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DESIGINIDEAS
2006.4
CMOSインバータでRF信号をデジタルに変換
Francis Rodes、Eliane Garnier、Guillaume Zingone 仏ボルドー 国立電子情報科学学院
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 周波数の計数・合成や、センサー信号のコンディショニングなどのアプリケーションでは、RF信号をデジタルに変換する必要がある。その場合に通常は、高速の電圧コンパレータを用いてRF‐デジタル変換を行う。電圧コンパレータは高利得のため、感度が良いが、欠点もいくつかある。高速コンパレータは高価で、市販品をすぐ入手するのが難しく、しかも突然、製造中止になりかねない。
 180MHzという高い周波数では、図1のような回路が魅力的なアプローチを提供する。74LVCU04は、市販の超高速CMOSヘックス・インバータICで、入手しやすく、多くのサプライヤが提供している。アプリケーションによっては、同ICの使っていない部分をこの3個のインバータとして利用することができる。さらに、用いられていない残りの3個のインバータによって、今すぐにも多くのアプリケーションが可能である。
図1 高速CMOSインバータ3個と受動部品数個でRF-デジタル・コンバータが出来る。部品はすべて表面実装型を使う

図2 Agilent社のN3382Aベクトル・ネットワーク・アナライザによるSパラメータ図。ソース・パワー・レベル-6dBmにおける初段インバータの入力部で測定したS11を示してある。

 インバータIC1Aは、リニア・プリアンプとして動作する。バイアス抵抗R3は、このインバータの入出力電圧を電源電圧の1/2、つまりVO1=VI1=(VDD/2)にイコライズして、インバータをリニア領域で動作させる。超高速CMOSインバータのACゲインはRFでは比較的低く、(VO1/VI1)≈7であるので、プリアンプの後に増幅段を追加してある。インバータのカスケード接続を追加する方法でも良いが、そうすると低周波やDCの場合に、RFソースがないと安定性が悪くなってしまう。
 図1では、シュミット・トリガーとアンプ回路によって、この問題を解決している。IC1B・IC1Cがそれで、R1、R2、CD1、CD2が周波数特性を持った正帰還ネットワークを構成する。この回路は入力信号の周波数によって、2種類の特性を示す。
 高周波領域では、デカップリング・キャパシタ・ペアCD1・CD2が帰還抵抗R1を短絡して、正帰還ネットワークR1・R2とインバータIC1Bの入力キャパシタンスによって決まる時定数を打ち消す。その結果、3つのインバータIC1A・IC1B・IC1Cが、3個のカスケード接続高速アンプとして動作し、優れた周波数性能を実現する。
 一方、DCから低周波の領域では、カップリング・キャパシタ・ペアCD1・CD2の影響を無視することができ、インバータIC1B・IC1Cと正帰還ネットワークR1・R2が、シュミット・トリガー回路として動作する。シュミット・トリガー入力VO1の高/低スレッショルド電圧VTH/VTLは、VSにおける入力感度と、コンパレータ出力の無条件安定性の保証との妥協によって決まる。
 次の式(1)、(2)によって、高/低スレッショルド電圧を設定する。
 高周波領域でのロールオフ感度を緩和するために、コンパレータの入力には、L1・C1で構成される低Qインピーダンス・マッチング回路を設けてある。160MHzという高周波で所望の感度を得るという設計目標に対して、この回路は、150MHzにおいて、50ΩのRFソースと、IC1Aの入力インピーダンスZI1とのマッチングを取っている。
 ところが、デジタルICのメーカーは、通常ロジック・デバイスの入力インピーダンスを規定していない。マッチング回路の設計で最初にすべきことは、IC1Aの入力VI1において、初段インバータ入力のSパラメータS11を測定することである。ここでは、米Agilent社(htttp://www.agilent.com)のベクトル・ネットワーク・アナライザを用いた。図2は、このインバータのS11パラメータのスミス・チャートである。ここで、
 ZC=50Ωであるので、図2のデータから、希望する周波数における初段インバータの入力インピーダンスを求めることができる。150MHzでは、ZI1=106.1Ω−j116.7Ω(図2のマーカ4)となる。マッチング回路の定数を決めるソフトウエア・ツールがいくつか提供されており、どれを用いても良い*1)*2)
 スミス・チャートの計算に不慣れなときは、以下の方法で計算してもよい。
1.直並列変換公式(式(4)、(5))を用いて、初段インバータの入力インピーダンスを並列形式に変換する。
両式を150MHzに適用すると、RP=233Ω、XP=−213Ωが得られる(150MHzでは、XPは入力キャパシタンスCP=5pFを表す)。
2.マッチング回路の最初のバージョンを計算して、初段インバータの入力インピーダンスRPの実数部分と50ΩRFソースの間のマッチングを取る。式(6)、(7)を解くと、マッチング回路の定数が求められる*3)
150MHzでは、L1≈100nH、C1+CP≈8.7pFになる。
3. 式(7)からインバータの入力キャパシタンスCP=5pFを引いて、C1の値を求める。
 実際の回路では、理論値L1=100nH、C1=3.6pFに最も近い値の標準部品を用いる。図3は、入力周波数と感度の関係である。感度は、周波数100MHzから170MHzにかけて増加しており、インピーダンス・マッチング回路の有効性は明らかである。他の周波数帯で感度を設定するには、同様の方法を適用すればよい。
図3 このRF-デジタル・コンパレータの周波数対所要入力レベルの関係。160MHzにおいて100mVを切る高感度を示し、200MHzまで利用できる。

 このRF‐デジタル・コンバータの消費電力は、10MHz〜180MHzの入力に対して、大きくは変化しない。最悪でも、電源電圧3.3Vにおいて、消費電流は58mA以下である。
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用語解説 / 会社情報
*1)
Smith tool, Ansoft Corp, www.ansoft.com.
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*2)
Ansoft Designer: Student Version, Ansoft Corp, www.ansoft.com.
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*3)
Bowick, Chris, RF Circuit Design, HW Sams & Co, Indianapolis, IN, 1988.
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