けることによってポインティングデバイスとして動作する。X軸、Y軸に対する傾きの方向を検出し、それをユーザーからの入力(操作)として認識する。マウスポインタとして用いた場合、傾き加減によって、カーソル位置の微調整を行いたいときのような低速の位置操作と高速の位置操作の両方を表現することができる。また、スティックを押し込むことで、クリック入力にも対応するため、同製品のみでドラッグとドロップの操作が可能だという。

 静電容量のセンシングは、AMRT-1410の下部に、スティックを中心として4つに均等分割された導電パターンによって行う。スティックが傾くと4つのセンシング部における静電容量のバランスが変化するため、その方向が分かるという仕組みだ。静電容量センサーを応用することによって、薄型化/小型化を実現した例だといえる。

●タッチパッドでマウス以上の操作性
 静電容量センサーを用いたユーザーインターフェースの応用例として、タッチパッド用の新技術を紹介しておく。米Synaptics社はCEATEC JAPAN 2007会場近くのグリーンタワーホテル幕張において、タッチパッド用のスクロール技術「ChiralMotion」を展示した。

 ノート型パソコンなどにおいては、例えばタッチパッドの右端をなぞるといったことによってスクロール操作を実現している。しかし、この操作方法では、マウスホイールを用いた場合のような高速のスクロール操作を実現できなかった。今回、Synaptics社が発表した技術はこの問題を解決するもので、タッチパッドに触れて連続的に指で円を描くことにより、画面や項目のスクロール操作が行える。円を描く速さよってスクロール速度を制御することが可能であり、さらに指を逆回転させることでスクロールの方向を変更することもできる。すでにパソコン周辺機器の用途向けに、同技術を用いた製品を供給しているという。

 また、Synaptics社はiPhoneにおいて実現されているような、2本の指による操作が可能なマルチタッチの技術も提供している。これを利用すれば、2本の指でつまむ動作や、2本の指を広げる動作、2本の指を同時に滑らす動作などをそれぞれ認識できる。

 これらの技術を用いることで、アプリケーションによっては、マウス以上の操作性が実現できる可能性がある。

Wireless USBの“離陸”は間近
——グループ6対応の電子部
図6 帯域グループ6を使ったWUSBによるデモの模様
図6 帯域グループ6を使ったWUSBによるデモの模様
村田製作所のブースではWUSB技術を使った高速無線通信のデモが行われた。

 ワイヤレスでPAN(personal area network)を構築する手段の1つに、「Wireless USB(以下、WUSB)」技術がある。この技術を使った高速無線通信市場が2008年半ば以降にも、日本で立ち上がりそうだ。複数の関係者によると「パソコンへの搭載率が高まることが条件となるが、例えばデジタルカメラメーカーはWUSBモジュールの実装を前向きに検討している」という。

 CEATEC JAPAN 2007の会場では、WUSB規格に対応するモジュール(以下、WUSBモジュール)を開発している村田製作所や太陽誘電などが、試作したモジュールを使って映像伝送のデモを行った(図6)。また、いくつかのチップメーカーからは、帯域グループ1~6のすべてをカバーし、日本のTELEC規制に適合したWUSB向けのチップセットが発表された。さらに、別のメーカーは2008年第1四半期から主要機能を1チップに集積した製品のサンプル出荷を始める予定だ。


●伝送速度が速く、低消費電力
 ワイヤレス技術を使ったPANを構築する手段には、Bluetoothや、IEEE 802.11a/b/g/nなどの無線通信規格を使う方法がある。それぞれに特徴があり、用途や目的に応じてすみ分けが進むと見られる。

 そうした無線通信規格の1つがWUSBである。WUSB向けのチップやモジュールの開発に注力する企業は、「WUSB通信は、Bluetoothよりもデータ伝送速度が速く、IEEE 802.11nよりもデータ伝送量当たりの消費電力は少ない」(半導体メーカーの説明員)と主張する。

