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2007.2
NXP社がFlexRay対応ICを量産、
「BMW X5」が搭載
NXPセミコンダクターズのJeroen Gerlings氏
写真1 NXPセミコンダクターズのJeroen Gerlings氏
 オランダNXP Semiconductors社は、車内ネットワーク規格「FlexRay」に対応したトランシーバIC「TJA1080」の量産を始めた。すでに、TJA1080と同社のフェールセーフSBC(fail safe system basis chip)を組み合わせたチップセットがドイツBMW社の「BMW X5」に搭載されている。
 FlexRayは最も注目されている車内ネットワークの1つ。現在一般的に使われているCAN(controller area network)やLIN(local interconnect network)に比べて大幅に高速で、10Mビット/秒の転送速度が実現される。また、従来のCANなどがイベントトリガー方式であるのに対し、FlexRayはタイムトリガー方式を採用している点も大きく違う。これらの特徴からステアリングやブレーキングの電子制御への適用を可能とする。
 NXP社の日本法人であるNXPセミコンダクターズは、FlexRay用トランシーバICをはじめ、FlexRay関連技術の動向について2006年12月に記者説明会を行った。NXPセミコンダクターズのマーケティング本部オートモーティブ&ID部でオートモーティブ製品を担当するJeroen Gerlings氏(写真1)は、「FlexRayは、ステアリングやブレーキシステム向けの『X by Wire』アプリケーションを最終的なターゲットにしているが、パイロットプロジェクトとしてまず非X by Wireアプリケーションへの適用を目指している。BMW X5では、走行の安全/快適さを実現する『Adaptive Drive』機能に採用された」と話す。
BMW X5のAdaptive Drive機能のネットワーク構成
図1 BMW X5のAdaptive Drive機能のネットワーク構成
Adaptive Drive機能に採用されているFlexRayネットワークには、NXP社のTJA1080が6個使われている。
 Adaptive Drive機能は、センサーで収集した走行環境や路面状況に関する情報を中央のコントローラに伝送してデータ処理を行い、その結果に応じてスタビライザやダンパーを動的に制御するシステム。例えばBMW X5の場合、各車輪のコーナーモジュールと中央コントロールモジュールとをFlex Rayでネットワーク接続することで高速に処理し、転倒安全性(active roll stabilization)や振動電子制御(electronic damping control)機能を実現している(図1)。BMW X5では各モジュールを接続するために、FlexRay v2.1 rev.Aに準拠したTJA1080を6個使用する。
 NXP社では、ARM9コアをベースとしたマイクロコントローラ「SJA2510」も開発中で、現在欧州のユーザーを中心にサンプル評価を受けている。2007年後半から本格出荷を開始する予定だ。プロセッサコアとFlexRayコントローラを内蔵することにより、低コストで高い性能を発揮できる。
 説明会では、SJA2510とTJA1080を使った3つの通信モジュールとスターカプラーを接続し、動作デモンストレーションを行った(写真2)。通信チャンネルやモジュール自体に不具合が生じた場合には、その部分だけをネットワークから即座に切り離すことで、正常に動作しているほかのモジュールに影響を与えないようにしている。不具合がなくなったモジュールは直ちにネットワークに自動復帰する。
動作デモに使われたネットワーク回路
写真2 動作デモに使われたネットワーク回路
6個のTJA1080を搭載したスターカプラー(三角形のボード)に、1個のSJA2510と2個のTJA1080で2つの通信チャンネルを構成するECUモジュール3つを接続して動作デモを行った。
 

 NXP社は、自動車市場を注力分野の1つに位置付けており、CANなどの車内ネットワーキング分野では高いシェアを持つ。FlexRayについては、2000年に欧米メーカーが中心となって設立された「FlexRayコンソーシアム」のコアメンバー7社のうちの1社として、電気的物理層の仕様策定を行うなど主導的な役割を果たしている。また、エアバックネットワーキングの標準化に向けた「Safe by Wire PLUSコンソーシアム」の創立コアメンバーにもなっている。
(朴 尚洙、馬本 隆綱)

 



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