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2005年5月号
インターリーブ型フォワード・
コンバータの動作を解析する


インターリーブ型フォワード・コンバータは、コンデンサ・リップル電流を減少させ、部品コストを削減し、低電圧大電流出力の電圧レギュレーションモデルにおける信頼性を向上させるといった利点がある。その理由と理論、そして設計上の注意すべき点などを確認してみよう。

Michael O'Loughlin Michael O'Loughlin 米Texas Instruments社
 最新世代コンピュータのCPUに電力を供給しているVRM*は、これまで多相のインターリーブ型バックコンバータを使用してきた。ここで利用されるVRMは、「Pentium4」や「Athlon」といったCPUが要求する厳しい電圧レギュレーションや電圧トランジションの要件を満たさなければならない。そして多層のインターリーブ型バックコンバータは、従来の標準的なバックコンバータに比べ、入力コンデンサの実効(rms)電流と、出力コンデンサのリップル電流の低減や、より小さい出力コンデンサバンクといった利点がある。つまり、インターリーブ型のステップダウン・コンバータは、Pentium4やAthlonといった低電圧、大電流アプリケーションにとって理想的である、というのが使用される理由だ。2つのフォワード・コンバータをインターリーブすることによって、IFC*は一対のバックコンバータをインターリーブすることで得られる利点と同等の結果を実現している。IFCの使用は中間バスや商用電源などの大電流アプリケーションにおいて、標準型フォワード・コンバータよりも利点が多い。
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従来のフォワード・コンバータの場合

 従来のフォワード・コンバータでは不連続な入力電流を示しており、そのため入力コンデンサ(CIN)がそれをフィルタリングしなければならない(図1)。このフィルタリング用入力コンデンサを使用することにより、コンデンサは大きな入力リップル電流(ICIN)を流すことができる。
 出力リップル電圧(VRIPPLE)の要求を満たすために、出力フィルタ・インダクタ(L1)は出力電流(IOUT)のおよそ25〜30%のインダクタ・リップル電流(L1)となるように調整される。
 出力コンデンサ(COUT)は、インダクタ・リップル電流を除去できるように調整される。出力リップル電圧の要件を満たすために、以下の式により最大ESR*および最小出力容量を求めることができる。通常、ESRの要件はコンデンサの選定に影響を与え、インダクタ・リップル電流を除去するために必要な値以上に大きな容量となる。


