安全第一
携帯機器用バッテリーの歴史において、リチウムイオンの化学的性質を応用するという発想は、最大の発見の一つといえる。リチウムイオン電池は、その軽量さに似合わない容量電力密度の高さがあり、デジタルカメラから携帯電話、ノートパソコンまでさまざまな携帯機器に使用されている。その化学的性質によって携帯機器にさまざまな性能向上をもたらしたものの、電源として採用する際には、厳しい条件下における動作保証が不可欠だった。
リチウムイオン電池を用いたシステムでは、過電流状態は急速に壊れていくなど、重大な事故を招きかねない(過電流状態におかれたリチウムイオン電池の動画2本を、http://www.edn.com/circuitprotectionで見ることができる(出典:米Texas Instruments社))。しかし、換気や充電/遮断制御、機構設計を適切に行なうことで、リチウムイオン電池において発生する事故を防ぐことは可能である。
残念なことに、交換用バッテリーパックの価格が高いため、模造バッテリーのメーカーが続出した。彼らは、純正メーカーが開発で行なってきたさまざまな注意など必要としない。その結果、数多くのリコールを招く結果となってしまった。例えば、Verizon Wireless社は2004年6月、LG社の携帯電話機用の模造バッテリー5万台を、京セラ社は2004年10月に携帯電話用の模造バッテリー100万台をリコールした*A)、*B
)。事故も数多く発生しており、米国消費者安全委員会(Consumer Product Safety Commission)が2002年以降調査しただけでも100件以上を数えている。
リチウムイオン電池の仕様を策定するメーカーは、顧客の安全や自らの社会的地位を確保するために、数々の取り組みを行なってきた。そしていくつかのメーカーは、より安全な電池となるような設計標準および製造標準を策定した。それらのメーカーの1つである米マイクロパワー(Micro Power)社は、リチウムイオン電池の設計および製造における規定を体系化し、「SecuraPack」と名づけた。SecuraPackは、認定されたメーカーが製造した、高品質のセルを使用し、また入荷の際にはサンプルテストを行う。バッテリーパックの筐体は、超音波で溶接する。製品は細部まで検査可能で、規定温度範囲での正常動作のための設計は確実に行ない、さらに携帯型計算機器用2次電池の規格IEEE 1625-2004規格にも準拠している。それに加えて、バッテリーシステム設計や製造プロセスに関する故障モードや故障解析も実施している。
さらなる安全保護の手法として、周辺機器認証チップが挙げられる。米Maxim社の子会社である米Dallas Semiconductor社や米Texas Instruments社などが製品を販売している。これらのデバイスを用いれば、システムはバッテリーを含むリムーバル・デバイスへの認証処理を行なうことができる。さらに電子機器が、自社製品を使用するメーカーに対して、安全基準を満たしていることの認証も行なっている。
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