 |
 |
 |
 |
|
2005年1月号
|
 |
差動回路のリターン電流の通り道
|
 |
 |
今回は差動アーキテクチャーにおけるリターン電流について考察する。
差動アーキテクチャーでは、信号電流はもう一方の配線を戻ると思って、リターン電流の問題を無視してしまう傾向がある。時として、この仮定は有用な心理的イメージを与えるかもしれないが、それは真実ではない。差動構成においても、電流は各信号線直下のプレーン上を、あたかも2つの独立に配線されたシングルエンド信号であるかのように、別々に流れることがある(実際には、差動配線間の距離がプレーンまでの距離よりも近ければプレーンの影響はあまりない。問題になるのは線間距離が広がったときである)。図1はこの点をよく分かるように図解したものだ。
差動信号において、エッジ結合ストリップ線路対を用いて、点Aでプリント配線板の内部配線層であるレイヤー3に信号入力する場合を考えてみる。レイヤー2(ピンク色の部分)は差動ペアの2つの信号それぞれに付随したリターン電流を流す。レイヤー2が、たまたま電源プレーンであるならば、電源プレーンのすべての雑音が同相モード(コモンモード)信号として信号配線上に重畳されることを除けば、多くの場合動作は問題ない。もし受信回路の同相モード除去性能が十分であれば、回路はきちんと動作する。
点Bで、信号配線は表面にあるSMA(Sub-Miniature version A)コネクターと接続するために相互に離れていく。配線が離れていくことによって、2つの完全に独立したシングルエンド信号が生成されることになる。明らかに、各信号に伴うリターン電流は、ピンク色で示す電源プレーンの下面を別々に流れ、行き先がどこであろうとも、ぴったりと配線に沿って流れる。
SMAコネクターの位置CおよびDでは、SMAを流れる信号のリターン電流は、コネクターのグラウンドピンから4つのビアホールを経由してグラウンドプレーンに流れる。ここで明らかに、SMAコネクターの近くのどこかで信号の基準面が変わっている。すなわち、リターン信号電流は、信号配線近傍のピンク色の電源プレーンから、コネクター近傍の青色のグラウンドプレーンに移っている。どうやって移るのか。それは、あなたと同様に私にも分からない。なぜなら、コネクターの位置近くの両プレーン間には特に意図して接続がなされていないからである。リターン信号電流は、多分、両プレーン間の適当な接続点を探して、SMAコネクターからはるか遠くへ離れていく。結局はどこかのバイパスコンデンサーを通って流れるか、あるいは、十分遠くまで広がって両プレーン間の寄生容量を通って流れるのであろう。リターン電流のパスがそのように広がっていくと、ちょうど信号自身を同じく遠回りの経路を通したのと同じように、信号が劣化する。2.5Gビット/秒のXAUI(10 Gigabit Attachment Unit Interface)回路では、このようにレイアウトすると、受信側でのアイパターンは、ひどい波形になってしまうのである。
この問題を解決するには以下のようにする。もしレイヤー2がほかの理由から電源レイヤーでなければならない場合には、SMAコネクター周辺の電源レイヤー部分を削り取る。
削る部分は、両SMAコネクターの下の領域が全グラウンドピンと点Bも含めて入るように十分大きくする。そして、この領域をグラウンドパターンで埋める。さらに、このレイヤー上の電源およびグラウンド領域の間の隙間を小さくする。その隙間は、6ミル(約0.152mm)あるいは最小のエアギャップでもよい。信号配線が電源領域とグラウンド領域の境界をまたぐ点では、2本の差動配線は間隔を近づけたままで通過させる。XAUIの場合は、間隔を12ミル(約0.3mm)以内にすれば多分十分である。
差動配線がレイヤー2上の電源とグラウンドの隙間をまたぐときは、リターン信号電流はわずかのUターンを行う*1)。電源領域とグラウンド領域の間の隙間が小さくかつ、その点において差動配線が相互に近接している限り、その回路は問題なく動作する。
ひとたびグラウンド基準領域に入り込めば、レイヤー2のグラウンド領域は通常のようにSMAコネクターのグラウンド端子に接続すればよい。
(Howard Johnson*2)) |
|
 |
| |
|
 |