オーディオのミキシング分野では、モノラルまたは単一チャンネルの音源をステレオ化する機能がよく使用される。その際、用いられる機能の1つにパンポット(panoramic potentiometer:パノラマ分圧器)がある。これは、モノラル信号から生成するステレオ音場での音像(音源)位置を決めるために、左右のチャンネルの信号レベルを連続的に連動操作する機能だ。音像位置を変えても音量が変化しないようにするためには、左右のチャンネルの信号が等電圧になるようにするのではなく、等電力になるように操作する必要がある。
この目的で広く使用されている回路に、図1のようなものがある。この回路ではモノラル信号をステレオチャンネルに分割し、各チャンネルのゲインを0~Mの間で調整する。ここで、可変抵抗R7の分圧端子が中央位置にあるとき、各チャンネルのゲインが0.707Mになるものとする。この条件を満足するように各部品の定数を設定すると、左右のチャンネルそれぞれの電力の和がR7の分圧端子の位置によらず0.19dB以内に収まる。
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音像位置操作用パンポット回路のオン/オフ機能
[2007年05月号]
図1 パンポット回路の基本構成
R7の分圧端子位置を調整することにより、ステレオ音場の音像位置を操作する。
この回路をオーディオ信号ラインからバイパスする(つまり、パンポット機能をオン/オフできるようにする)方法としては、DPDT(double pole double throw:双極双投)スイッチを使用する構成が考えられる(図2)。しかし、この構成では配線がやや複雑になり、オン/オフ切り替え時の過渡信号が大きくなってしまう。
図2 DPDTスイッチを使用したパンポット機能のオン/オフ回路
そこで、筆者は図2とは別の方法として、2個の抵抗と1個のSPST(single pole single throw:単極単投)スイッチを用いる方法を考えた(図3)。この回路のゲイン特性は図1のそれと同じである。そしてスイッチS1をクローズするとパンポット機能が有効になる。一方、オープンにした場合には音像位置が中央に固定され、パンポット機能をバイパスしたのと同じことになる。
図3 パンポット機能のオン/オフ方法を改善した例
抵抗2個(R8、R9)とSPSTスイッチ(S1)を使用した切り替え方法。配線が単純化できるとともに、オン/オフ切り替え時の過渡信号を低減することが可能になる。
図3の回路は、実用的な観点から見て、図2の方法よりも配線を単純にできるというメリットがある。また、R7の分圧端子とグラウンドの間のスイッチS1をオン/オフするだけでパンポット機能のオン/オフが可能なので、切り替え時の過渡信号を小さく抑えられる。
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