サラウンド・サウンド作りのノウハウを持つ技術開発会社の米SRS Labs社は、日本市場への取り組みをさらに強めていく考えを明らかにした。現状でも既に、ソニーやパナソニック、パイオニア、ケンウッド、富士通テンなど日本のユーザーは多い。「売上高が最も高い地域は日本だ」と同社CTO(最高技術責任者)のAlan Kraemer氏は言う。特に日本はフラットパネルテレビへの応用が占める部分が最も大きく、またFM放送局でも音楽にSRS社のサラウンド信号をエンコードして放送している。
同社のビジネスモデルは、音を処理するアルゴリズムを開発し、ライセンスを供与することで収入を得るというもの。半導体メーカーとは協力関係にあり、同社のアルゴリズムを半導体チップに落とし込む作業を協力して行う。ライセンス料はその半導体チップを使う電子機器メーカーが支払う。
テレビ向けには、2つのスピーカでさらに広がりのあるサラウンド効果と、低音強調効果、人間の声を明瞭に聞こえるようにする技術などをDSPやアナログ LSIで実現している。同社のアルゴリズムを実現する半導体チップを作っている企業には、米Texas Instruments社をはじめ、伊仏合弁のSTMicroelectronics社、米Analog Devices社、米Cirrus Logic社、オランダPhilips社、独Micronas社、および新日本無線などがある。
フラットパネルテレビ以外の応用として携帯型音楽プレーヤ、携帯電話機、自動車のインフォテインメントなどを強化していく。携帯型音楽プレーヤでは韓国勢のSamsung社やiRiver社などが採用しているが、iPODには使われていない。米Apple社はサードパーティを使わず全て自社開発しているからだという。まだ拠点はないものの、自動車や携帯電話機向けを中心に欧州にも力を入れていくという。日本市場は今後も積極的に攻めるとしている。
News Center
TI Developer Conferenceから:
日本との関係を強めるサラウンド技術のSRS社
[issued: 2006.03.07]
人間の音の錯覚を利用
Kraemer氏によると、サラウンド・サウンドの基本アルゴリズムは、HRTF(head related transfer function)技術だという。人間の音の認知が位置に強く関係していることを利用する。右から左へ、上から下への音の移動が、人の頭の上下左右のある一定の範囲であれば、聞こえ方が全く違ってくるのだという。空間的にわずかな部分の範囲に聞こえる音を遅らせたり、上下の角度と共に音を調整したり、あまり高くない周波数の音を拡散させるなどの処理をすることによって仮想的に聞こえる場所が違ってくる。空間的な場所や音(周波数や大きさ、音の種類など)をモデル化し、数式化する。それをDSP等で計算し、広がりのある音を仮想的に作り出す。音楽などの音はいろいろな周波数を持った音で作られているため、人間が音を錯覚する、と同氏はいう。もし単一周波数の音なら、いろいろな処理を施すと人間はどこから発生している音なのかを区別できないという。
同社の低音強調のTruBass技術も錯覚を利用している。本来なら、可聴周波数の下限は100Hz程度であるが、低音を強調するアルゴリズムによって本来ならスピーカーで再生できない50Hz程度の音が聞こえているような錯覚を起こすのだとしている。
(津田 建二)
同社の低音強調のTruBass技術も錯覚を利用している。本来なら、可聴周波数の下限は100Hz程度であるが、低音を強調するアルゴリズムによって本来ならスピーカーで再生できない50Hz程度の音が聞こえているような錯覚を起こすのだとしている。
(津田 建二)
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