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クロックゲーティング技術の適用を支援するCalypto社のEDAソフトウエア

[2007年05月号]

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 米Calypto Design Systems社は、クロックゲーティング技術をロジック回路に適用するEDAソフトウエア「PowerPro CG」の出荷を開始した。同製品は、VerilogやVHDLで記述されたRTLコードを解析し、クロックゲーティング回路(クロックゲート)を挿入することにより消費電力の削減を実現するソフトウエアである。これを既存のロジック回路に適用したところ、3DグラフィックスICで最大61.1%、ネットワークスイッチャICで58%、プロセッサで20%~22.7%の消費電力を削減できることが実証できたという。同社は「昨今では、すべてのアプリケーションで消費電力の削減が要求されている。PowerPro CGは、それらすべてのロジック回路に向けたものだ」としている。動作環境はRed Hat Enterprise Linux 3.0以上が推奨で、1年間のライセンス料は29万5000米ドル。解析に必要となるのは、タイミング設定などを記述したSDCファイル(Synopsys design constraints file)、シミュレーション結果から得られるゲートの動作頻度を表すSAIF(switching activity interchange format)ファイル、米Synopsys社の回路ライブラリであるlibertyファイルだ。

手作業の限界
 クロックゲーティング技術は、必要最小限の回路だけを動作させることでロジック回路の動作時の消費電力を削減する手法である。しかし、同技術を適用可能な部分を抽出し、効果的に消費電力を削減するには、順序回路を解析して入力から出力までのデータの流れとそれらの依存関係を把握する必要がある。そのため、組み合わせ回路のみを解析してクロックゲーティング技術を適用可能な部分を抽出するような従来のEDAソフトウエアでは、消費電力を十分に削減することができなかった。結果として、設計者は手作業で同技術を適用していたという。

 しかし、近年、プロセスの微細化によって1つのチップに集積可能なロジック回路が大きくなり、タイミングに影響を与えずに手作業でクロックゲーティング技術を適用することが難しくなってきた。さらに、手作業で行うのでは消費電力の削減の度合いが作業者のスキルに依存したり、ミスや見落としが発生したりする可能性もあった。

順序回路の解析も可能
 PowerPro CGは、上述した問題を解決するツールである。まず、RTLコードをCalypto Design Systems社独自の「シーケンシャル アナリシス テクノロジ」によって解析し、クロックゲーティング技術を適用可能な部分を自動的に抽出する。次に、その抽出した部分にクロックゲーティング回路を生成/追加したRTLコードを出力する。これにより、人手に頼ることなく、消費電力の削減が可能になる。

 例えば、図1の上部に示したロジック回路があったとする。この回路では、最終段(dout)への入力データが組み合わせ回路でゲーティングされている。この例では、この組み合わせ回路の出力が真の場合だけ、それ以降の回路にクロックを供給するようにすれば消費電力が削減できる。この回路をPowerPro CGで処理すると、図1の下部に示した形でクロックゲーティング技術が適用される。この例の場合であれば、組み合わせ回路を対象とした従来のEDAソフトウエアでも対応が可能である。しかし、PowerPro CGは、さらに順序回路をも解析できるため、データの依存関係から前段(d_1、d_2)の回路にもクロックゲーティング技術が適用可能であることを抽出する。同様に、図2のように組み合わせ回路が入力段にある場合でも、後段のロジック回路に同技術を適用可能であることも抽出する。

図1 クロックゲートの挿入例(その1)
図1 クロックゲートの挿入例(その1)
上は、オリジナルのロジック回路。下は、クロックゲート(CG)を挿入したロジック回路。


図2 クロックゲートの挿入例(その2)
図2 クロックゲートの挿入例(その2)
上は、オリジナルのロジック回路。下は、クロックゲート(CG)を挿入したロジック回路。


 また、同ソフトウエアには、面積、タイミング、消費電力を見積もることが可能な解析エンジンも含まれている。それらの働きにより、クロックゲーティング技術を適用しても回路の動作タイミングに影響が及ばないという。さらに、同技術を適用した場合の消費電流と面積の変化を見積り、それらをリストにしてグラフィカルに表示する機能も備えている。設計者はそのリストを参照しながら、クロックゲーティング技術を適用するか否かを選択することができる。同技術を適用する場合、PowerPro CGはクロックゲートを追加したRTLコードを出力する。

 PowerPRO CGによってRTLコードを生成したら、それがオリジナルのロジック回路と等価であることを検証する必要がある。同社は等価性検証ツール「SLEC」を提供しており、これによってその検証が行える。

 Calypto社の日本法人であるカリプト・デザイン・システムズでテクニカルアカウントマネジャを務める山本修作氏は、「PowerPro CGは、タイミングに影響を与えずにクロックゲーティング技術を適用する。さらに、適用の対象とするクロックの選択も可能だ。従って、クリティカルパスにクロックゲートを追加しないようにしたり、面積に影響を与えないようにクロックゲートを追加したりすることも可能である。また、すでに手作業でクロックゲートを追加したロジック回路にPowerPro CGを適用することで、さらに消費電力を削減することもできる」と述べた。

(小野 明久)

連絡先:カリプト・デザイン・システムズ代表、045-470-2070

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