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2005.11
次世代プロセッサ「Cell」、地デジ対応携帯電話機、
巻き返すPDPに沸く
――CEATEC JAPAN 2005から
図1 第4世代移動通信システムの概念図
 「CEATEC Japan」が2005年10月4日から8日の5日間、千葉市の幕張メッセで開催された。6回目を迎える今回の展示会では、各社が競って次世代映像機器や携帯機器向けの新技術を披露した。中でもマルチコアプロセッサ技術や、プラズマパネルの巻き返し、次世代DVD技術の激しい競争が注目を集めた。また、デジタル家電を支える電子部品も新技術が多数展示された。来場者数は前年比9.4%増の19万9680人であった。

次世代マイクロプロセッサ「Cell」、準備は完了

図1 Cellリファレンス・セットに搭載された基板
図1 Cellリファレンス・セットに搭載された基板
 東芝は、高い演算処理能力を必要とするデジタルメディア機器やコミュニケーション機器などの開発に向けた次世代マイクロプロセッサ「Cell」搭載のリファレンス・セットを展示した。 
 会場では、MPEG2のビデオ信号を48本同時に処理し画面に表示するなど、Cellの信号処理能力の高さを示した。また、人の顔の特徴や動きを瞬時に認識し、モニター上で化粧をしたり、髪型を変えたりするデモも行った。
 Cellリファレンス・セットは、CellプロセッサとコンパニオンICチップ、および電源ICチップで構成するチップセットなどを実装した基板(図1)と、必要な冷却装置などを1つの筐体に収めた開発支援セットである。DVDやHDDドライブなどの周辺機器も組み込まれている。
 また、ハードウエアだけでなく、開発支援ソフトウエアも用意し、Cell の実用化に向け環境を整えた。基本ソフトはHypervisor OS「Beat」、ゲストOSとして「Lv2Linux」を提供。LinuxやITRONも用意されており、アプリケーション資産の有効活用ができる。複数の放送受信と同時録画・再生のAVアプリケーションモデルも提供する。

4CPUマルチコアプロセッサで画像処理を実演
図2 デモで使用されたMPコア
図2 デモで使用されたMPコア

 NECエレクトロニクスは、ARM11コアを4個搭載したマルチコアプロセッサ「MPコア」(図2)のデモを公開した。非対称型マルチプロセッシング(AMP)に加え、AMPと対称型マルチプロセッシング(SMP)のハイブリッドに対応している。1つの処理を複数CPUで分担することができ、効率的な処理が可能になる。動作周波数は200MHz〜400MHzで、1.4GHz動作のCeleronプロセッサと同等の処理が可能という。また、ブロック単位での電源制御などによる電力削減も実現した。ARM9コアを3個搭載した同社のマルチコアプロセッサ「MP211」の次期品種に相当する。MP211は非対称マルチプロセッシング(AMP)のみに対応していた。
 デモでは、30フレーム/秒のMPEG2形式の動画やフラクタル画像を表示してみせた。併せて各CPUの処理負荷も画面に表示しており、全体の負荷の増減に応じて4つのCPUに処理が割り振られる様子が見てとれた。
 同社は携帯電話機などへの応用を想定している。2006年末の製品化を目標に開発を進めているという。

NTTドコモとKDDIが地デジ放送対応の端末を展示

 地上デジタル放送に対応した携帯電話機も注目を集めた。NTTドコモが展示したのはパナソニックモバイルコミュニケーションズ製の「P901i TV」(図3)。会場内で実際に流れている放送信号を受信し、表示してみせた。アナログチューナも内蔵しており、端末の重量は140g程度を想定している。地上デジタル放送を2.5時間程度、連続視聴が可能。2005年度中の発売を目指している。
 KDDIは三洋電機製の「W33SA」を展示した(図4)。NTTドコモ同様、会場内の電波を受信して表示してみせた。アナログチューナについては検討中で、現段階では未搭載。重量は明らかにしなかった。放送の連続受信時間は2時間程度。発売時期は未定だが、サービス開始には間に合わせたいという。
図3 P901iTV
図3 P901iTV
図4 W33SA
図4 W33SA


