大学教育における矛盾は、学生が自身の研究目的をはっきり認識できていないときに、いろんなことを教え込もうとしている点である。学生自身も、会社に就職し、仕事をしてみて、初めて目的意識がなかったことに気付くようだ。
米国の場合、学生はいったん企業に就職してから大学院に戻ってくるケースが多い。それだけに米国の大学院生は、研究テーマが明確で、研究に対するモチベーションも高い。
まずは指導者が学生に研究テーマを与え、その目的を理解させることが大切だ。学生も最初は知識がなくて、研究する意味さえ分からずにやっている。研究する面白さを見つけ出すまで、学生も我慢しなければならない。すべての研究が最初から面白いとは限らないからだ。
研究には必要に応じて行うものと、面白いから手掛けるものがある。必要だから手を着けて、後になって面白くなる研究もある。学生やエンジニアにとっては、いかに研究を楽しめるかということが重要だ。
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「研究の必要性と面白さを知る、
そして楽しむ」
松澤 昭氏 東京工業大学
[2007年10月号]日本の半導体産業が復活するには、先端技術の研究と優秀な人材の確保が欠かせない。これを実現していくためには大学の存在や役割が大きい。日本の半導体産業において産学連携をこれまで以上に加速していくための課題や人材育成のポイントなどを、東京工業大学の松澤昭氏に語ってもらった。
(聞き手/構成=馬本 隆綱)
産学共同研究の問題点
最近は大学側も研究のためのパートナ企業を必要としている。企業側もリストラなどを行った結果、基礎研究にあまり重点を置くことができなくなったようだ。米国では、企業がそのリソースを開発部門に回し、基礎研究を大学が担当するという動きが1980年ごろから始った。すでに世界では、大学の研究室と企業が連携して研究を行うという潮流ができつつある。
ただ、難しい問題がある。開発完了までの期間も含めて、大学が責任を持った研究ができるのかということだ。開発資金が潤沢にあるからといって、企業が期待する研究成果を出せるというものでもない。また、共同研究の成果物に対して、産学間で利害が一致しないこともある。一例を挙げると、特許取得を重視する企業側と、論文発表に重きを置く大学との思惑が異なることもある。
ただ、難しい問題がある。開発完了までの期間も含めて、大学が責任を持った研究ができるのかということだ。開発資金が潤沢にあるからといって、企業が期待する研究成果を出せるというものでもない。また、共同研究の成果物に対して、産学間で利害が一致しないこともある。一例を挙げると、特許取得を重視する企業側と、論文発表に重きを置く大学との思惑が異なることもある。
開発ビジョンを共有する
企業と大学の研究室が良好な関係を築くためのポイントはいくつかある。その1つは企業が短期的に大学にエンジニアを派遣することである。そにより、効果的に研究が進められる。
もう1つは、企業が将来に向けた開発ビジョンを明確にすることだ。現在、私の研究室では5~6社の企業と共同研究を行っているが、それぞれの企業が異なるスタンスを持っている。何か成果が得られればよいという企業もあれば、今後の製品戦略を明示して、それを実現するために足りない技術を大学と共同研究するという企業もある。企業側に開発ビジョンがないと大学側も何を研究したらよいのかが明確に分からない。両者がそれぞれの強みを十分に理解して、開発のビジョンを共有することが大切だ。
もう1つは、企業が将来に向けた開発ビジョンを明確にすることだ。現在、私の研究室では5~6社の企業と共同研究を行っているが、それぞれの企業が異なるスタンスを持っている。何か成果が得られればよいという企業もあれば、今後の製品戦略を明示して、それを実現するために足りない技術を大学と共同研究するという企業もある。企業側に開発ビジョンがないと大学側も何を研究したらよいのかが明確に分からない。両者がそれぞれの強みを十分に理解して、開発のビジョンを共有することが大切だ。
応用分野を拡大する
エレクトロニクス分野は大事な産業だが、今後は「エネルギ」や「環境」、「健康」といった応用分野が、半導体技術の進歩にとって重要となろう。半導体技術をベースにこれらの応用分野に対処していくことが時代の要請なのかもしれない。一般的に昨今の研究テーマは「情報通信」に片寄りすぎているように感じる。エレクトロニクス分野を否定するつもりはないが、研究テーマの応用分野として今後どこに重点を置くかは再考する必要があるだろう。
当研究室の研究テーマはアナログ/デジタル混載LSI設計だが、従来の応用分野とは異なる場所で役立てられないか、ということを考えてみるのも大事だと思う。例えば、エネルギやセンサー/ディテクタなどに関する研究は、環境や医療の分野で今後より重要になるだろう。
当研究室の研究テーマはアナログ/デジタル混載LSI設計だが、従来の応用分野とは異なる場所で役立てられないか、ということを考えてみるのも大事だと思う。例えば、エネルギやセンサー/ディテクタなどに関する研究は、環境や医療の分野で今後より重要になるだろう。











