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pulse Q&A
2006.7
千葉 耕司氏
NTTドコモ―携帯電話機の消費電力を抑えるカギは電源制御
携帯電話機はどこまで進化するのか。通話やメール機能に加え、ゲーム、カメラ、テレビ、定期券、財布の機能まで持つようになり、日常生活に欠かせない道具となった。それだけに多機能化が進んでも1回の充電でどれだけ端末を長く使えるかは大切なことだ。NTTドコモで移動機開発部長を務める千葉耕司氏は、消費電力を抑えるには電源制御が重要である、と強調する。

携帯電話機の多機能化が端末の設計に与える影響は。

A
携帯電話機が高機能化すると、液晶パネルの消費電力が増える。アプリケーションプロセッサは、データの処理量が増えチップの動作周波数を上げなければならない。その分、消費電流が増加する。2004年からルネサス テクノロジおよび米Texas Instruments社と、それぞれ3G携帯電話機向けチップを共同開発しているが、課題の1つが消費電力の増加をどう抑えるかだ。


消費電力の低減には何が重要か。

A
携帯電話機全体の低消費電力化のカギを握るのは電源制御である。電源制御ICがうまく働かないと、どんなに優れたプロセッサでも(仕様書に記載された)携帯電話機のバッテリ使用時間は守れない。
 処理性能(パフォーマンス)がさほど必要のない場合は、動作電圧や動作周波数を下げる。例えば、あるタスクが一定時間内に処理を終わればよいときは、ゆっくり実行させることで消費電力を抑えるような電源制御の工夫が必要である。プロセッサに加え、電源関連の技術に関しても半導体ベンダーと一緒に議論している。


FOMAはどれくらいの電源系統があるのか。

A
FOMAは30数系統の電源ラインがある。例えば高い電圧が必要な液晶パネル向けからバイブレータ、音源などに対し、下は1.2Vから上は10V、あるいは負電源などを供給する。現在は複数のシリーズレギュレータを1チップにしたシステム電源ICをメインに、DC-DCコンバータを組み合わせて使っている。今は損失の大きいシリーズレギュレータを使っているが、今後はノイズの課題はあるものの低損失のスイッチングレギュレータに移行したい。L(インダクタ)を搭載して1チップにできないか検討している。


半導体チップの設計に対する考え方も変わるのか。

A
データ通信速度がこれまで以上に速くなり、データ量の大きいコンテンツが増加するとチップの演算性能が必要になる。同時に、アプリケーションプロセッサやDSPの消費電流を大きく下げられるかといえば、それも技術的に簡単ではない。そういった意味で電源回りの設計が重要になってきた。加えて65nmや45nmといった新しい世代の微細プロセス技術に期待している。45nmプロセスの実用化時期を想定しながらチップの開発を行っていく。


半導体の微細プロセス技術に期待するものは。

A
HSPDAなど高速通信のサービスが2006年夏から予定されており、チップが処理するデータ量は増える。チップサイズを小さくして、演算処理能力を上げたい。このために、45nmのプロセス技術が欲しい。チップサイズが小さくなればコストも下げられる。


携帯電話機にはどれくらいのパフォーマンスが必要なのか。

A
アプリケーションプロセッサの動作周波数は7〜8年前のパソコンと同じレベルになっている。現行機種で通信プロセッサとアプリケーションプロセッサなどの動作周波数を合計すると500MHz以上になる。英ARM社からCortex-A8が発表された。実際は1GHzで動かすことはないと思うが、1GHz動作のチップも使っていきたい。ただ、毎日バッテリの充電が必要なら最終消費者は満足してくれない。充電回数は最短でも3日に1度くらいにしたい。そのためには携帯端末の消費電力を現在の1/3に下げなければならない。


半導体メーカーへの要望は。

A
コストをもっと下げたいので、半導体業界としてコストを下げる議論をしてもらいたい。ソフトウエアなど開発資産を流用していくために、シリコンのアーキテクチャに依存しない形にしたい。DSPも含めシリコンのアーキテクチャはできるだけ標準的なものにして、プロセスなどのハードウエア技術でパフォーマンスの高いチップを開発し、提供してもらいたい。
(聞き手:馬本 隆綱)

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