Pulse

平野 元幹氏
マイクロソフト ディベロップメント ITS戦略統括部 統括部長

カーナビOSの汎用性を高め、
普及機市場も網羅

マイクロソフトは2000年から、Windows CEをベースにしたカーナビ用OS「Windows Automotive」を展開している。金額ベースで世界シェアの約8割を占める日本製カーナビに対応すべく、マイクロソフトでも同OSの開発は日本が主導する体制をとっている。日本国内での製品企画/開発を担うマイクロソフト ディベロップメントの平野元幹氏(同社ITS戦略統括部統括部長)は、「進化を続けるカーナビの開発効率向上には汎用性の高いOSが不可欠だ」と語る。


この記事を :  印刷する プリントする ブックマーク  はてなブックマークに登録 この記事をクリップ! Buzzurlにブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 メールで送る メールで送る
現在、Windows Automotiveはどのような地位にあるのか

最初に発表したWindows Auto-motiveのバージョン3.0(V3.0)で1社、2001年のV3.5で2社など、当初はなかなか採用が進まなかった。パソコン用のWindowsを引き合いに出して、「こんなに頻繁にフリーズするOSが使えるわけがない」などとやゆされることも多かった。

 しかし2003年のV4.2では、V3.5から採用したカスタマイズ可能なユーザーインターフェース「AUI(Automotive User Interface)」を充実させ、ベースとするOSもWindows CE 4.0に進化した。また、当時はハードディスクドライブ(HDD)の採用でデジタルオーディオの再生機能など、カーナビの機能が拡張された時期でもあり、パソコンライクな制御が必要になった。こうしたことから市場での評価が高まり、採用が大幅に増えた。現在では日本製カーナビの約25%、HDDカーナビであれば50%以上のシェアを占めるようになった。

2006年11月に発表したV5.0 SP2の展開は

 Windows Automotiveは、2005年に発表したWindows CE 5.0ベースのV5.0も含めて、12万円~30万円以上にも達する中~高級のカーナビ機器を対象として開発してきた。しかし、カーナビ機器の市場を見ると、2~3年前から欧州を中心に広がり始めた簡易型のPND(personal navigation device)をきっかけとして、低価格帯の普及機が伸びてきている。

 そこで、V5.0のアップデート版であるV5.0 SP2では、SH-MobileやARMといったプロセッサ、64Mバイトという従来よりメモリー領域の少ない端末の設計にも対応した。このような汎用性の高いOSとした結果、日本のほぼすべてのカーナビ機器メーカーから受注できたほど大きな反響が得られた。

 日本のカーナビメーカーの開発は、高級機種を中心とした高コスト構造になっており、まったく新規に5万円程度のPNDを開発したのではコストを回収できない。しかし、高級機種とPNDの両方にV5.0 SP2を使ってそれらの機器を同時に開発すれば、コスト削減が可能になり、さらには開発期間も短縮できる。このようなメリットに注目したベンダーから、2008年にはV5.0 SP2を採用したPNDが提供されるだろう。

2007年1月に発表したMicrosoft AutoとWindows Automotiveの違いは

Microsoft Autoは、音声認識/ 音声合成機能、Bluetooth接続機能、「iPod」などの携帯型メディアプレーヤとの接続機能などを備えた車載システムを構築するもので、テレマティクスシステムからナビゲーション機能だけを除いた部分に対応する。今回米Ford Motor社の「Sync」に採用された。

 Microsoft Autoは欧米の自動車メーカー向けに開発されたもので、ハードウエアからソフトウエアに至るまで設計/選定をマイクロソフトが一手に引き受けることになる。一方のWindows Automotiveは日本のカーナビメーカーを対象にした車載機器のプラットフォームであり、メーカー自身でハードウエア、ソフトウエア構成を自由に選択できる点が異なる。

今後の開発の方向性を教えてほしい

これまで約2年に1回のペースでバージョンアップを行ってきたので、2007年はV6.0を投入するタイミングになるが、まずは予想を上回る受注状況になっているV5.0 SP2への対応を進めてさらに実績を積み重ねたい。またV6.0のベースとするOSについては、実績のあるWindows CE 5.0に比べてCE 6.0のアーキテクチャは革新的に過ぎるので、保守的な自動車業界に受け入れられるかどうかも含めて検討する。

 車載システムは、大まかに走行制御系、車体系、情報系に分かれており、Windows Automotiveは情報系が対象。しかし自動操縦などが実現すると見込まれる2012年~2015年には、車体系と情報系のシステムの融合がテーマになる。今後の開発はそのことを意識して進めていく必要がある。

(聞き手=朴 尚洙)



この記事を :  印刷する プリントする ブックマーク  はてなブックマークに登録 この記事をクリップ! Buzzurlにブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 メールで送る メールで送る

Sponsor Links

Partner Solutions

EDN RESOURCE CENTER


新着ホワイトペーパー情報




アナログ・デバイセズ - 22件
インターナショナル・レクティファイアー・ジャパン - 1件
ナショナル セミコンダクター ジャパン - 9件
リニアテクノロジー - 15件
日本アルテラ - 4件
リード・ビジネス・インフォメーション - 1件