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2005.11
6GHz帯で174W出力 GaNパワーFETを東芝が開発
図1 AlGaN/GaN HEMT構造断面図
図1 AlGaN/GaN HEMT構造断面図
 東芝は、基幹通信基地局や衛星通信基地局などで使う、マイクロ波通信用パワーFETの素子にGaN(窒化ガリウム)を用い、6GHz帯で出力174Wを達成した。6GHzという高い周波数帯において174Wの高出力を実現したのは同社が初めてという。
 同社が既に製品化しているGaAs(ガリウム砒素)を素子に使ったパワーFETは、出力が6GHz帯で90W、14GHz帯で30Wである。さらなる高出力を実現しようとすると熱の問題に直面する。これらを解決するために、素子の材料を変更する必要があり、GaAsより耐圧が高く、飽和電子速度が速いGaNを使ったパワーFETを開発した。
 今回開発したパワーFETはHEMT(High Electron Mobility Transistor)構造を採用した(図1)。SiC基板上にGaN層とAlGaN(アルミニウムガリウムナイトライド)層を成長させ、6GHz帯で高い出力が出せるようこれらの層の不純物濃度と厚みを最適化した。またFETのソース、ドレイン電極間の距離、ゲート長、ゲートコンタクト部の形状等を最適化し、C帯(4GHz〜8GHz)以上の高周波でも高出力が出せるようにした。最適化における具体的な数値は明かしていないが、電極構造を工夫したことで、リーク電流を従来の1/30と大幅に低減できた。
 
図2 GaNパワーFETチップ
図2 GaNパワーFETチップ
高出力を実現すると熱の問題が懸念されるが、新開発のパワーFETはパッケージ内で4つのチップを組み合わせ、発熱源を分散させた。これにより熱が一カ所に集中して特性が劣化するのを防ぐことができる。GaNを使った同社のパワーFETのドレイン効率*2)は約40%で、174W出力するには約450Wが供給される。この時、供給電力から出力電力を引いた276Wが発熱源になってしまう。パッケージ内で発熱源となるチップを4つに分散しているため、ひとつのチップにかかる発熱源は約70Wに抑えられる。複数のチップをパッケージ内で電力合成すると合成損失が懸念されるが、GaAsで培った同社独自の合成技術により、損失は10%以下に抑えた。チップサイズは2.92mm×0.71mm(図2)で4つのチップを組み込んだパッケージサイズは24.5mm×17.4mm。
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 GaN基板の完成度はまだ低く、表面に凹凸ができたり、膜が不均一になったりといった問題を抱えている。このため、ステッパで露光するのは困難とされ、電子ビームが使われることが多かった。今回、東芝は素子構造とプロセス技術の最適化により、露光精度のばらつきを吸収できる構造を実現し、ステッパ露光の使用を可能にした。ステッパを使えば電子ビームにくらべ数10倍速く露光することができ、量産にも対応できる。
 東芝では、今回の開発をさらに進め、量産を視野に入れた信頼性テストなどを行ない、1年後の実用化を目指す。
(伊藤 達哉)
用語解説 / 会社情報
*2)
増幅器に供給された電力が、高周波出力電力に変換される際の効率。
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