News Center
6MHz動作のDC-DCコントローラ、
負荷変動に強い新アーキテクチャを採用
[issued: 2008.09.03]
日本テキサス・インスツルメンツは2008年9月、入力電圧が2.3V~5.5Vで出力電圧が1.8VのDC-DCコントローラIC「TPS62601」を発表した。PWM(Pulse Width Modulation)回路のスイッチング周波数は6MHzで、出力電流は最大500mA。パッケージは外形寸法が0.9mm×1.3mmの6端子WCSPである。0.47µHのインダクタを使用でき、実装面積が13mm2で厚さが0.6mmのDC-DCコンバータを構成することができる。次世代携帯電話機におけるI/Oバスの電源電圧を1.8Vまで下げたいという要求に応えるために、PWM回路のアーキテクチャを刷新した製品である。
携帯電話機市場の要求
現状、携帯電話機では、一般的にI/Oバスの電源電圧として3.3Vが使われている。この3.3Vという電圧は、電池の出力を基に降圧型DC-DCコンバータで生成することになる。携帯電話機では1セルのリチウムイオン電池が使われていることが多く、満充電時の出力電圧は4.2V、通常で3.7V、放電終止電圧が2.3V程度となっている。そのため、DC-DCコンバータで3.3Vを生成するために、電池電圧が3.5V程度まで下がったとき、すなわち電池残量がなくなるかなり前の段階で再充電する必要があった。そこで、電池寿命を延ばすために、I/Oバスの電源電圧を1.8Vに下げたいという市場の要求が生まれた。すなわち、電池の放電終止電圧である2.3Vからでも生成できる電圧でI/Oバスを駆動できるようにしたいということである。TPS62601の下限入力電圧である2.3Vという値と、出力電圧である1.8Vという値はこのような背景から決められた。
TPS62601の設計上の目標として重要視されたのは、負荷変動に対する高速な応答特性である。同製品がターゲットとする用途では、出力コンデンサの値として4.7µFが利用される。この条件の下、負荷変動に対して高速に応答するDC-DCコンバータを実現するために、0.47µHのインダクタ、6MHzのスイッチング周波数という仕様が決まった。
TPS62601の設計上の目標として重要視されたのは、負荷変動に対する高速な応答特性である。同製品がターゲットとする用途では、出力コンデンサの値として4.7µFが利用される。この条件の下、負荷変動に対して高速に応答するDC-DCコンバータを実現するために、0.47µHのインダクタ、6MHzのスイッチング周波数という仕様が決まった。
アーキテクチャの刷新
負荷変動に対する高速な応答特性を実現する上で、通常のPWM方式が仕組み的に抱える弱点が問題となった。通常のPWM方式では、誤差アンプ、コンパレータ、発振器を用いて負帰還回路を構成する(図1)。この負帰還回路には、発振することなく安定に利用できるようにするために位相補償が施される。すなわち、位相補償回路を追加したり、高周波領域(大きな負荷変動に対応)においてループゲインを抑えたりといったことが行われる。その結果、急激な負荷変動が発生した場合には、デューティを徐々に高めた数発のPWMパルスによって出力電圧を所望の値に戻すという動きになる。そのため、高い応答速度を実現できないのである。
この問題を解決するために、TPS62601では、従来のPWM方式とは異なるアーキテクチャを採用した。同製品は、誤差アンプや発振器は内蔵していない。1個のコンパレータで実現するPFM(Pulse Frequency Modulation)方式のアーキテクチャと同様に、コンパレータに直接フィードバック電圧を戻す構成としている(図2)。この構成の意味は、系全体を意図的に発振させて使用するということである(発振周波数は6MHz)。すなわち、従来のPWM方式における負帰還回路のように位相補償によって発振を防ぐ必要がない。そして、大きな負荷変動が発生して出力電圧が低下すると、コンパレータからの出力がハイレベルとなり、MOSFETをオンし続ける。この状態は、出力電圧が所望の値(1.8V)になるまで継続するので、高い応答性が得られる。出力電圧が所望の値まで復帰したら、コンパレータがローレベルを出力して通常のPWMパルスを出力するという動作になる。なお、6MHzの発振周波数は図中の周波数制御ブロックにより、コンパレータ出力に遅延を加えることで実現する。スイッチング周波数が固定であるため、通常のPFM方式のように、可聴帯域の周波数ノイズが発生することはない。6MHz動作時には、89%の効率が得られているという。
