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designideas
2004年7月号
広範囲の負電圧から正電圧を得る回路

マイク・ウォン 米インターシル社
Mike Wong Intersil Corp.
 負電圧しか用意されていない回路で、正電圧が必要だとしよう。このような場合、図1の回路を使えば負電圧から正電圧を高い効率で作り出せる。利用するのは標準的な昇圧型DC-DCコンバーターICである。一般に昇圧型コンバーター回路は、入力電圧よりも高い電圧を出力する。図1における出力電圧(VOUT)は5Vで、入力電圧(VIN)の−2〜−12Vよりも高い。従って、この回路の動作も一般的な昇圧型コンバーターと同様だと考えられる。
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 図1では昇圧型DC-DCコンバーターICとして「EL7515」を採用した。コンバーターICの接地端子である1番ピンと2番ピンは、ともに負電圧入力に接続する。この回路の接地電位は負電圧入力より電位が高い。このため、接地電位を通常の昇圧型コンバーター回路における「正電位」の入力電圧として扱える。従って出力電圧VOUTは、VOUT=VFB×(R2/R1)=1.33V×(37.5kΩ/10kΩ)=5Vと求められる。なおここで、VFBはR1の両端に生じる電位差である。
 pnpトランジスタQ1およびQ2は基準電位変換器として機能する。すなわち、接地電位を基準とした5Vの出力電圧VOUTを、負電圧入力を基準としたフィードバック電圧VFBに変換する役割を果たす。このほかトランジスタQ1とQ2には、温度変化や電圧低下による影響を取り除く機能もある。負電圧入力が低下すると、Q1に比べてQ2に流れる電流が大きくなり、Q1とQ2にかかるオフセット電圧の差が大きくなってしまう。出力電圧の安定性を高めるためには、Q1とQ2の動作電流が入力電圧範囲内で同じ程度になるように設計しておく必要がある。
 図2は、負電圧入力が変化したときの正電圧出力を示す。入出力間の最大電位差は、コンバーターICに内蔵されたスイッチング素子(パワーMOS FET)のドレイン・ソース間耐圧(VDS)よりも大きくなってはならない。今回使用したコンバーターICのVDSは18Vである。一方、図1における入出力間の最大電位差は17Vになる。入力電圧の最小値が−12V、出力電圧が5Vであるからだ。従ってVDSに対して1Vのマージンを確保できる。このマージンによって、ダイオードD1による電圧降下と、パワーMOS FETのドレイン電極における電圧スパイクを補償することが可能である。
 図3に、負荷が変化した場合に出力電圧がどの程度変化するかを示した。出力電流(IOUT)の最大値は、入力電圧と出力電圧の比やコンバーターICの電流制限の設定値に依存する。この回路の変換効率を図4に示す。出力電流が200mAのときに80%を超える変換効率を達成できる。

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