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Signal Integrity
2006.5
コンデンサの性能とクオリティファクタの関係
Howard Johnson
 コンデンサにおいて何が重要であるかは、その用途によって全く異なる。例えば、パルス電力核融合点火システムエレクトラでは、少なくとも500万ボルトの定格電圧と、信じがたいほど高いエネルギー貯蔵密度が必要である。そのためにはどうすればよいのか? 巨大な同軸構造を作り上げ、水で満たすとよい*1)
 1Vスイッチング電源においては、全く異なる要求が生じる。これを設計するには、ESR(equivalent series resistance:等価直列抵抗)の低いコンデンサが必要である。スイッチング電源の設計では、かなりの大電流が両方向にコンデンサに流れ、そのコンデンサの充放電を絶えず繰り返す。直列抵抗値が微小であっても、このサージ電流では過熱状態を引き起こし、パッケージを破壊し、基板上を誘電性物質でべたべたにしてしまう可能性がある。実際に私は、この現象により、システムから炎が上がっているのを見たことがある。スイッチング電源周波数においてESRを減少させるには、分厚い銅板をリードフレームにしっかり取り付けるとかなり効果がある。
 狭帯域フィルタのコンデンサには、高いQ値、つまりクオリティファクタが必要である。この数値は、損失係数と深い関連があり、共振回路がどのくらいの間リンギングを継続するかを決定する。回路の共振を高めるには、Q値が高くなければならない。低ノイズ発振器、IFフィルタ、およびその他の多くの回路で、高Q値コンデンサが必要となる。マイクロ波の周波数において高Q値コンデンサを得るには、コンデンサのリード配線と電極の表皮効果抵抗を減少させるために、銀メッキ構造と高価な低損失誘電体を使用する。
 コンデンサ容量値の初期許容差、温度ドリフト、および長期的安定性に関する仕様が、回路の本質的な精度に大きく影響する。これらの仕様を満たすには、安定した、正確に加工された誘電材料が必要である。適切に焼成させた、低誘電率セラミック材料が適している。
 回路の他の部分の温度変動が問題になっていて、それを補正するために、特定の既知の値の温度係数が必要な場合は、他の誘電材料を使用することもできる。この種の特定部品の使用量がどれほど少ないか(またどれほど高価になるか)は想像してみていただきたい。
 さて、ここで私が最も興味のあるアプリケーションを考えてみる。それは、高速デジタル機器用のバイパスコンデンサである。これらのバイパスコンデンサは、パワーシステムのアーキテクチャによって、数MHzから数100MHzまでの周波数範囲をカバーし、その範囲全体において、電源とグラウンドの低インピーダンス接続を提供する必要がある。そのためには、あなたの会社の製造部門が許容する最小のパッケージ(最小インダクタンス)を選択し、そのパッケージサイズのコンデンサで容量が最大のもの、かつ、複数ベンダーから販売されていて信頼できるものを選択するとよい。
 このアプリケーションでは、高電圧も、低ESRも、高Q値も、高い安定性も必要ない。これらの属性は無視してもよい。特に、「マイクロ波級」の高Q値コンデンサに無駄なお金を費やさないでいただきたい。むしろ、ごく普通の、ありふれた低Q値コンデンサの方が、デジタルアプリケーションにはよい。高Q値コンデンサは回路内の共振を増長してしまう。電力分配系では、共振は禁物である。デジタル設計者は低Q値コンデンサを求めているのだ。
 「低Q値」について、さらに深く考えてみよう。低いクオリティファクタを保証するコンデンサを購入する(つまりESRの最低値を保証する)ことができれば最高である。これを可能にするために、2006年2月に米国カリフォルニア州Santa Claraで開かれたDesignCon 2006において、著名なパワーシステム設計者であるIstvan Novak氏が低Q高ESRコンデンサ生成方法についてTechFormで講演した。私は、このセッションでの彼の活躍に大きな期待を寄せていた。なぜなら、低Qの構築により誰もが利益を得るからである。

デジタルアプリケーションには、高価なコンデンサは不要だ。回路内の共振を増長しにくい、ごく普通の低Q値コンデンサでよい。

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用語解説 / 会社情報
*1)
www.ge-prize.com/Laureates/jan/lecture/
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*)
Howard Johnson氏はSignal Consultingの学術博士。Oxford大学などで、デジタル・エンジニアを対象にしたテクニカル・ワークショップを頻繁に開催している。ご意見は次の電子メールアドレスまで。www.sigcon.comまたはhowie03@sigcon.com
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