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signalintegrity
2005年6月号
もっとマージンのテストを

 高速シリアルリンクにおけるプロービングの難しさに関する私の最近の記事(“理想的なプローブの実現方法”, EDN Japan 2005年2月号参照)を読んだ私の友人のJP Miller*1)氏が電話をかけてきた。まったく同感だという。すなわち、彼も同じ問題について悩まされてきたということだ。その問題とは、いかにして信頼性の高い高速シリアルリンクやバスを開発し、いかにしてそれを試験するか、である。チップテストに関して彼の興味をそそっているのは一体何なのか。
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 すべてはまさに1つの簡単な質問から始まった。「システムの設計、構築がきちんとなされ、実際にちゃんと動作し続けるかどうか判断するにはどうすればいいか?」。この話を聞くと、ノイズがインターフェース間を電気的クロストークやグラウンド・バウンス、およびある種のソフトウエア干渉を通じて、どのように伝搬するかという話を思い出さざるを得ない。私の経験からすると、あるリンクをほかと切り離した形でテストしただけでは決して十分とは言えない。ほかのノイズ源と組み合わせた形でのテストが不可欠だ。
 ノイズの発生源とノイズに敏感な部分とのアイソレーションはどうすればよいだろうか。実現できればロバストなシステムの設計が可能になる。
 実現のための3つのポイントをここで紹介したい。第1のポイント。各チップは、チップ内部の状態に関する有用な記録を蓄積できること。この記録には、観測されたエラー、補正されたエラー、およびさまざまなフィルタによって分類されたエラーの数が含まれる。これらをカウントするためには、チップが誤り検出機能を備えていることが前提となる。開発段階でのテストで、これらのエラーカウントを正確に開始/ 停止できれば、システムのほかの場所で起きる非同期な現象とエラーとの間に相関を見いだすことが可能である。
 第2のポイント。エラーは観測可能なインターフェースに出力され、その表示方式はレジスタ制御で柔軟に設定できること。エラーが発生したときにオシロスコープをトリガーするための、リアルタイムな誤り検出ピンを搭載しておく。エラーの補正システムを一時的にストップさせ、ソフトウエアがリンクの動作をより明確に観測できるようにする。一般に、チップの構成が明らかであれば、プロトコル・スタックの底に隠れた層の直接制御も可能である。リンクテストを容易にするためには、すべてのチップに特別なテスト・パターンを搭載し、最も悪条件となる隣接チャンネル・ノイズに直面したときに、レシーバ・テストを行うことができるようにすればよい。
 第3のポイントは、すべてのリンクにオンチップ・ストレステスト機能を備えておくことである。簡単なレジスタ構造を用いれば、テスト1、テスト2、テスト3を順次実行することができる。モニターを行うソフトウエアは、これらのテストが行われたことと、その数値的な結果のみ把握すればよい。
 ストレステストの方法としては、レシーバの閾(しきい)値を変えてみたり、内部クロックにスキューをかけたりする方法がある。システムでエラーが発生するまでストレス・レベルを上げていき、正常動作できるストレスの最大レベルを記録するのである。
 私はストレステストという手法を好ましく思っている。単なるOK/NGのテストでは、崖から落ちたことを示すだけである。ストレステストは、いま崖っ縁にどれだけ近いかを明らかにできる。
 簡単なストレステストでも有用な結果を得ることができる。そう、個人的な経験から知っていることを一つ紹介しておこう。私の倉庫の屋根の下に5.4GHzの無線インターネット接続用パラボラアンテナがあり、アクセスポイントに真っすぐ向いている。設置を担当したサービス業者のLarry氏よると、それは晴天の日には400のマージンがあるが、少々雪が降っているときにはわずか150になってしまうという。一般的におよそ100が最小であるらしい。だれもマージンの単位は教えてくれないが、このテストは、屋根が部分的にアンテナを雪や氷から遮蔽し、それらの影響を軽減してくれていることを示している。
 まさにこの点が重要である。簡単なマージンのテストから非常に有効な結果を得られることがある。Larry氏の店の従業員にできることなのだから、われわれデジタル屋も同じこつを学ぶことができるはずだ。
 (Howard Johnson*2)

用語解説 / 会社情報
*1)
JP Miller氏は、米Hewlett Packard社のアドバンスドシステムズアーキテクチャに従事している。連絡先はjp.miller@hp.com
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*2)
Howard Johnson氏は「High-Speed Digital Design」と「High-Speed Signal Propagation」の著者。Oxford大学などで、デジタル・エンジニアを対象にしたテクニカル・ワークショップを頻繁に開催している。ご意見は次の電子メールアドレスまで。www.sigcon.comまたはhowie03@sigcon.comまで。

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