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「Microprocessor Forum 2007」リポート(その1)
消費電力削減でしのぎを削る各社の最新技術
[issued: 2007.05.22]
米国サンノゼで開催中の「Microprocessor Forum 2007」。その初日(5月21日)は、「マルチメディアアプリケーションの電力効率」をテーマとするセミナーが行われた。
まず、イントロダクションとして主催者である米In-Stat社主席アナリストのMax Baron氏が講演を行った。同氏は、「ITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)のロードマップに沿ってプロセッサの微細化が進むとしたら、トランジスタ数の増加、クロックの高速化に伴って消費電力が増大し、現在の技術では冷却が困難になる」とし、これを回避するための新たな省電力技術の必要性を説いた。そのような技術の例として、同氏は消費電力を 40%削減可能な非同期ロジック技術(図1)や、Low-k材料の代わりに真空の空間を用いるエアギャップ技術(図2)を紹介した。さらに同氏は、消費電力が大きくなる理由として、通常の設計では、論理回路の確実な動作を保証するために大きなマージンを確保しているという事実を指摘。この点に着目した省電力技術として、マージンは小さく抑え、誤動作が生じた際にリカバリを行う技術「RAZOR」などを紹介した(図3)。
Baron氏に続き、10個の講演が行われたが、以下では特徴的なものをいくつか取り上げて簡単に紹介しておく。
米MEARS Technologies社プレジデントのRobert J. Mears氏は、同社の「MST(MEARS silicon technology)」についての講演を行った。MSTはシリコンの物理特性を根本的に変える新技術であり、ゲート電極の下にスーパー格子構造と呼ばれる積層構造を形成し、縦方向と横方向のバンドギャップを操作するというものだ。これによって、ハフニウムなどの材料を用いることなく、リーク電流を60%から80%削減し、さらに駆動電流を増加させることが可能だという(図4)。
一方、米Mistletoe Technologies社のハードウエア開発者Jonathan Sweedler氏は、低消費電力のネットワーク機器用SoC「RDX」を紹介した。同製品はVPN(virtual private network)、ファイアウォール、DDoS(distributed denial of service)保護の各機能を提供するSoCであり、ARMプロセッサやパケット処理用エンジンの「Direct Execution」、各種インターフェースなどを集積している(図5)。Direct Executionエンジン(図6)は、さまざまなパケットに対応した処理をあらかじめハードウエアによって構成しておき、パケットの種類を判別することなく並列に処理を実行することを特徴とする。判別処理を行わないという点がこのエンジンの“肝”であり、それによって結果が短時間で出力される。もし、間違った処理を行った場合にはエラーが発生し、その処理ルートで行われた内容がクリアされて改めて正しい結果が出力される。マイクロプロセッサで用いられている投機実行(speculative execution)をより高度化したものと考えれば分かりやすいだろう。同エンジンにより、10Wの消費電力と2ギガビット/秒のスループットが実現されるという。
そのほかにも、クロックゲーティング技術の適用を支援する米Calypto Design System社のEDAツール「PowerPro CG」や、米Marvell Technology Group 社の携帯電話機向け省電力技術、米Texas Instruments社のHD(高品位)ビデオ処理用DSPソリューション、米The PTR Groupの組み込み機器向け省電力ソリューションなどが紹介された。
(小野 明久)
まず、イントロダクションとして主催者である米In-Stat社主席アナリストのMax Baron氏が講演を行った。同氏は、「ITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)のロードマップに沿ってプロセッサの微細化が進むとしたら、トランジスタ数の増加、クロックの高速化に伴って消費電力が増大し、現在の技術では冷却が困難になる」とし、これを回避するための新たな省電力技術の必要性を説いた。そのような技術の例として、同氏は消費電力を 40%削減可能な非同期ロジック技術(図1)や、Low-k材料の代わりに真空の空間を用いるエアギャップ技術(図2)を紹介した。さらに同氏は、消費電力が大きくなる理由として、通常の設計では、論理回路の確実な動作を保証するために大きなマージンを確保しているという事実を指摘。この点に着目した省電力技術として、マージンは小さく抑え、誤動作が生じた際にリカバリを行う技術「RAZOR」などを紹介した(図3)。
Baron氏に続き、10個の講演が行われたが、以下では特徴的なものをいくつか取り上げて簡単に紹介しておく。
米MEARS Technologies社プレジデントのRobert J. Mears氏は、同社の「MST(MEARS silicon technology)」についての講演を行った。MSTはシリコンの物理特性を根本的に変える新技術であり、ゲート電極の下にスーパー格子構造と呼ばれる積層構造を形成し、縦方向と横方向のバンドギャップを操作するというものだ。これによって、ハフニウムなどの材料を用いることなく、リーク電流を60%から80%削減し、さらに駆動電流を増加させることが可能だという(図4)。
一方、米Mistletoe Technologies社のハードウエア開発者Jonathan Sweedler氏は、低消費電力のネットワーク機器用SoC「RDX」を紹介した。同製品はVPN(virtual private network)、ファイアウォール、DDoS(distributed denial of service)保護の各機能を提供するSoCであり、ARMプロセッサやパケット処理用エンジンの「Direct Execution」、各種インターフェースなどを集積している(図5)。Direct Executionエンジン(図6)は、さまざまなパケットに対応した処理をあらかじめハードウエアによって構成しておき、パケットの種類を判別することなく並列に処理を実行することを特徴とする。判別処理を行わないという点がこのエンジンの“肝”であり、それによって結果が短時間で出力される。もし、間違った処理を行った場合にはエラーが発生し、その処理ルートで行われた内容がクリアされて改めて正しい結果が出力される。マイクロプロセッサで用いられている投機実行(speculative execution)をより高度化したものと考えれば分かりやすいだろう。同エンジンにより、10Wの消費電力と2ギガビット/秒のスループットが実現されるという。
そのほかにも、クロックゲーティング技術の適用を支援する米Calypto Design System社のEDAツール「PowerPro CG」や、米Marvell Technology Group 社の携帯電話機向け省電力技術、米Texas Instruments社のHD(高品位)ビデオ処理用DSPソリューション、米The PTR Groupの組み込み機器向け省電力ソリューションなどが紹介された。
(小野 明久)
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