風力タービンの最大の問題は電力の品質
風力タービン発電機の高電流、低電圧出力は、通常中電圧送電網とインターフェースを取る変圧器と接続される。典型的な3MW級風力タービンの設置費用が450万米ドル程度であるのに対して、高電圧変圧器にかかる費用は、約150万米ドルもかかるため、電力事業者は一般に風力発電プラントへのみ高電圧送電網と接続させている。しかし、ナショナル・グリッド(国の高圧送電網)への接続は、電圧および周波数の安定性、無効電力の供給安定性、および故障時の即応性などをはじめとした国のグリッド・コード(送電網規格)に適合していなければならない。
Chinook Windの風力発電コンサルタント会社の技師長John Vanden Bosche氏は、相互接続規格と故障回復能力や無効電力の供給能力のような送電網信頼性は、現在、電力事業者の大きな問題となっていると述べている。これらの問題は、タービンが1つでも故障すると、送電能力を弱めたり送電を停止させたりするという連鎖的な効果を引き起こすため、設備が大規模になればなるほど大きくなる。彼は標準的なDFIG(Doubly Fed Induction Generator:二重供給誘導発電機)の場合、フィードバックループは発電機の出力電力の約40%しか処理できないにもかかわらず、電力のサージから電子回路を保護する必要性は、電力用半導体の節約のメリットを帳消しにしてしまっていると説明する。故障条件の下では、クローバー(かなてこ)保護回路がローターを数msで短絡させて、一般的な誘導機器を形成する。この動作はシステムの不安定性を引き起こし、同時に主回路のブレーカを起動させ、タービンをシャットダウンさせる可能性がある。
このシーケンスがタービンに関連した障害から送電網を保護するとしても、タービンが瞬時にオフラインとなるため、送電網障害からの回復には何の役にも立たないことを意味している。
このような偶然の事故に対処するために、ドイツの送電網事業者であるE.ON Energie社は、米国風力エネルギー協会(American Wind Energy Association)や米連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission)のような機関が、国の環境のために検討しているのと類似した一連の送電網安定化標準を作成した。また別の動きとして、国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)では送電網に接続する風力タービン発電機の電力品質を測定し、評価するための統一的な方法を規定するIEC 61400-21規格を作成している。一方、英マンチェスター科学技術大学(UMIST: University of Manchester's Institute of Science and Technology)のような研究機関でも、電力品質問題に関する多くの研究が行われている。これらの問題は、今後、風力発電がエネルギー供給に大きな役割を果たすようになるに連れてますます重要性を増すだろう。
このように関心が高まってきた結果として、独Enercon社、スペインのGamesa社、および米GE Energy社といった企業から供給されている最近の風力タービンの多くは、電圧や周波数の変動に耐えられるように、また一時的に短絡状態が発生しても電力の発生を安定して継続できるように設計されている。
|
| ▲本文へ戻る |