Pulse

実使用時の音声品質課題に注目、
日本TIのオーディオレシーバ/コーデック

[2007年07月号]

この記事を :  印刷する プリントする ブックマーク  はてなブックマークに登録 この記事をクリップ! Buzzurlにブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 メールで送る メールで送る
 日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、デジタルオーディオ用のインターフェースレシーバとコーデックの2製品を発表した。両製品とも、実使用時における音声品質の課題に注目し、それをアナログ回路に対する工夫によって解消していることを特徴とする。

出力クロックジッターを抑える
図1 DIR9001の評価ボード
図1 DIR9001の評価ボード

「DIR9001」は、S/PDIF(Sony Philips Digital Interface)、EIAJ CP-1201、IEC 60958、AES/EBUなどのステレオデジタルインターフェースで利用可能なレシーバIC(図1)。28kHz~108kHzのサンプリング周波数(fs)に対応し、AV/DVDレシーバ、AVアンプ、車載オーディオ、デジタルテレビ、パソコン用オーディオなどの用途に利用できる。外部クロックを用いることなく利用可能であること、ソフトウエアを用いず、ハードワイヤードによる設定で動作モードの指定が可能といった特徴を備えるが、特筆すべきは、出力クロックジッターが非常に小さく抑えられていることだ。

 この種のレシーバICは、S/PDIFフォーマットなどの信号を受けて、音声の再生に必要となるクロックを生成する。DIR9001の場合、128fs、256fs、384fs、512fsのクロックに対応する。このクロックは、同レシーバの後段に配置されるD-Aコンバータのシステムクロックとして使用される。

 いうまでもなく、D-Aコンバータ/A-Dコンバータの基本原理は、fsが一定であることを前提としている。現実世界では、水晶発振器を利用することで理想に近い状態が得られることになる。しかし、昨今のオーディオシステムではさまざまなfsに対応する必要があり、各fsに応じた複数の水晶発振器を用意するのは現実的ではないことが多い。そのため、D-Aコンバータで用いるクロックも、PLLを使って生成するという手段を選ぶことになる。PLLが生成するクロックにはジッターが含まれ、ここに音声品質の劣化要因が存在する。すなわち、理想から外れたクロックが供給されるため、D-Aコンバータの実力が発揮されず、再生音にさまざまなノイズが含まれてしまうのだ。

 DIR9001では、S/PDIFなどからの信号を基にシステムクロックを生成するクロック/データリカバリブロックの設計に十分な配慮を行った。このブロックは、PLLを中心として構成されている。「一見するとデジタル入力、デジタル出力のデジタルチップだが、このブロックの本質はアナログ。回路的にも、レイアウト的にも、プロセス的にも、このブロックはアナログ回路として設計した」(同社)という。その結果、DIR9001が生成するシステムクロックのジッターは50ps(代表値)に抑えられている(保証値は100ps以下)。また、クロックジッターがアナログ特性に及ぼす影響は、ジッターの大きさだけでなく、周波数分布にも依存する。DIR9001のジッター特性は正規分布的なものとなっており(図2(a))、その面でもアナログ特性に対して有利だという。

 DIR9001は、オーディオデータフォーマットとして、24ビットのI 2S、24ビットの前詰め、16/24ビットの後詰めに対応する。3.3V系の単電源動作で、5Vのロジック入力も利用できる。動作温度範囲は-40~85℃の車載対応であり、パッケージは28端子のTSSOP。すでに出荷中で、1000個受注時の単価は1.95米ドル(参考価格)となっている。

(a)DIR9001
図2 ジッター特性の比較(光接続時)
(a)DIR9001



(b)競合他社製品
図2 ジッター特性の比較(光接続時)
(b)競合他社製品



A-D/D-Aの独立動作に対応
図3 PCM3060
図3 PCM3060

 「PCM3060」は、ステレオ対応のD-AコンバータとA-Dコンバータを1チップ化した製品(図3)。D-Aコンバータのfsは16kHz~192kHz、A-Dコンバータのfsは16kHz~96kHzで、fsが48kHzの場合のダイナミックレンジはそれぞれ104dB、99dB(いずれも標準値)を実現している。

 PCM3060の最大の特徴は、A-DコンバータとD-Aコンバータを異なるクロック源を用いて動作させることができることだ。これは、HDD/DVDレコーダなどにおける裏録動作に対応するためである。つまり、アナログテレビチューナからのfs=32kHzの音声をA-Dコンバータで録音しながら、DVDドライブからのfs=96kHzの音声を再生するといったことが行える。同社はこの機能を「非同期動作」と呼んでいる。この非同期動作が行えない製品を使う場合、A-Dコンバータ、D-Aコンバータはそれぞれ単体の製品を使用しなければならなかった。

 また、PCM3060はこの非同期動作時に発生する音質の問題にも対処している。一般に、非同期動作に対応した1チップのコーデックの場合、非同期かつ同じfsでA-DコンバータとD-Aコンバータを動作させると特性劣化が生じやすくなる。同社によれば、競合他社品ではD-Aコンバータのダイナミックレンジが約6dB劣化する例もあるという(図4(b))。同社はこの特性劣化に注目し、PCM3060ではA-DコンバータとD-Aコンバータのアイソレーション対策を徹底して行った。それにより、図4(a)のような良好な結果が得られているという。

 PCM3060は、24ビットのI2S、24ビットの前詰め、16/24ビットの後詰めデータフォーマットに対応する。制御インターフェースとしてSPI、I2C、ハードワイヤードのいずれかを利用可能である。電源電圧はアナログ部が5V系でデジタル部は3.3V系、動作温度範囲は-25~85℃、パッケージは28端子のTSSOP。システムクロックはA-Dコンバータが256fs、384fs、512fs、768fs、D-Aコンバータはこれらに加えて、128fs、192fsにも対応する。A-Dコンバータの入力はシングルエンドだが、内部で差動入力に変換する回路を備えている。また、D-Aコンバータの出力はシングルエンド、差動のうちどちらかを選択可能となっている。すでに出荷済みで、1000個受注時の単価は1.95米ドル(参考価格)。

図4 非同期動作時のダイナミックレンジ
図4 非同期動作時のダイナミックレンジ


(飴本 健)

連絡先:プロダクト・インフォメーション・センター(PIC)、http://www.tij.co.jp/pic



この記事を :  印刷する プリントする ブックマーク  はてなブックマークに登録 この記事をクリップ! Buzzurlにブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 メールで送る メールで送る

Sponsor Links

Partner Solutions

EDN RESOURCE CENTER


新着ホワイトペーパー情報




アナログ・デバイセズ - 22件
インターナショナル・レクティファイアー・ジャパン - 1件
ナショナル セミコンダクター ジャパン - 9件
リニアテクノロジー - 15件
日本アルテラ - 4件
リード・ビジネス・インフォメーション - 1件