次世代DVD、2つの規格で各社開発進む

図5 松下電器のBlu-Rayディスクドライブ搭載 ノート型パソコン
図5 松下電器のBlu-Rayディスクドライブ搭載 ノート型パソコン
 次世代DVDに関する技術も、2つの規格を巡って注目を集めた。東芝が中心となり推奨する「HD DVD」規格と、ソニーが中心となり推奨する「Blu-Ray」規格の2つに分かれ、各社が試作機を展示した。
 東芝は、HD DVD対応プレーヤとソフト再生ができるノート型パソコンを展示した。HD DVD対応プレーヤは10万円以下で2005年末に発売される予定。東芝の執行役上席常務を務める藤井美英氏は、先日開かれた記者会見で「DVD規格統一は断念していない」と消費者や映画制作会社への配慮をみせたが、交渉は中断状態が続いている。NECや三洋電機などのHD DVD陣営各社も、HD DVD対応の記録・再生装置やソフトを発表した。
 一方、ソニーはBlu-Ray対応のデスクトップ型パソコン「VAIO」を展示した。Blu-Ray対応VAIOの発売時期は未定だが、Blu-Rayを搭載したPlay Station 3は2006年春に発売予定。松下電器、パイオニア、日立など、Blu-Rayを推奨する企業もプレーヤやノート型パソコンを発表した。松下電器は、厚さが12.7mmと薄いBlu-Ray Disc装置を搭載したノート型パソコンを展示し、20Mビット/秒程度でMPEG-2符号化したHDTV映像を再生するデモを行った(図5)。同社はCEATEC開催中に「Blu-Rayディスクに対応するパソコン向け記録・再生用ドライブを2006年1月から量産開始する」と発表した。デスクトップ型パソコン用ドライブは2005年10月からOEMとしてサンプル出荷し、2006年初めに量産を開始する。ノート型パソコン用は2006年3月から量産予定。ただし、松下ブランドのBlu-Ray対応パソコンの発売は未定としている。


発光効率2.5倍、消費電力1/2、プラズマテレビが巻き返す

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 富士通、日立、松下電器、パイオニア、パイオニアプラズマディスプレイが共同出資する次世代PDP開発センター(APDC:Advanced Plasma Display Center)は、消費電力を従来の半分に抑えた43インチ型PDP(プラズマディスプレイパネル)の試作品を発表した。
 APDCが今回発表した新型PDPは、43インチ型で発光効率が3.5ルーメン/Wと高い。従来のPDPは発光効率が高くても1.5〜2ルーメン/Wと言われており、新型パネルは現行品に比べ約2.5倍の発光効率を実現したという。具体的な技術詳細については明らかにしなかったが、「画素構造を見直し、発光源から放出される光を取り出す際の効率を上げる工夫をした」(APDCの説明員)という。更に消費電力は150Wと低く抑えた。これは従来の半分程度に相当する。
 また、11インチ型パネルで、5.7ルーメン/Wと従来の4倍の発光効率を実現したプラズマパネルも展示した。上記の43インチ型に使った技術に加え、「要素技術を工夫した」(同社)というが、その詳細は明らかにしなかった。
 APDCでは2年後を目標に新型PDPの実用化を進めている。これらの技術は、共同出資しているそれぞれの企業の製品開発に引き継がれる予定という。


巻き線でも積層でもない、 厚み0.8mmの電源用インダクタ

図6 「TFC3008シリーズ」の構造
図6 「TFC3008シリーズ」の構造
図7 巻き線の拡大写真(上面図と断面図)
図7 巻き線の拡大写真(上面図と断面図)
図7 巻き線の拡大写真(上面図と断面図)
 電子部品の分野でも新技術が多数披露された。TDKは、厚みが最大で0.8mmと薄い、電源用インダクタ「TFC 3008シリーズ」を発表した。巻き線でも積層でもない、独自のメッキ製法やフェライト加工の技術によって、製品の薄さと定格電流の大きさ、量産性の良さを実現した。定格電流は1.83A(0.8μH)と大きい。0.8μH〜4.4μHの製品をそろえており、4.4μH品の定格電流は0.58Aである。製品寸法は3.2mm×2.6 mm×0.8mm。定格電流はL値が3割低下する電流値としている。
 携帯機器やHDDなどの薄型化に伴い、使用部品の低背化が要求される。ICなど他の部品の厚みが0.8mm程度に収まっているのに対し、電源用のインダクタは1mm程度と厚く、薄型化への一つの壁だった。積層タイプのインダクタは薄いが磁気飽和しやすく、大きな電流が必要な製品向けの電源には、磁気飽和しにくい巻き線タイプが主流である。しかし、巻き線タイプはその構造上1mm以下にすることが非常に難しいという。
 新製品は60μmのプリント基板の両面に巻き線を形成し、フェライトで挟み込んだ。ギャップの形成により、積層タイプのインダクタよりも飽和しにくいという。また、上下のフェライトを貼り合わせる接着技術を確立し、巻き線型と比較して約20倍もの落下強度を持つ(図6)。
 大電流化に対応すべく、独自のメッキ技術を開発することで巻き線に厚みを持たせた(図7)。半導体プロセスとプリント基板の製法の間のような工法である。従来のプリント基板の製法では微細な加工ができない。半導体薄膜プロセスの場合、巻き線を厚くしようとすると隣接した巻き線間でショートしやすくなるため、ある程度の間隔が必要になる。新技術では、巻き線間でショートすることは理論上無いという。
 巻き線の形成工程は以下の通り。基板上の銅はくにレジストを塗布する。巻き線部のレジストを除去し、露出した銅はく上にメッキする。その後、レジストをはく離し、レジスト下にあった銅はくも除去して巻き線を形成する。真空ではなく既存のウェットプロセスの設備で実現したという。これにより、製造費の削減を実現した。
 巻き線を挟み込むフェライトの製造は、板状のフェライトから加工する手法を採っており量産性が良い。同社のヘッダで培った技術に改良を加え、フェライト加工の精度を30μm±5μmに上げた。
 サンプル価格は60円。量産開始は2005年10月。今後、薄型のICの厚みに合わせ、0.6mmのインダクタを開発するという。

