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designideas
2004年10月号
高精度オペアンプが不要な高精度ピーク検出器

ジム・マクルーカス 米コロラド州在住
Jim McLucas  
 ピーク電圧検出器は通常、数個のオペアンプICとその周辺に配置する部品、ダイオード、コンデンサーなどを使って構成する。この構成では、周波数が数kHzまでの入力信号に対してピーク電圧を検出可能だ。ただし、高いピーク検出精度を確保するためには、高精度のオペアンプICを採用する必要がある。スルー・レートが高く、周波数帯域が数10M〜数100MHzにまで広がっているようなオペアンプICである。
 こうした高精度オペアンプICを使用しないと、ピーク電圧の検出精度が大幅に低下してしまう。実際にオペアンプICに要求される性能は、ピーク検出器に入力する信号の周波数範囲と電圧範囲によって決まる*1)
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 図1の回路は、スルー・レートの高いオペアンプICを使わずに構成した高精度のピーク検出器である。高精度オペアンプICの代わりに、中速度動作の安価なコンパレーター(比較器)IC「LM306」(IC1)を採用した。ピーク検出回路を構成する部品コストは3.5米ドル程度で済む。ピーク検出可能な信号の周波数範囲は広く、精度も高い。
 図1において、点線で囲んだ部分はFET(Q1)のソース・フォロワー回路を使った高入力インピーダンス・バッファーである*2)。コンパレーターICへの入力バッファーとして機能する。オペアンプIC(IC2D)は、コンパレーターICに印加される直流電圧(ダイオードD1と抵抗R3の接点の電圧)が、FETのゲート電極にかかる直流電圧に数mVの誤差で等しくなるように設定する役割を担う。
 交流入力の信号源の出力インピーダンスが約150Ωよりも低い場合には、この入力バッファーは省略してもよい。ただし入力バッファーを設けておかないと、信号源の出力インピーダンスが増加するのに従って、ピーク検出の精度は低下してしまう。
 ピーク検出は、コンパレーターIC(IC1)の出力でコンデンサー(C3)を充電し、ピーク電圧を保持することで実現する。IC1はピーク電圧が500m〜4V程度で、周波数が25Hz〜1MHzを超える程度の交流入力信号に対応可能だ。このIC1には数mVのヒステリシスを持たせてある。コンパレーターICのスイッチングに要する時間を短縮するとともに、入力電圧がコンパレーターICの線形動作範囲内のときの発振を防止できる。
 コンパレーターICの正入力端子(2番ピン)の電圧が負入力端子(3番ピン)の電圧よりも高くなると、コンパレーターICの出力論理が高レベルに変化し、C3を充電し始める。コンデンサーの正極端子の電圧が正入力端子の電圧より数mV高くなると充電は止まる。この動作によって、コンデンサーC3の正極端子の電圧が、ピーク検出器に入力される交流信号のピーク電圧値にほぼ等しくなるわけだ。
 コンパレーターICの出力は、ショットキー・ダイオードのD2およびD3を介してコンデンサーC3に結合させてある。オペアンプICのIC2Aの出力(7番ピン)をD2とD3の接点に帰還させることで、D3がオフ状態のときにD3にかかるバイアス電圧を0Vに設定し、逆方向リーク電流の発生を防ぐ*3)。またこの帰還経路は、コンパレーターICの出力論理が低レベルに変化した場合に、D2に逆バイアス電圧を印加する役割も果たす。
 IC2AJFET*入力のオペアンプICである。入力バイアス電流が小さいためC3が放電してしまうことがない。IC2CはコンパレーターICの負入力端子へのバッファーとして機能する。IC2Aと同様に、C3の放電を防ぐために挿入した。10MΩの抵抗R11は、ピーク検出器への信号入力が止まったときにC3を放電させるために接続してある。IC2Bの直流出力電圧を信号入力の停止後2〜3秒で、無視できる大きさまで低下させられる。
 R13とC6はRCフィルターを構成する。コンパレーターICによって生じた雑音をほとんど除去できる。R14によって直流出力電圧は少し低下する。このため、可変抵抗R15を使って直流出力電圧を約±2%の範囲で調整可能だ。
 最も高い精度でピーク検出を行うためには、まずR15を調整して利得を最低値に設定する。調整用の信号として、電圧振幅が500mVで周波数が10kHzの信号をピーク検出器に入力する。この状態で、直流出力電圧の値が500mVになるようにR9を調整する。続いて、調整用信号の電圧振幅を4Vに高める。周波数は10kHzのままでよい。この状態でR15を調整し、直流出力電圧の値を4.010Vに設定する。ここで調整用信号の電圧振幅を500mVに戻し、直流出力電圧の値を確認する。必要に応じてこの2つの調整を繰り返せばよい。
 調整用信号として高精度の交流信号を用意できない場合には、高精度の直流信号源と高入力インピーダンスの電圧計を使って、ピーク検出器の校正を実施できる。まず、交流入力に500mVの直流電圧を印加し、R9を調整してIC2Bの正入力端子(10番ピン)の電圧を499mVに設定する。次に4Vの直流電圧を印加し、IC2Bの出力端子(8番ピン)の電圧が3.980VになるようにR15を調整すればよい。
 今回採用したコンパレーターICに入力できる電圧の最大値(絶対最大定格)は±7Vである。従って実際には、入力可能な最大ピーク電圧は5V程度である。ピーク電圧の検出精度は、入力するピーク電圧が4Vを超えると低下してしまう。また、交流の入力信号に直流オフセット電圧が重畳されている場合には、ピーク電圧が最大でも約5Vを超えないように注意する必要がある。直流オフセット電圧によってコンパレーターICに過大な電圧が印加されてしまわないように、入力信号の直流成分を取り除くためのコンデンサーを挿入したほうがよいだろう。
 表1は今回のピーク検出回路を実際に作製し、測定した結果である。なお、図1の回路からR9とR10、R14、R15、R16を取り除いても、ある程度のピーク検出精度を確保できる。

用語解説 / 会社情報
*1)参考文献
Simpson, Chester, "Fast amplifiers simplify ac measurement," EDN, May 9, 1996, p.100.
http://www.reed-electronics.com/ednmag/archives/1996/050996/10di6.htm
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*2)参考文献
Williams, Jim, A Designer's Guide to Innovative Linear Circuits, Volume II, Cahners Publishing, 1987.
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*3)参考文献
Graeme, Jerald, "Peak detector advances increase measurement accuracy, bandwidth," EDN, Sept 5, 1974, p.73.
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【JFET】
junction field effect transistor
接合型電界効果トランジスタ
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