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DESIGINIDEAS
2006.7
バッファ回路で実現する高性能アナログスイッチ
Liviu Pascu 米Kepco社
 デジタル制御によって、アナログ信号またはデジタル信号をオン/オフする必要のあるアプリケーションは多い。そのような「機能」を実現できるスイッチICはいくつもある。しかし実際には、オフ状態の減衰量が90dB超、オン状態の歪み(ひずみ)が0.002%以下、オン/オフの切り替え時間が10μs未満、オン/オフの際にオーバーシュートが発生してはならないといった具合にいくつもの特性面の要件を伴うのが常であり、それを満足するものを探すのはなかなか困難である。
図1 このバッファ回路は、さまざまな要求を満たすアナログスイッチとして利用できる。

 そうしたさまざまな要件を満たすのが、図1に示した回路である。この回路は、低ノイズ、高速、高精度のオペアンプ「LT1007」(米Linear Technology社製)で構成したバッファ回路と、ノーマリーオープン型単極単投アナログスイッチのデュアル版「MAX301」(米Maxim Integrated Products社製)を組み合わせて実現されている。
 この回路では、デジタル信号、アナログ信号共にバッファ回路のINPUTから入力し、OUTPUTから出力を得る。IC2は、通常のアナログスイッチのように信号経路に配置して使用するのではなく、バッファ回路をオン/オフするために使っている。このバッファ回路がオンになるときはIC2AとIC2Bの両方がオープンになり、バッファ回路がオフするときにはIC2AとIC2Bがオン(接続)する。
 バッファ回路において、R1=R2=Rとすると、R4=R/2であり、R1とR2の合成抵抗値とR4の抵抗値の差ΔRは、(R1×R2)/(R1+R2)−R4となる。ここですべての抵抗値に誤差がなければ、ΔRはゼロである。しかし、各抵抗にはそれぞれ許容誤差があるため、実際のΔRは次式のようになる。

 ΔRは、R1とR2の誤差e1とe2の符号が同じで、R4の誤差e4がその反対の符号を持つときに最大となる。その場合、ΔRは次式のように表すことができる。

 この式から、例えばR1、R2、R4に最大許容誤差1%の抵抗を使用する場合であれば、ΔR=±{R e }=±{(0.01)R}と単純化して考えることができる。
 このバッファ回路の精度は、各抵抗の誤差とオペアンプの内部誤差、そしてアナログスイッチIC2AとIC2Bからのリーク電流の影響によって決まる。従って、その出力電圧は、次の式から求められる(なお、この式は近似を用いて簡略化してある) 。

 ここで、VINは入力電圧、VOSとIOSはオペアンプの正負どちらかの電圧/電流オフセット、IOFFはアナログスイッチIC2AとIC2Bがオフの状態で流れるリーク電流である。
 最新のアナログスイッチでは、IOFFは1nA未満に抑えられている。また、オペアンプIC1としては、VOSが50μV未満でIOSが50nA未満のものを選ぶことができる。従って、図1の抵抗値を用いた場合、オペアンプのオン状態での出力最大誤差は定格出力10Vの0.0008%、つまり約80μVとなる。
 また、オペアンプの負荷抵抗の最小許容値は、次の式から求められる。

 ここで、VSATはオペアンプの最大飽和出力電圧で、電源電圧が±15Vの場合であれば13.5Vとなる。例えば、図1の抵抗値で、最大出力電圧VOUTMAXが10Vであるとすると、負荷抵抗の最小許容値は3.3kΩとなる。
 さらに、IC1の出力電流IAMPは規定の最大値を超えてはならないため、次の式が成り立つ。

 この式から、IAMPは3.5mAと決定できる。
 続いて、バッファ回路がオフしたケースについて考える。その際には、スイッチIC2AとIC2Bがオン(接続)する。この状態では、VINMAXでワーストケースの出力が発生する。IC1のフルスケール入力電圧に対するオフセット誤差はほとんど無視することができる。また、IC2AとIC2Bのオン抵抗は負荷抵抗よりもはるかに小さい。そのため、この回路の実際の出力電圧は次の式から求められる。

 ここで、K1=R1×R2×R3、K2=R1×R3×RON、K3=R1×RON×RON、K4=R1×R2×RONであり、R1=R2=R、RON≪R、RON≪R3のとき、この式は次のように簡略化できる。

 今日のアナログスイッチでは、オン抵抗の最大値は20Ω程度に抑えられている。従って、図1の抵抗値と入力電圧10Vを前提にすると、出力電圧は定格出力10Vの0.002%、つまり200μVとなる。
 バッファ回路がオフ状態のときに任意のオフセット電圧を出力したいケースがあるだろう。その場合には、バッファ出力と同極の電源電圧との間に抵抗R5を配置すればよい(この抵抗は、オン状態のバッファ回路出力にはほとんど影響を及ぼさない)。
 IC2AとIC2Bのオン抵抗がRLOAD、R2、R5よりはるかに小さいと仮定してオフセット出力電圧を計算すると、正オフセット電圧VOUT(OS)と負オフセット電圧−VOUT(OS)は、それぞれ以下のようになる。

 また、オフセット電圧の入力信号への依存度を下げるためには、R5の最大値を以下の式で求める。

 図1の抵抗値でこれらの式を解くと、最小オフセット電圧は2mVとなる。また、R5は150kΩ以下でなければならないことがわかる。なお、R5の最小値は、IC1の最大電流引き込み量によって決まる。

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