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坂本 幸雄氏
エルピーダメモリ社長兼CEO

営業利益率20%の確保が
勝ち組の条件

[2007年05月号]

2006年度に約680億円の営業利益を上げたエルピーダメモリ。日本の半導体メーカーの業績低迷が目立つ中で、営業黒字となる数少ない企業だ。それでも坂本幸雄社長は、「2006年度も営業利益率は10%以上を確保できたが、20%以上確保しないと世界市場で勝ち残れない」と、この業績に不満を漏らす。


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2006年度の業績見通しはどうか

2006年度第4四半期(2007年1~3月)の業績は、売上高が約1400億円で前年同期とほぼ同じ水準となった。前年同期に比べてDRAMの売価は半分以下になっている中で、営業利益は約145億円を確保できた。2007年3月期(2006年度)で見ると、売上高は4900億円でほぼ倍増、営業利益は約680億円となる。

日本のほかの半導体メーカーに比べると営業利益率はかなり高い

当社のDRAM製造コストは、韓国Samsung Electronics社と同等レベルまで下がってきた。2006年12月末から生産を始めた70nmプロセスを使った512Mビット品の歩留りも85%を超えている。現在主流の90nm品に比べると歩留りはまだ低いが、製造コストではほぼ同じとなった。2006年度第4四半期は営業利益率で10%以上を確保できた。しかし、この数値ではすべての社員が業績が悪いと認識しているだろう。当社では20%近く営業利益率を確保できないと満足しないし、そうでなければ世界の半導体市場では競争に勝つことができない。

2007年度の戦略を教えてほしい

2007年度は70nmプロセス品の生産比率を高めていく。現在の当社全体の生産能力はウェーハ換算で月間8万枚だが、できれば2007年7月までにはその半分の4万枚まで70nmプロセス品の比率を上げていきたい。そうすれば製造コストはもっと下げられる。

そのための投資計画は

2007年度は合計で1800億円を計画している。内訳は広島の工場に900億円、研究開発費に100億円、台湾Powerchip Semiconductor(PSC)社と折半出資で台湾に設立した製造合弁会社のRexchip Electronics社に800億円、それぞれ投資する。これらの投資によって当社は、2007年10月~12月には1Gビット品のビット当たりのコストが512M品より優位となるビットクロスを実現したい。そうなると1Gビット品の需要が拡大し、当社はDRAM市場で勝ち組となれる。

台湾に製造会社を設立した理由は

台湾政府からいろいろなサポートを受けられるためだ。特に助成金が得られることが大きい。一例だが、米国のある半導体メーカーがニューヨークに先端の半導体工場を建設したときには、米政府から1000億円の助成金を受けた。減価償却と市場からの資金調達を考えると、この助成金は実際にはほぼ5000億円の経済効果に相当する。

日本にはそのような制度はないのか

残念ながら、日本には助成金の制度はない。日本の半導体産業が負の連鎖に入ってどんどん衰退していく中、政府も真剣に考えないと、これからの半導体産業を支えていく学生も育たない。装置メーカーや材料メーカーも海外市場に活路を見出すことになり、日本の半導体産業の空洞化はもっと進むだろう。

ベルギーIMECのCMOSリサーチプラットフォームに参加した理由は

45nmプロセス以降のトランジスタをどう作り込んでいくのかが当社の当面の課題である。IMECにはSamsung社や米Micron Technology社、ドイツQimonda社など世界のDRAMメーカーから見識のある技術者が集結している。そこに当社の技術者も参画すれば共同研究を通じていい刺激を受けるだろう。国内にも政府主導の半導体共同開発プロジェクトなどがあるが、これには当社から技術者を1人も派遣していない。開発プロジェクトの目的が明確ではないからだ。当社は市場から資金を調達している。キャッシュフローは企業の生命線であり、大切な資金を無駄遣いすることはできない。

日本の半導体産業が復活するためにはどうすればよいのか

一般的に日本の半導体メーカーは営業利益率が低い。これまでのように純血主義にこだわらず、もっと優れた経営者を登用しないと高収益の会社に変わり切れないのではないか。 (聞き手=馬本 隆綱)

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