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Analog Devices社、HDTV向け製品ソリューションを発表

[issued: 2007.10.02]

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 米Analog Devices社は2007年9月、HDTV(高品位テレビ)向けソリューション「Advantiv」ブランドを立ち上げ、これに属するオーディオプロセッサやオーディオアンプ、HDビデオ圧縮コーデック、HDMI(high definition multimedia interface)トランスミッタを発表した。Advantivは、信号処理技術を用いた同社デバイスとそのサポートを総称するブランドで、これによってHDTV関連製品の設計者に対して設計やコストの効率化を提供し、エンドユーザーに対しては高品質の視聴環境を提供するという。同社は、このブランドによってHDTVなどのデジタルエンターテインメントを支える同社の信号処理技術をアピールしていく考えだ。
 同ブランドによって最初に提供される製品は、オーディオプロセッサ4製品とD級オーディオアンプ3製品、ビデオコーデック1製品、HDMIトランスミッタ1製品など。以下にそれらの詳細を順に紹介する。



薄型テレビの音質を改善するオーディオプロセッサ
 オーディオプロセッサ「ADAV4101」、「ADAV4201」、「ADAV4312」、「ADAV4322」の4製品は、A-D/D-AコンバータやデジタルI/Oを備えたオーディオ処理向けのDSP。いずれも、薄型の液晶テレビやプラズマテレビなどにおける設置スペースの制約によりサイズを十分確保できないスピーカの音質改善や、チャンネル切り替え時の音量変化を補正する自動音量制御、マルチバンドのイコライザ、映像と音声のタイミングを一致させるために用いる最大200msの遅延などの機能を備える。米Dolby Laboratories社や米SRS Labs社、米BBE Sound社が提供する音声処理技術を実装することが可能であり、そのためのソフトウエアライブラリが提供される。また、機器設計者が独自に機能をカスタマイズすることも可能で、グラフィカルなプログラミング環境である「SigmaStudio」が提供される。主にHDTVやHDに対応したDVDプレーヤ、デジタルビデオレコーダ、デジタルビデオカメラ、テレビチューナ、セットトップボックスなどデジタル家電製品の用途に向ける。

 4製品の違いは、オーディオ出力がADAV4201のみPWM信号であることや、アナログテレビ放送のステレオ信号の復調を行うSIF(sound interface processor)の有無、アナログI/Oの個数などである。いずれも量産出荷されており、パッケージは80端子LQFP。

電力効率90%のD級オーディオアンプ
 「ADAU1590」、「ADAU1592」、「ADAU1513」の3製品は、いずれも2チャンネルのスピーカ出力を備え、90%の電力効率を実現するD級オーディオアンプ。

 ADAU1590とADAU1592は、アナログのオーディオ信号をパルス出力に変換するパルス密度変調回路を備え、インピーダンスが6Ωのスピーカに対してそれぞれ11.5Wと18Wの出力を供給する。THD+N(total harmonic distortion+noise:全高調波歪+ノイズ)は両製品ともに0.005%(出力電力が1Wのとき)で、電源ノイズへの耐性を表すPSRR(power supply rejection ratio)はそれぞれ55dBと65dBだ。オーディオプロセッサのADAV4101やADAV4312、ADAV4322と組み合わせることにより、電源オン/オフ時のポップ音やクリック音を抑制し、最小音量時の残留背景雑音を取り除くことができるという。

 ADAU1513は、PWM変調されたオーディオ信号の入力に対応したD級オーディオパワーアンプであり、オーディオプロセッサのADAV4201と組み合わせて用いる。インピーダンスが8Ωのスピーカに対して14.5Wの出力を供給可能で、THD+Nは0.1%(出力電力が1Wのとき)。

