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「ペタスケールからミリワットまで」、
Intel社が製品戦略を紹介

[issued: 2008.06.02]

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 2008年5月、米Intel社の上席副社長兼デジタル・エンタープライズ事業本部長であるPatrick Gelsinger氏が都内で記者説明会を行った。インテルアーキテクチャ(IA)による革新とマルチコアの効率的な利用のための取り組みを中心に、同社の将来の製品動向を明らかにした。「ペタスケールからミリワットまで」と題したプレゼンテーションの中で、同氏はHPC(high performance computing)への取り組みと展開、エコロジーへのアプローチ、ビジュアルコンピューティングのためのアーキテクチャ、および低消費電力のプラットフォームの開発などについて説明した。

 Gelsinger氏が最初に紹介したのは、Intel社のHPCに対する取り組みである。現在、大規模なシミュレーションや計算を行うために、CPUに対してより一層の性能向上が求められているのは周知のとおりだ。Gelsinger氏は、「CT(computed tomography)スキャンやMRI(magnetic resonance imaging)によって医療用画像を得るには、1PFLOPS(ペタフロップス。1秒間に1000兆回の浮動小数点演算)の演算性能が必要となる。また、ゲノムの研究など遺伝子関係の用途にはその100倍の100PFLOPSが、さらに、正確な気象予測を行うにはその1万倍の1ZFLOPS(ゼタフロップス)の性能が必要となる」という例を挙げた。Intel社は、こうした市場にも狙いを定めている。実際、同社はHPC用CPU市場の約4/5を占める製品を供給しているという。同社の製品は、スウェーデンの国防関連の無線施設や、インド政府の科学R&D施設など、世界中に展開されている。今後も、「IAベースのプロセッサを搭載したスーパーコンピュータが、研究施設などに大きく貢献するはずだ」と同氏は語った。

 このような高性能化とともに、Intel社はミッションクリティカルな分野の要求に応える製品も開発している。その1つが次世代プロセッサの「Tukwila(開発コード名)」である。Tulwilaは、クワッドコアのItaniumプロセッサであり、30Mバイトのキャッシュメモリーを備え、搭載されるトランジスタの数は20億個に上る。「QuickPath Interconnect」と呼ばれる高速シリアルインターフェースも搭載する。デュアルコアのItanuimプロセッサシリーズ「9100」と比較して、最大2倍の性能が得られ(推定値)、メインフレームクラスのRAS(信頼性、可用性、保守性)を実現するという。

 Intel社は、グリーンIT企業として環境への取り組みも積極的に行っている。2007年6月には米Google社や米Microsoft社などと共同で、パソコンの消費電力を低減することによって温室効果ガスの削減を図ることを目的とした「Climate Savers Computing Initiative」を立ち上げている。また、実際に、エネルギ効率の評価基準として策定された「SPECpower」によると、SPECpowerが高い(すなわち、エネルギ効率が高い)上位10種のプラットフォームには、すべてIntel社のプロセッサが使用されているという。同社は具体的な目標として、2010年までにコンピュータ機器の消費電力を50%削減することや、年間5400万tの二酸化炭素排出量の削減を掲げている。

 また、Intel社の開発モデル「Tick Tock」にのっとった製品として、45nmプロセスの「Nehalem(開発コード名)」や32nmプロセスの「Sandy Bridge(開発コード名)」などが改めて紹介された。Tick Tockは、CPUの製造プロセス技術とアーキテクチャを、2年単位でアップグレードしていく同社の開発戦略である。Nehalemは2/4/8コアで、3チャンネルのDDR3メモリーコントローラを備えているほか、QuickPath Interconnectや、双方向同時マルチスレッドなどに対応する。2008年第4四半期に量産を開始する予定だという。Sandy Bridgeは、高度な浮動小数点処理能力を必要とするアプリケーション向けに提供する製品。ベクターを128ビットから256ビットへと拡張することによってSSE(streaming SIMD extensions)を強化したもので、最大2倍のFLOPSピーク値を実現する。

 さらに、Intelが取り組むビジュアルコンピューティングを実現するためのアーキテクチャとして投入されるのが、「Larrabee(開発コード名)」だ。同社がメニーコア(many core)と呼ぶ、数十個のCPUコアを搭載したマルチコアCPUである。IAコアを、TFLOPS(テラフロップス)を実現するレベルにまで拡張することが可能だという。これに加えて、新しいキャッシュアーキテクチャと、新しいベクトル命令セットなどにも対応する。

 低消費電力をターゲットとしたプラットフォームとしては、45nmプロセスを採用した「Menlow(開発コード名)」が紹介された。Menlowは、「Silverthorne(開発コード名)」プロセッサと「Poulsbo(開発コード名)」チップセットで構成される。モバイル機器をターゲットとし、実装面積と消費電力の低減を図ったものだ。Gelsinger氏は、このほか、2009年から2010年にかけて登場する予定の小型/低消費電力のプロセッサ「Moorestown」などを例に挙げ、「Intelの妥協なき革新は続く」ことを改めて強調した。
(村尾 麻悠子)

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