1005サイズの抵抗をバルク実装するフィーダー
図8 バルクフィーダー例
図8 バルクフィーダー例

 太陽誘電は、C0603サイズの積層セラミックコンデンサやR1005サイズの角形チップ固定抵抗を自動実装できる、ユニット方式のバルクフィーダー*1)を展示した(図8)。供給、搬送、吸着を5つのユニットで構成しており、不具合があった場合、ユニット交換で簡単に対応できる。これまでは、部品が装置に詰まるなどの不具合が生じた場合、メンテナンスに技術が必要だった。
 砂粒ほどに小さいコンデンサを実現しても、実装できなければ使えない。新製品は、C0603サイズで99.99%以上の部品吸着率を実現した。
 コンデンサの寸法精度は、吸着率に大きく影響する。C0603サイズの推奨寸法公差は、2005年9月、同社を含む国内の大手コンデンサ会社3社(村田製作所、TDK)が0.6±0.03mm×0.3±0.025mmを提案した。同社ユニット方式のバルクフィーダーを使用して検討した結果である。従来の一般的な寸法0.3±0.03mmから精度を0.005mm上げることで、吸着率の精度を一桁上げることができた。現在、C0402サイズ用のフィーダーを開発中という。
 R1005サイズのチップ抵抗の実装数は、全部品の5割程度と多い。このため、テーピングからバルク方式にすることで保管場所の広さや、廃棄物の多さなどで大きなメリットを得られるという。現在、抵抗器メーカーに推奨寸法案を提案中。KOAのブースで、同社のR1005用のフィーダーを使用した実装機の実演が行われた。


自由に曲げられる 光配線モジュールをオムロン、松下電工が展示

図9 オムロンのフレキシブル光配線モジュール
図9 オムロンのフレキシブル光配線モジュール
図10 松下電工の光電フレキシブル配線板
図10 松下電工の光電フレキシブル配線板
 オムロンと松下電工は、フレキシブル光配線モジュールをそれぞれ展示した。携帯電話機のヒンジ部など、柔軟性が求められる個所でも、光伝送を利用できる。
 オムロンが展示したのは、同社独自の光導波路複製技術で製造する「SPICA」の、フレキシブル光配線モジュール(図9)。この複製技術では、ガラスウエーハに塗布したクラッド樹脂に金型プレスで導波路パターンを形成し、その上にさらにクラッド樹脂の層を形成する。最後にガラスウエーハから剥離(はくり)することでフィルム状の光導波路を製造できる。製造プロセスを大幅に簡素化でき、低コストでの生産が可能になる。展示されていた光配線モジュールは両端に端子が取り付けられており、送信側の端子にはドライバICおよびVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitted Laser)が、受信側の端子にはPD(Photo Diode)およびアンプICがそれぞれ内蔵されている。光の波長は850nm、信号の伝送速度は1Gビット/秒、伝搬損失は0.07dB/cm。
 松下電工はプリント基板上に配線した、「光電フレキシブル配線板」を展示した(図10)。独自のエポキシ樹脂フィルムを開発し、フレキシブル配線材料のポリイミド面に重ねて加工している。また、導波路の光を直角に曲げる導波路ミラーや、位置精度の高い素子搭載部の形成技術を開発したことにより、光素子の基板上への実装を実現した。従来のプリント配線板の製造プロセスでの実現による低コスト化が強みという。光の波長は850nm前後。2.5Gビット/秒での信号伝送が可能で、伝搬損失は0.2dB/cm。
(鴨川 学、伊藤 達哉、川村 祥子)
用語解説 / 会社情報
*1)
バラバラの状態でケースに入れたチップ部品を一つずつ実装機に供給するための装置。
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