 いずれのオーディオアンプも主な用途は、薄型テレビなどの電力効率と音質を求められる製品である。パッケージは48端子LFCSPと48端子TQFPで、量産出荷中だ。

HDビデオ信号をリアルタイムに圧縮/伸張可能なビデオコーデック
写真1 ASUSTeK社とAnalog Devices社が共同で開発したHDビデオの無線受信機
写真1 ASUSTeK社とAnalog Devices社が共同で開発したHDビデオの無線受信機
UWBによって伝送されたHDビデオ信号を受信して、HDMIのインターフェースから出力する。

 「ADV216」は、HDビデオ信号をリアルタイムに圧縮/伸張することが可能なビデオコーデックである。圧縮形式は、JPEG 2000をベースにした圧縮技術の「Wavescale」。これは従来、デジタルシネマやテレビ番組の制作、医療用画像処理システム、セキュリティシステムなどに用いられていたハイエンドのプロ用画像圧縮技術だ。MPEG-2やH.264と比較して圧縮にかかる時間が短く、エラー訂正能力が高いなどの特徴を備える。この特徴によってノイズなどが原因でデータが欠損しても高い品質のビデオを再生することができるため、UWB(ultra wide band)やIEEE 802.11nなどの無線方式によるビデオ伝送システムに最適だという。主な用途はホームエンターテインメントシステムである。パッケージは、13mm×13mmのBGAで1000個購入時の単価は17.35米ドル。同デバイス1個で圧縮と伸張の両方の処理が可能だが、解像度1080iのビデオを圧縮する場合には同デバイスを2つ用いる(伸張のみの場合は1つでよい)。

 ADV216は、Wavescaleによる圧縮/伸張機能に加えて、Analog Devices社独自のSURF(spatial ultra efficient recursive filtering:空間超効率再帰フィルタリング)ウェーブレット技術に対応しており、外部メモリーを使うことなくリアルタイムのビデオ圧縮を実現するという。また、データレートやフレームごとの処理を容易に設定できるインターフェースを備えるため、同デバイスを組み込んだ機器の設計容易化が図れる。さらに、圧縮/解凍に要する時間が短いため、レイテンシの短いリモコン応答などを可能にするという。

 なお、本発表の会場では、ADV216を用いてHDビデオ信号を無線で伝送するデモが行われた。そのシステムは、Analog Devices社と台湾ASUSTeK Computer社が共同で設計/開発した。HD DVDプレーヤからのHDビデオ信号とオーディオ信号を圧縮してUWB無線システムで送信し、それを受信機で受け取ってHDMI信号を復元するというものだ(写真1、写真2)。

写真2 UWBでHD解像度のビデオを伝送するデモ
写真2 UWBでHD解像度のビデオを伝送するデモ
HD DVDプレーヤで再生したHDビデオ信号を無線で送信し、2台の受信機で受け取りHDMI経由でテレビに表示している。


CECバッファを内蔵したHDMIトランスミッタ
 「ADV7520NK」はHDMIのバージョン1.3に対応したトランスミッタであり、オーディオ/ビデオ機器間の通信規格であるCEC(consumer electronics control)準拠のバッファを内蔵している。それによって従来は、外部のマイクロコントローラなどによって行わなければならなかったCECの通信処理を削減できる。また、他社のHDMIトランスミッタと比較して動作時の消費電力が50%、待機時の消費電力が10%少ないという。主に、HDMIコネクタを備えた携帯型のメディアプレーヤやDVDプレーヤ、ビデオレコーダなどの用途に向ける。パッケージは76端子BGAと64端子LFCSPで、量産出荷は2007年11月を予定する。1000個購入時の単価は4.13米ドル。  ADV7520NKはマイクロコントローラを内蔵しており、EDID(extended display identification data)の読み込みや、HDCP(high bandwidth digital content protection)の制御、CECの通信データをバッファして割り込み出力するなどの処理を実行する。このことによって、CEC/EDIDの通信処理や複雑なHDCP制御のためのプログラミング工数を削減でき、製品を市場に投入するまでの時間を短縮できるという。

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