●帯域グループ6での通信デモ
 村田製作所は、WUSBモジュールに搭載する半導体チップに関してはあらゆるメーカーの製品を検討しているという。今回のデモに使用した小型WUSBモジュールには、米Alereon社が開発したWUSBチップセットを搭載した。このチップセットは3.1GHz~10.6GHzの周波数に対応し、帯域グループ1~6のすべてをカバーする。つまり、帯域グループ6を中心とした日本や韓国の規格要求にも対応している。会場ではWUSBモジュールを実装したテストボードを2台のパソコンにそれぞれ接続し、帯域グループ6を使ってデータ通信のデモを行った。同モジュールは国内で2008年末まで利用できる4.2GHz~4.8GHz帯にも対応している。

 機器側に実装するWUSBモジュールは、外形寸法が14.5mm×11.5mm×2.5mm。動作電源電圧が3.3Vで、最大消費電力は500mW~600mWとなる見通しだ。

 村田製作所は、デモに使ったWUSBモジュールよりさらに小型化した製品も開発中である。LTCC(low temperature co-fired ceramics)基板を用いることで外形寸法を10.5mm×9.5mmとした開発品なども展示した。パソコンなどのホスト側に搭載するPCI Expressインターフェース対応のWUSBモジュールを2007年中に出荷できる見通しである。デジタルカメラなど端末機器向けの小型WUSBモジュールは、2008年夏ごろまでに量産に入る計画だ。また、各種組み込みOS向けのドライバソフトを開発するためのエボリューションキットも用意する。近く供給可能となる予定である。

 一方、太陽誘電は、帯域グループ1のチャンネル3に対応したWUSBモジュールを使って動画伝送のデモを行った。「実際の製品に採用する半導体チップについては検討中」(会場の説明員)で、今回デモ用に試作したモジュールに搭載した半導体チップについても明らかにしなかった。また、来年の商品化に向けて、USBインターフェースなどを備えたWUSBモジュールを開発中で、モジュールの外形寸法は10mm×15mm程度となりそうだ。


図7 Alereon社のWUSB対応チップセットを搭載したモジュール
図7 Alereon社のWUSB対応チップセットを搭載したモジュール
 
図8 Staccato社のWUSB対応チップ
図8 Staccato社のWUSB対応チップ
中央が第1世代品、右が開発中の第2世代品。

●2008年1Qにはチップ出荷
 半導体チップメーカーも全世界の帯域グループに対応できるチップの開発に取り組んでいる。Alereon社は、MAC(media access control)内蔵のベースバンドプロセッサ「AL5300」とRFトランシーバIC「AL5100」から成るWUSBチップセットを発表した(図7)。すでに評価用のサンプルチップの供給を始めており、製品出荷は2008年第1四半期からとなる。

 このチップセットの特徴は、全世界の規格標準である3.1GHz~10.6GHzの帯域をカバーできる点だ。同社のCEO(最高経営責任者)を務めるEric Broockman氏は、「日本、韓国をはじめ、米国、欧州、中国など全世界の規格標準を満たす唯一の製品である。しかも、レシーバの受信感度が高いため、カバーできるエリアは標準で定められた仕様の1.6倍広く、データの伝送速度は競合他社に比べ4倍速い」と主張する。

 米Staccato Communications社の製品は、フルCMOS技術でRFトランシーバ回路、ベースバンド処理回路、MAC制御回路を1チップに集積しているのが特徴だ。第1世代の「SC3500」ファミリは、3.1GHz~4.8GHzの帯域グループ1のみに対応してきた。現在、帯域グループ3と同6をサポートする第2世代品を開発中だ(図8)。2008年第1四半期にはサンプル出荷が始まる見通し。第1世代品は110nmプロセス技術で設計/製造したのに対して、第2世代品では90nmプロセス技術を採用した。これによって、帯域グループ6までの対応を可能とする。「主要な機能を1チップにすることで小型、低消費電力、低コストを実現できる強みがある。これを生かして、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末などの用途に向けて提案していきたい」(同社の説明員)考えだ。

(朴 尚洙、小野 明久、馬本 隆綱)



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