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designideas
2004年8月号
電池駆動機器の電源を自動的に遮断する回路

ミゲル・ヒメネス スペインのアルテア・エキポス・ユーロペオス・エレクトロニコス社
Miguel Gimenez Altair-Equipos Europeos Electronicos
 携帯型電子機器において、電池は最も重要な構成部品である。電池の無駄な消耗を防ぐ機能を搭載することが望ましい。図1は、電池からの電源供給を一定時間経過後に自動的に遮断する機能を、低コストかつ簡単に実現した回路である。動作時間を限定したい携帯型機器に利用できる。例えば携帯型テスト端末やギターの調律器、電子玩具などに使える。
 この回路は電池と負荷回路の間に挿入して使う。S1は押し下げ時に導通状態となるモーメンタリー・スイッチ*である。このスイッチを押すと、電池から負荷回路に電力が供給されるようになる。スイッチを離してもこの状態は維持される。もう一度スイッチを押すとこの回路は「スリープ」状態に設定され、電池から負荷回路への電力供給が止まる。スリープ状態に設定するためのスイッチ操作が行われない場合には、あらかじめ設定しておいた時間が経過すると、自動的に電力供給を停止する。このスリープ状態は再度スイッチが押されるまで維持される。
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 IC1とその周辺部品はトグル・フリップフロップ回路として動作する。すなわちS1を押し下げるごとに、出力(10番ピン)の論理レベルを高レベル、低レベルと交互に切り替える。このほか、S1を操作したときに発生する接点の機械的振動(接点バウンス)による誤動作を防止する役割も果たす。このIC1の出力信号でタイマーIC「555」(IC2)を制御する仕組みである。なお、IC1Cはフリップフロップ回路の出力信号をバッファーするために設けたものだ。コンデンサーC1の放電によって発生した電流が、IC2にそのまま流れ込まないように分離する機能を備えている。
 IC2単安定マルチバイブレーター*として機能する。すなわち、t=1.1×RT×CTで求められる時間だけ、出力信号(OUTPUT)ピンの論理レベルを高レベルに保つ。この時間(t)が経過すると、回路全体が自動的にスリープ状態に移行する。つまりIC2の出力論理が低レベル(0V)に遷移して、コンデンサーC5を経由するフィードバック・ループを介してトグル・フリップフロップ回路をオフ状態に設定する。スイッチS1を押したのと同じ動作をするわけだ。なお図1に示した回路定数では、スリープ状態に設定されるまでの時間は約6分である。
 IC2の出力信号がトランジスタQ1を駆動し、Q1の出力がQ2のオン/オフを制御する。Q2は電力供給をオン/オフするためのパス・トランジスタとして機能する。Q2にはpnp型トランジスタを採用した。負荷回路に供給する電力の損失を小さく抑えるためだ。ここで発生する損失はコレクタ・エミッタ間の飽和電圧(VCE(SAT))による損失だけである。その大きさは出力電流が100mAのときに0.2V、すなわち20mWである。
 より大きな電流を負荷回路に供給する場合には、VCE(SAT)がさらに小さいトランジスタを選べばよい。またトランジスタの代わりにMOS FETを用いると、パス・トランジスタが導通していない状態で発生する損失(待機時の損失)や、電池と負荷回路の間の電圧降下を小さく抑えられる可能性がある。
 負荷回路に電力を供給していない状態では、この回路の消費電力は極めて小さい。CMOSゲートICであるIC1だけしか電池のエネルギーを消費しないからである。LED*のD1は電源供給のオン/オフ状態を表示するために取り付けた。このLEDは駆動用トランジスタQ1の電流源側端子(コレクタ)に接続してある。このため、LEDの駆動用に個別の電源を電池から供給する必要がない。
 今回の回路を使えば、マイコンを搭載しない機器においても、動作時間を限定する機能が簡単に実現できる。

用語解説 / 会社情報
【モーメンタリー・スイッチ】
momentary switch
押しボタン型スイッチなどで、ボタンを押し下げている間だけ動作状態を維持するスイッチを指す。自動復帰型スイッチとも呼ぶ。
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【単安定マルチバイブレーター】
mono-stable multi-vibrator
トリガー信号を入力するごとに一定時間幅のパルス信号を出力する回路。
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【LED】
light emitting diode
発光ダイオード
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