■米In-Stat社 首席アナリスト Max Baron
有線/無線のネットワークを利用し、ハイビットレートのデータ転送によって高品質の音声や映像を提供するサービスに注目が集まっています。この動きが加速するに連れ、システムやプロセッサの設計者、または技術マネジャがさらに難しい決断に迫られるのは明らかです。
もはや、通信機能と性能の良さだけが新しい設計の特徴とは成りえません。システム/チップの設計者は、新しい製品において、単に効率の向上を目指したり、45nm以下の半導体プロセス技術で見られるさまざまな問題を改善したりするだけでは済まないのです。現在、市場における競争の条件はさらに厳しくなっています。機能その他の面で革新的な設計であることはもちろん、消費市場での低価格化競争にも勝たなければなりません。コンフィギュラブルなプロセッサ、アクセラレータ、マルチコアプロセッサ、超並列アーキテクチャといった技術要素は設計者にとっての選択肢を広げますが、同時に製品化を目指した決断をより難しいものにする可能性もあります。
成功するためには、どのようなアプローチをとればよいのでしょうか。x86ベースの高性能プロセッサを用いたパソコンやハイエンドの組み込み機器で用いられている設計が、自動車を含めたモバイルエンターテインメント機器や、家庭用のエンターテインメント機器においても、従来の組み込みプロセッサをベースとした設計に取って代わることになるのでしょうか。また、パソコン/ハイエンド組み込み機器の設計は、セットトップボックスやデジタルビデオカメラ/デジタルカメラといった組み込み機器の設計と、価格や機能の面で競い合うことになるのでしょうか。そして、組み込みシステムの設計者がパソコンや安価なインターネット機器に対抗するには、どのような手段があるでしょうか。
今回のマイクロプロセッサ・フォーラム・ジャパン2008では、ホーム/モバイル・デジタル・エンターテインメントの分野における今後の設計を左右するようなチップ、ソフトウエアにかかわる業界のリーダーの方々に講演していただきます。前回までと同様、講演内容はマーケティングの要素から離れ、最新のアイデアや興味深いソリューションに関する詳細な技術発表に特化します。本フォーラムの各講演で明らかにされる技術や設計指針など、ここでしか得られない貴重な情報を皆さんの設計に役立てていただきたいと考えています。
■リード・ビジネス・インフォメーション株式会社 編集委員 馬本 隆綱
マイクロプロセッサ・フォーラム・ジャパン(以下、MPFジャパン)は、今回で5回目の開催となります。MPFジャパンの役割は、世界最先端のプロセッサ技術に関する情報を日本の技術者の方にいち早くお届けすることに加え、プロセッサを使う側(機器メーカーなど)の方にも、将来のプロセッサ応用機器の技術トレンドなどを講演していただく機会を提供することだと考えています。そして、プロセッサやその関連技術の開発に携わっておられる技術者の方が、所属される組織を超えて交流を深めていただくことで、MPFジャパンがプロセッサ技術者のコミュニティの1つとして発展していくことを願っております。
MPFジャパンでは、これまでも「消費電力を上げることなく性能を向上させるプロセッサ技術」を追求してきました。その答えの1つがマルチコアプロセッサ技術です。それとは別に、プロセッサのアプリケーションにも注目しました。これまで、次世代携帯電話やカーエレクトロニクスの特別セッションを設けてきました。今回フォーカスするのは「ホーム/モバイル・デジタル・エンターテインメント」です。
基調講演では「デジタル放送とモバイル通信の統合技術」や、「デジタル情報家電機器の進化を支えるLSIの要素技術」についての将来展望を語ってもらう予定です。一般講演では、デジタル情報家電機器や車載情報機器向けに、並列処理で画像処理機能を高めたマルチコアプロセッサ技術やコンパイラ技術などの発表を予定しています。
MPFジャパンでは、最先端のマイクロプロセッサ技術や組み込みプロセッサ技術、画像処理プロセッサ技術に関する情報を発信していきます。新しい設計手法や技術トレンドなど、技術者の方の業務に役立つ情報を会場でつかんでいただければ幸いです。