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2006.10
90/65nmプロセスのLSIの温度を高精度に測定
ナショナル セミコンダクターの新方式温度センサー
 ナショナル セミコンダクター ジャパンは2006年8月、ノート型パソコンやデスクトップ型パソコン、サーバー機器などで用いる温度センサー製品5品種を発売した。各機器で使われているマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどに内蔵されたダイオード、あるいはボード上に実装されたダイオードとともに用いることで温度を測定する。測定結果は、各機器の冷却ファンの制御などに使われる。
 温度測定用のダイオードを用いたこの仕組み自体は、従来から広く用いられてきたものである。ただし、同社の新製品では、温度の測定に独自の技術「TruTherm」が使われている点に特徴がある。この技術は、90/65nmの微細プロセスで製造されたチップの温度を精度良く測定するために開発されたものだ。

近似式と現実の乖離

図1 リモートダイオードを用いた一般的な温度測定の仕組み
 図1に示したのは、チップ/ボードに配置されたダイオード(以下、リモートダイオード)を用いた温度測定の概念図である。
 一般的な測定手法では、チップに内蔵されたトランジスタに、温度センサーによって値が制御されたエミッタ電流を流し、ベース‐エミッタ間の電位差を測定することによって温度を算出する。つまり、「ダイオード」とはいっても、実際に使用されるのはトランジスタである。そして温度の算出には、エミッタ電流の値を用いた近似式が使用される。
 しかし、ディープサブミクロンプロセスで製造されたチップにこの方式を適用すると、温度の測定誤差が非常に大きくなってしまうという問題がある。米National Semiconductor社が90nmプロセス製品を用いて評価を行ったところ、約6℃の誤差が発生することが分かった。さらに65nmプロセスでは、誤差の値が20℃(プロセスデータを用いたワーストケースの計算値)にも達するという。
 同社でTruTherm技術を開発したMehmet Aslan氏は、この誤差の発生原因を以下のように説明する。
 「温度を正確に算出するには、トランジスタのエミッタ電流ではなく、コレクタ電流を使わなければならない。エミッタ電流を用いた近似では、電流増幅率のプロセスばらつきが温度の計算に影響を及ぼす。ディープサブミクロンプロセスでは、電流増幅率のばらつきが大きいため、測定誤差が大きくなってしまうのだ」。
 同社のTruTherm技術では、上述した近似は行わず、コレクタ電流を実測して温度を算出する。これにより、90nmプロセスで製造されたチップの場合、誤差を0.5℃程度に抑えられる。また、65mmのプロセスの場合でもワーストケースの計算値で2.5℃以内に抑えられるという。

冷却ファン制御に対応した製品も

 今回、ナショナル セミコンダクター ジャパンが発売したのは、表1に示す5製品である。「LM94」以外の4製品の基本機能は、リモートダイオードを利用した温度測定だ。これら4製品には、対応可能なリモートダイオードの数や、アラーム機能などに利用可能なTCRIT(three critical temperature)出力の数などの点で違いがある。
表1 新製品の一覧

 一方、LM94はハードウエアモニターに分類される製品である。同製品は、リモートダイオードを利用した温度センサーの機能に加えて冷却ファンを制御するための機能なども数多く備えている。例えば、ファン速度の制御に用いるPWM出力(2系統)やファン速度測定用のタコメーター(4個)などを内蔵している。
 いずれの製品も、自身に内蔵されたダイオードを用いて、自身の温度を測定することもできるようになっている。また、TruTherm対応機能をオフにすることで、従来の方法によって温度を測定することも可能である。各種制御には、SMBus 2.0に対応した2線式シリアルインターフェースを用いる。
(飴本 健)
連絡先:03-5639-7300

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