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designideas
2004年8月号
疑似共振型コンバーターをCMOS ICで制御する

フランセスク・カサネラス スペイン在住
Francesc Casanellas  
 図1はフライバック型電圧コンバーター回路である。取り扱いが簡単なCMOS ICを使って、スイッチング素子であるMOS FET(Q3)を制御する。CMOS ICは、シュミット・トリガー入力のNANDゲートを4回路搭載したIC(4093)である。
 コンバーター回路のEMI*は主に、電流スイッチングによって発生する。出力ダイオードの逆回復(リカバリー)現象によって変化速度(di/dt)の高い電流が生じてしまう。このため図1の回路では、疑似共振型スイッチングを採用した。スイッチング素子の出力電圧がほぼゼロのときに電流をゆっくりスイッチさせるため、EMIを低く抑えられる。
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 図1の回路は電流不連続モードと電流連続モードの境界で動作する。Q3のドレイン電圧が最も低くなるときに電流をスイッチングする。コンバーター回路が動作し始めると、非絶縁の補助巻線がダイオード(D3)を介して4093の入力の論理レベルを高レベルに保つ。こうしてMOS FETがオンすると、Q5のベースが導通し始めるまで1次側コイルの電流が直線的に増加し続ける。Q5のベースが導通するとMOS FETがオフしてフライバック動作が始まる。つまり2次側コイルに電流が発生し、出力コンデンサー(C7)を充電し始める。
 2次側コイルに電流が流れている間は、D5とR6によってQ5は導通状態に保たれる。Q5が導通しているためMOS FETはオフ状態を維持する。2次側コイルからエネルギーがすべて放出されるとD5が導通しなくなり、出力ダイオード(D6)も導通しなくなる。このため出力ダイオードの逆回復による雑音が発生しない。
 Q5が導通しなくなっても、R5とC5からなる遅延回路によって、MOS FETはしばらくオフ状態を維持する。MOS FETの出力静電容量と1次側コイルの寄生容量は、1次側コイルのインダクタンスと共振し、1次側コイルへの印加電圧が低下する。R5とC5による遅延時間が存在するため、電圧が最小値に達したところでMOS FETが再びオンする仕組みである。
 こうした疑似共振型スイッチングを採用すれば、EMIを低減するだけでなくスイッチング損失を最小化することも可能だ。なお、スイッチング素子であるMOS FETは電流が流れていないときにオンするので、ゲートに接続する抵抗値は大きくできる。抵抗値を大きくしておけば、MOS FETがオンしたときに寄生容量への充電速度を抑えられる。その結果、スイッチングによって生じる雑音をさらに軽減できるだろう。
 Q4とその周辺に配置した部品からなる回路はオプションである。MOS FETがオンするときに発生する電流グリッチを抑える役割を果たす。抵抗とコンデンサーで構成するRC遅延回路よりも効果が高い。低負荷時のデューティ比を低く設定できる。ほとんどの電源回路で利用可能だ。今回、2次側の電圧安定化にはシャント・レギュレーター「TL431」を使った。フォトカプラに流れる電流はシャント電流に重畳される。
 なお図1には、定数を指定していない部品が数多くある。これらの定数は、電源回路の用途に応じて適切な値を選ぶ必要がある。

用語解説 / 会社情報
【EMI】
electromagnetic interference
電磁波妨害
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