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三菱電機、外径15cmで重量10kgと小型の
電子加速器を開発
[issued: 2008.08.29]
三菱電機は2008年8月、本体外径が15cmで重さが10kgの小型電子加速器「ラップトップ加速器」を開発したと発表した(写真1)。同電子加速器の試作機により原理実証を実施した結果、990keV(キロ電子ボルト)の電子ビームを発生することに成功し、発生点径10µmのX線の発生を実現したという。同社は今後、X線非破壊検査やX線診断用装置の光源などの用途に向けて製品開発を進める予定である。
X線は貫通力の強い高エネルギの電磁波で、加速した電子ビームをタングステンなどのX線ターゲットに衝突させることで得られる。非破壊検査などにおいては、より厚い物体を透視するために、高エネルギのX線を発生する装置が求められてきている。しかし、一般的なX線管球を使用したX線発生装置では高エネルギのX線が得られないという課題があった。一方、線形の電子加速器を用いると高エネルギのX線を発生できるものの、装置のサイズが1mを超えてしまうなど小型化の面で課題があったという。
こうした課題に対し、三菱電機が開発した小型の円形加速器では、必要な高エネルギレベルまで電子ビームを加速でき、発生点サイズが小さいX線を発生することができる。同社先端技術総合研究所 電機システム技術部 高周波/加速器グループマネージャの田中博文氏は、「円形加速器としては、電子を加速させるために磁場を変化させるシンクロトロンや周回半径を変化させるサイクロトロンなどが実用化されている。今回開発したラップトップ加速器は、偏向磁場と偏向半径の両方を変化させる『ハイブリッド加速手法』を採用することで、大電流加速と小型化を同時に実現することに成功した」と説明する。
また、「このラップトップ加速器と同程度の加速エネルギ(990keV)が得られる従来型の線形加速器(950keV)では、外形サイズは1m以上になり、重量は350kgほどにもなってしまう。また、加速器を駆動するには電源が必要だが、従来の線形加速器に用いる電源の重量は400kgほどになる。これに対して、当社のラップトップ加速器に用いる電源の重量は40kg程度に抑えることができ、小型/軽量化が図れる」(田中氏)という。
三菱電機はさらに、今回開発したラップトップ加速器を用いて周回電子ビームをX線ターゲット(先端7µm)に衝突させ、発生点径10µmのX線を発生することに成功した。田中氏は、「発生点径が小さいX線を発生できることで、屈折撮像を実現することが可能になる。従来の吸収撮像と比べて、屈折撮像では物質境界が強調された高精細な画像が得られるため、医療診断などでの利用が期待できる」と述べた。
実際にラップトップ加速器で発生させたX線を用いて幅0.5mmの半導体リードフレームを撮影したところ、「くっきりとした物質境界のX線画像を得ることができた。これにより、屈折撮像の原理検証に成功したことになる」(田中氏)という。同社は今後、加速器のさらなる大出力化を図ったり、信頼性を高めたりすることで製品化を目指す。併せて、今回開発した電子の加速手法を、ほかの加速器へ展開するといった取り組みを進める方針である。
(鉄井 亮一)
X線は貫通力の強い高エネルギの電磁波で、加速した電子ビームをタングステンなどのX線ターゲットに衝突させることで得られる。非破壊検査などにおいては、より厚い物体を透視するために、高エネルギのX線を発生する装置が求められてきている。しかし、一般的なX線管球を使用したX線発生装置では高エネルギのX線が得られないという課題があった。一方、線形の電子加速器を用いると高エネルギのX線を発生できるものの、装置のサイズが1mを超えてしまうなど小型化の面で課題があったという。
こうした課題に対し、三菱電機が開発した小型の円形加速器では、必要な高エネルギレベルまで電子ビームを加速でき、発生点サイズが小さいX線を発生することができる。同社先端技術総合研究所 電機システム技術部 高周波/加速器グループマネージャの田中博文氏は、「円形加速器としては、電子を加速させるために磁場を変化させるシンクロトロンや周回半径を変化させるサイクロトロンなどが実用化されている。今回開発したラップトップ加速器は、偏向磁場と偏向半径の両方を変化させる『ハイブリッド加速手法』を採用することで、大電流加速と小型化を同時に実現することに成功した」と説明する。
また、「このラップトップ加速器と同程度の加速エネルギ(990keV)が得られる従来型の線形加速器(950keV)では、外形サイズは1m以上になり、重量は350kgほどにもなってしまう。また、加速器を駆動するには電源が必要だが、従来の線形加速器に用いる電源の重量は400kgほどになる。これに対して、当社のラップトップ加速器に用いる電源の重量は40kg程度に抑えることができ、小型/軽量化が図れる」(田中氏)という。
三菱電機はさらに、今回開発したラップトップ加速器を用いて周回電子ビームをX線ターゲット(先端7µm)に衝突させ、発生点径10µmのX線を発生することに成功した。田中氏は、「発生点径が小さいX線を発生できることで、屈折撮像を実現することが可能になる。従来の吸収撮像と比べて、屈折撮像では物質境界が強調された高精細な画像が得られるため、医療診断などでの利用が期待できる」と述べた。
実際にラップトップ加速器で発生させたX線を用いて幅0.5mmの半導体リードフレームを撮影したところ、「くっきりとした物質境界のX線画像を得ることができた。これにより、屈折撮像の原理検証に成功したことになる」(田中氏)という。同社は今後、加速器のさらなる大出力化を図ったり、信頼性を高めたりすることで製品化を目指す。併せて、今回開発した電子の加速手法を、ほかの加速器へ展開するといった取り組みを進める方針である。
(鉄井 亮一)
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