デュアルIFCの利点は

 インターリーブ型デュアルフォワード・コンバータは、位相が180度ずれて動作する2つのフォワード・コンバータで構成されている。そのため入力コンデンサの実効電流と出力コンデンサのリップル電流を低減する利点があるのだ(図2)
 それぞれのフォワード・コンバータは不連続な入力電流を示す(例えば(IT1)および(IT2))。コンバータの入力電流はこの2つの不連続な電流の和であるが、2つの電流は位相が180度ずれているため、結果として入力電流は連続しているようになり直流に近づくことになる。入力コンデンサ(CIN)は、入力電流の交流(AC)分のみを取り除かなければならない。2つのコンバータをインターリーブすることにより、必要とする入力静電容量を図3のように大幅に低くすることになる。
 このインターリーブ型コンバータの出力電流(IOUT)は、インダクタ電流の和(I1+I2)からコンデンサ電流(ICOUT)を引いたものだ。このアプリケーションでの出力コンデンサは出力フィルタ・インダクタを通る電流の交流(AC)分を除去しなければならない。しかしながら2つのコンバータは位相が180度ずれて動作するため、インダクタ・リップル電流は互いに打ち消しあうこととなり、結果としてより連続した出力電流を提供する。つまり、出力コンデンサ(COUT)が除去しなくてはならないリップル電流の量は低減されることになる。
 インターリーブ型コンバータの出力静電容量によってインダクタ・リップル電流全体を除去する必要がないことを除いて、出力リップル電流に必要な出力静電容量は単相フォワード・コンバータと同様な大きさとなる。こうして、IFCの出力コンデンサは従来のコンバータで許容されるよりも大きなESRを持つことができる。
 理論的には、IFCの出力インダクタのリップル電流のキャンセルにより、設計者はフィルタ・インダクタの値を小さくすることができる。しかしながら大電流アプリケーションでの合計損失を減らすために、一般に全インダクタンスは従来のフォワード・コンバータと同じ大きさとなる*1)
 デューティサイクルが50%のときにコンデンサ電流の減衰が最大となることを設計者は知っておくべきだ。図4はデューティサイクルが約40%のときの入力、および出力コンデンサの電流の波形を示したものである。デューティサイクルが50%以下であるため、インターリーブ型コンバータの入力電流は従来のコンバータのものよりも連続的ではなく、入力コンデンサの実効電流は増加する。出力インダクタのリップル電流はもはや対称ではなく、コンバータが50%のデューティサイクルで動作しているときであってもキャンセルされていない。この非対称性により、出力コンデンサのリップル電流は増加する。
 以下の式および図5のグラフは、デューティサイクルの変化により入力コンデンサの実効電流(ICIN)がどのように振舞うかを示している。Nはトランスの巻数比だ。デューティサイクルが50%のときに入力コンデンサの実効電流が最小となり、デューティサイクルが25%および75%のときに最大となるということに注意してほしい。それでも実効電流は、従来のフォワード・コンバータでデューティサイクルが25%および75%のときに比べると半分未満である。
 デューティサイクル(D)が0.5以下のときの入力コンデンサの実効電流は:


デューティサイクルが0.5より大きいときの入力コンデンサの実効電流は:

となる。
 以下の式と図6のグラフは、出力コンデンサのリップル電流とインダクタ電流の比がデューティサイクルによってどのように変化するかを示している。図6はデューティサイクルが50%のときに、インダクタのリップル電流のキャンセルが最大となることを示している。


IFC設計で考慮すべきこと


  フィルタのコンデンサ電流を最も少なくするIFCを設計するには、デューティサイクルの範囲を正しく選択することが必要だ。この目的を達成するには、設計の入力、および出力電圧の要件にしたがってトランスの巻数比Nを調整すればよい。以下の式により、巻数比Nを求めることができる。ここで、VIN(MIN)は最小入力電圧、DMAXは選択された最大デューティサイクルである。DVは出力ダイオードの順方向電圧降下を表している。

 最大デューティサイクルとトランスの巻数比Nを決定すると、最小デューティサイクル(DMIN)を計算することができる。この情報と図5、および図6のグラフから、この設計で考えられる最低のフィルタコンデンサ電流を決定することができる



IFCの具体的な設計例


 インターリーブ型PWM*コントローラ「UCC28221」を使って構成したデュアルIFCを用いて、コンデンサ・リップル電流がデューティサイクルによりどれだけ変化するかを実際に示してみよう。200Wのコンバータは、36V〜76Vの入力電力および直流12Vのレギュレータ出力を想定している。入力電圧での2:1の変動は、デューティサイクルでおよそ2:1の変動となる。トランスのリセットを最適化しコンデンサ電流を低減するために、この設計では最大デューティサイクル0.6を使用する。
 磁性体のサイズを最小にするために、各コンバータは500kHzのスイッチング周波数(fS)で設計されている。出力のショットキー・ダイオードの順方向電圧降下(DV)はおよそ0.3Vである。これらのパラメータにより、巻数比は1.75:1、最小デューティサイクルは0.28となる。
 フォワード・コンバータのピーク入力電流を抑えるために、出力インダクタは60%のリップル電流で設計され、その結果フィルタ・インダクタはおよそ3.5μHとなる。このインダクタンスは、インダクタ・リップル電流が最大負荷電流のおよそ30%であるシングルスイッチ・フォワード・コンバータのものとほぼ同じである。

