日立マクセルは2007年9月、超臨界状態のCO2(超臨界CO2:超臨界二酸化炭素)を応用したプラスチックめっき技術を開発したと発表した。従来前処理に必要だった6価クロムを使わずに済み、ポリフェニレンサルファイド(PPS)など高耐熱のエンジニアリングプラスチックでも高い密着性を持つことから、自動車のヘッドランプ用リフレクター部品などの用途に適用できる。2008年から事業展開を本格化する予定だ。2007年10月2日から千葉・幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2007」で展示される。
今回開発した技術では、温度31℃、圧力7.4MPa(メガパスカル)以上のときに液体の溶解性と気体の浸透性を併せ持つ「超臨界流体」となったCO2を用いて、めっきの析出源となるパラジウム(Pd)触媒をプラスチック基材に含浸させる。次に超臨界CO2とニッケルリン(NiP)めっき液を混合して無電解めっきを行うと、含浸させたPd触媒からめっき反応が進行し、高い密着性を持ったNiPプラスチックめっきを実現できるという(写真1)。
従来は、6価クロムなどのエッチング剤によりプラスチック表面を凹凸に(粗化)してからPd触媒を付与し、めっきを行っていた(図1)。
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日立マクセル、超臨界CO2を使ったプラスチックめっき技術を開発
[issued: 2007.09.27]
写真1 PPSを基材としたランプリフレクターの製造プロセス
左から、初期成形品、Pd触媒付与、超臨界CO2を使ったNiPめっき後、銅めっき後、銀めっき後(完成品)
図1 従来法と超臨界CO2(scCO2)を使った方法の比較
写真2
日立マクセルの
谷口富蔵氏
日立マクセルで技術統轄本部長兼執行役専務兼取締役を務める谷口富蔵氏(写真2)は「まず有力な市場として期待できるのが金属代替プラスチックの利用が拡大している自動車部品で、ヘッドランプのリフレクタなどが有望だ」と話す。リフレクタでは、PPSに超臨界CO2によるNiPめっきを施し、その上に放熱機能のための厚膜銅めっき、間にNiPめっきを挟んで、最後に反射膜として銀めっきを行う。PPS大手の大日本インキ化学と共同開発したもので、真空蒸着では困難だったPPSへの20μm以上の厚膜形成が可能だ。
またPd触媒をプラスチック基材に含浸させるプロセスについては、単純に超臨界CO2にPd触媒を溶かした液体に漬けるバッチ法と、射出成形の時点でプラスチックの表面にPd触媒を含ませる射出成形法の2種類を開発している。当面の事業化では、技術をほぼ確立できているバッチ法をベースに展開する予定。射出成形法については、中小企業基盤整備機構が委託する福岡県の開発プロジェクトで実用化に向けた開発を進めている。
日立マクセルでは、マクセル精器などのグループ会社で射出成形品を製造しているが、同社の記録テープのプラスチック部品など、自社製品向けが中心となっている。「今後、今回のプラスチックめっき技術などを用い、高い付加価値を備えた成形品を製造して外販して行きたい」(谷口氏)という。
なお、今回の開発は、福井大学の堀照夫教授、京都大学の大嶋正裕教授、東京工業大学の曽根正人准教授との共同研究を基礎に行った。
脚注
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