TPS62601の自己消費電流は6.5mA(無負荷時)。負荷が軽い場合には、PWM動作からPFM動作に自動的に切り替わる省電力モードも備えている(PWM動作に固定することも可能)。同モードにおける自己消費電流は30µA。シャットダウンモードでの消費電流は1µAである。
TPS62601はすでに量産出荷中であり、1000個購入時の参考単価は1.45米ドル。評価モジュールの「TPS62601EVM-327」も提供されている。
(飴本 健)
この問題を解決するために、TPS62601では、従来のPWM方式とは異なるアーキテクチャを採用した。同製品は、誤差アンプや発振器は内蔵していない。1個のコンパレータで実現するPFM(Pulse Frequency Modulation)方式のアーキテクチャと同様に、コンパレータに直接フィードバック電圧を戻す構成としている(図2)。この構成の意味は、系全体を意図的に発振させて使用するということである(発振周波数は6MHz)。すなわち、従来のPWM方式における負帰還回路のように位相補償によって発振を防ぐ必要がない。そして、大きな負荷変動が発生して出力電圧が低下すると、コンパレータからの出力がハイレベルとなり、MOSFETをオンし続ける。この状態は、出力電圧が所望の値(1.8V)になるまで継続するので、高い応答性が得られる。出力電圧が所望の値まで復帰したら、コンパレータがローレベルを出力して通常のPWMパルスを出力するという動作になる。なお、6MHzの発振周波数は図中の周波数制御ブロックにより、コンパレータ出力に遅延を加えることで実現する。スイッチング周波数が固定であるため、通常のPFM方式のように、可聴帯域の周波数ノイズが発生することはない。6MHz動作時には、89%の効率が得られているという。
TPS62601の自己消費電流は6.5mA(無負荷時)。負荷が軽い場合には、PWM動作からPFM動作に自動的に切り替わる省電力モードも備えている(PWM動作に固定することも可能)。同モードにおける自己消費電流は30µA。シャットダウンモードでの消費電流は1µAである。
TPS62601はすでに量産出荷中であり、1000個購入時の参考単価は1.45米ドル。評価モジュールの「TPS62601EVM-327」も提供されている。
(飴本 健)
Sponsor Links
TOP 10 ページ
- インテルが新プロセッサ「Core i7」を発表、 デスクトップ型パソコンがターゲット
- Spansion社が「EcoRAM」の詳細を明らかに、 サーバーのメインメモリー用途を狙う
- フラッシュメモリーの代替となるか? 不揮発性RRAMの開発を進めるIMEC
- 【ET2008】富士通マイクロのFRAM搭載8ビットマイコン、2009年1Qに量産化
- ルネサスやソフトバンクモバイルなど7社、 新たにSymbian Foundation支持を表明
- タイマー機能付きの電源遮断用スイッチ回路
- 北米半導体製造装置メーカーの受注と出荷が 2003年と同水準に
- 【ET2008】NECエレが「1枚超解像」技術ICを出展、 2008年12月から販売開始
- 【ET2008】組み込みボードでFPGAの訴求を図る ザイリンクス
- 【ET2008】5つの動画と3D画面の 同時表示を可能にするグラフィックスボード
Partner Solutions
Event
-
品質向上セミナー
『開発上流で品質を確保する手法と事例』
2008年 12月11日ー2008年12月11日
UDX GALLERY -
第1回 アナログセミナー
『アナログICを選ぶ、使う』
2008年 12月03日ー2008年12月03日
東京コンファレンスセンター・品川