 この設計での出力コンデンサ最大リップル電圧(VRIPPLE)の仕様は200mVである。出力コンデンサのリップル電流は、パワーコンバータが最小デューティサイクル0.28で動作している時に最大となる。出力静電容量は、出力リップル要件を満たすようにこのリップル電流を除去することが必要だ。図6のグラフは、出力コンデンサのリップル電流がフィルタ・インダクタのリップル電流のおよそ60%であることを示しており、その結果として出力コンデンサのリップル電流はおよそ3Aとなる。この設計では、出力電圧要件を満たすためにESRは66mΩ未満でなければならない。

 同じスイッチング周波数と電力レベルで動作する従来のフォワード・コンバータの出力コンデンサでは、最大許容ESRはおよそ40mΩとなるだろう。インターリーブ型コンバータでは、1.7倍の大きさのESRを持つ出力コンデンサを使用することができるということになる。改善効果は設計の要件次第である。コンバータが最小デューティサイクル0.4で設計されると、同じ電力レベルで出力リップル要件の設計に対する最大許容ESRは120mΩとなり、これは標準型フォワード・コンバータでの出力コンデンサの許容ESRの3倍ということになる。


 このインターリーブ型コンバータでの出力コンデンサの実効電流はおよそ1.74Aとなり、標準型フォワード・コンバータの場合のおよそ60%ということになる。
 入力コンデンサの実効電流はおよそ28%のデューティサイクルのときに最大となる。入力コンデンサの最大実効電流はおよそ2.4A、それに対して同じ電力レベルで設計された従来のフォワード・コンバータでは、入力コンデンサの実効電流はおよそ4.7Aである。従ってインターリーブ型コンバータを使用することにより、入力コンデンサの実効電流を約半分に減らすことができる。
 掲載したオシロスコープ波形は、デューティサイクルによりリップル電流のキャンセルがどのように変化するかを示している。図7は、50%のデューティサイクルで動作するパワーコンバータの結果を示している。2つの出力インダクタ電流の和(IL1+IL2))はほとんど直流であり、その結果出力コンデンサ・リップル電流がほとんどなくなっている。
 図8のオシロスコープ波形は、およそ76Vの最大入力電圧で動作しているコンバータの結果を示している。出力12Vに正しく調整するためには、およそ28%のデューティサイクルが必要である。この波形は、インダクタ電流の合計が出力コンデンサにより取り除かれる必要がある3Ap-pのリップル電流を含んでいることを示している。このピーク・トゥ・ピークのコンデンサ・リップル電流は、インダクタ・リップル電流のおよそ60%である。
 デュアルIFCは大電流および高電力密度設計の両方に有用であり、それは中間バスコンバータや商用電源アプリケーションにとって理想的なものだ。
 なぜならば、低減された入力、および出力コンデンサ・リップル電流は、入力および出力コンデンサにかかる電気的な負担を軽減させるからである。インターリーブ型コンバータのリップル電流のキャンセルにより、出力コンデンサのESRがより大きなものでよいということになり、それによってコンバータの出力コンデンサの要件を軽減することになるのだ。




用語解説 / 会社情報
【VRM】
voltage-regulation modules
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【IFC】
interleaved forward converters
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【ESR】
equivalent series resistance
等価直列抵抗
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*1)参考文献
Chen, Sophie, "Using the TPS40090EVM-001, User's Guide," Texas Instruments Literature No. SLUU175, p.9
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【PWM】
pluse-width-modulator
パルス幅変調
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*2)参考文献
Shafer, Brian, "Interleaving Contributes Unique Benefits to Forward Converters and Flyback Converters," Texas Instruments Power Supply Design Seminar, Topic 4, SEM 1600.
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【Michael O'Loughlin*】
Michael O'Loughlin氏は、米Texas Instruments社のカスタマアプリケーション・エンジニアであり、PSCP(power-supply-control products)の顧客サポートを担当している。米Massachusetts大学Lowell校で電気工学の学位を取得しており、趣味はセーリングとマウンテンバイクだ。
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