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石原 秀昭氏
デンソー IC技術1部 IP開発室 室長

ソフトウエアとの
親和性を考慮して
自動車用プロセッサを開発する

[2007年08月号]

自動車の電子化率が急速に高まる。走る、曲がる、止まるといった自動車の基本機能だけではなく、安全性や快適性の向上、環境負荷の低減などに対する要求がその背景にある。このため、ほとんどの半導体メーカーが自動車分野を重点市場と位置付け、マイクロプロセッサや各種センサー、パワーデバイスなどの開発に力を入れる。デンソーでIC技術1部 IP開発室の室長を務める石原秀昭氏は「自動車用プロセッサではソフトウエアとの親和性が大事」と語る。


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最新車種では1台に半導体をどのくらい使用しているのか

現行の自動車に搭載される半導体の量は、ラグジュアリカーやハイブリッドカーだと面積換算でほぼ6インチウェーハ1枚分に相当するくらいである。エコノミーカーの場合、安全系を中心に6インチウェーハの約2割、ナビゲーションシステムを装備したエコノミーカーだと約5割だ。最近発表された最上位のハイブリッドカーだと6インチウェーハ何枚分かの半導体が搭載されているのではないか。

自動車用プロセッサを開発するときのポイントは何か

自動車制御用ソフトウエアとの親和性が大事だ。当社が「NDR」プロセッサコアを開発したとき、自動車制御用ソフトウエアを分析してそれに最適な命令セットを準備した。例えば、ローカル変数を何個使っているか、データ型に浮動小数点数を使っているか、ビットフィールドは多いか、外部変数を多用するのかといった要件を十分に分析した上でプロセッサを開発しなければならない。

 自動車に搭載されるプロセッサの数は急速に拡大しており、自動車向けに機能拡張したプロセッサを開発しても十分に事業として成り立つ市場規模となってきた。

ソフトウエアとの親和性を重視している理由は

 プログラムのコードサイズが20%違うとチップのコストも消費電力も違ってくる。現在の車には数十個のプロセッサが搭載されており、コード効率が高ければその分オンチップのメモリーサイズを小さくできる。自動車全体で見ると、それはかなり大きな差となる。そのため、コード効率の観点からソフトウエアとの親和性が重要となる。

 組み込みシステム用のプロセッサがシングルチップでメモリーを内蔵できるのは、コード効率が高いからだ。例えばNDRプロセッサには192Kバイトのメモリーブロックが任意個内蔵されているチップがある。メモリーブロック1個のダイサイズは、プロセッサコア部に比べて10倍の大きさにもなる。だから、プロセッサのコストや消費電力を下げるためにコード効率を重視している。

コード効率を高めるための決め手となるものは

プログラムのコードサイズはコンパイラの構文解析/コード生成の機能の作り方に依存する。とはいえ、コードサイズを決めるのはコンパイラ技術だけでない。プロセッサが、アプリケーションソフトウエアを処理するのに適した命令セットを持っているかどうかが重要だ。

プロセッサの標準化とカスタマイズ化についてどう考えているか

ナビゲーション機能のようなマルチメディア処理などを行うハイエンドのプロセッサには、ソフトウエア資産の流用などを考えると標準化が求められる。逆に、センサーなどにつながるローエンドのプロセッサにはソフトウエアを流用するケースは少なく、ダイサイズや消費電力、信頼性などが重要視される。そのため、カスタマイズが優先される。

 エンジン制御やエアバックシステムの制御などを行うミドル領域では、今後は車1台当たり100個程度の半導体が用いられる可能性がある。そのため、ソフトウエアの開発環境などを考慮するとプロセッサの標準化が重要になる。しかし、現状は多数のプロセッサメーカーがこの分野に参入しており、現実的には標準化は難しいだろう。

各種センサーも重要な部品となっている

センサーの分野ではMEMS(micro electro mechanical systems)技術が重要になると考えている。自動車にはさまざまなセンサーが搭載されるが、加速度センサーや角速度センサーなどの領域では、検出感度の観点からMEMS技術を使ったセンサーに注目している。

(聞き手=馬本 隆綱)



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