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デジタルテレビ用のフルデジタルアンプIC、
負帰還回路内蔵は業界初

[issued: 2008.02.26]

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 日本テキサス・インスツルメンツ(以下、日本TI)は2008年2月、20Wステレオ出力のフルデジタルアンプIC「TAS5706」を発表した。デジタルテレビ市場を主なターゲットとする。パッケージは10mm×10mmのQFPまたはSMT。100個購入時の単価(参考価格)は5.46米ドル。


 デジタルテレビの市場ではD級アンプが比較的普及しているが、一言でD級アンプといっても、その実現形態は大きく分けて2種類ある。アナログ入力型のD級アンプ(図1)とデジタル入力型のD級アンプ(フルデジタルアンプ)である(図2)。D-Aコンバータからのアナログ信号を受け取るアナログ入力型に対し、フルデジタルアンプでは、IISフォーマットのデジタルデータを直接入力することができる。実装面積や部品点数に対する要求が厳しいデジタルテレビでは、フルデジタルアンプは魅力的だが、音質の面で1つの問題があった。D級アンプを用いる場合、通常は、MOSFETを用いたパワーアンプ部の電源電圧の変動や、Hブリッジ回路のスイッチング特性、デッドタイムといった音質の劣化要因を解消するための負帰還回路を設けることになる。電源電圧の変動を例にとると、PWM制御では、パワーアンプ部の電源電圧とパルスのデューティ比の積で出力電力が決まるので、電源電圧が理想状態から外れると、音質が劣化してしまう。そのため、パワーアンプ部の電源電圧が変動したら、それを検出して、PWM信号のデューティ比を変動させるといった負帰還制御が必要になるわけだ。

 アナログ入力型のD級アンプでは、この負帰還回路の実現手段は比較的容易である。それに対し、フルデジタルアンプでも一般的に考えられる実現手段がないわけではないが、専用のA-Dコンバータを内蔵する必要が生じてチップ自体のコストが増加したり、制御系の応答時間の問題が発生したりすることから現実的な解とは言えなかった。また、パワーアンプ部の電源電圧が安定していれば上述したことは問題にならないが、そのためには電源回路にかけるコストが増大してしまい、「デジタルテレビの分野では、最適な解決策だとは言えない」(日本TI)という。


 TAS5706の最大の特徴は、上述した負帰還回路を比較的低コストな手段で実現したことである。パワーアンプ部の出力とその前段のPWM回路の比較を行い差分を制御系にフィードバックするという基本的な仕組み以上は明かさなかったが、負帰還回路を内蔵したフルデジタルアンプは「業界初」(日本TI)だという。同社は、安価な電源を利用した場合について、負帰還回路を持たないタイプの製品とTAS5706の比較評価を行った。その結果、図3に示すような特性が得られているという。

 TAS5706のもう1つの特徴として、小規模なDSPを搭載していることも挙げられる。このDSPにより、7バンドのスピーカ補正用イコライザやダイナミックレンジコンプレッサ、デジタルボリュームなどの機能が利用できる。  TAS5706のロジック回路用の電源電圧は3.0~3.6Vで、パワーアンプ部用の電源電圧は10~26V。サンプリング周波数は32kHz~192kHzに対応する。ダイナミックレンジは105dB以上で、効率は90%以上。通常のステレオ出力以外に、ヘッドホン用のステレオPWM出力とサブウーハ用の1チャンネルPWM出力を備える。 (飴本 健)

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