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designideas
2004年7月号
PWM制御ICで高電圧からLEDを駆動する

クリストフ・バッソ フランスのオン・セミコンダクター社
Christophe Basso ON Semiconductor France SAS
 LED*に供給する電流(LED電流)を一定に保ちたい場合、幅広い電圧範囲の直流電源でLEDを直接駆動することは難しい。例えば30〜380Vといった電圧範囲である。通常は電圧レギュレーター回路が必要になる。ただし、電圧レギュレーターによってかなりの電力が消費されてしまう。またLEDの駆動に特化した専用ICは数多く存在するものの、比較的低い電圧を昇圧してLEDを駆動するものがほとんどである。高い電源電圧でLEDを駆動する用途には向いていない。
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 そこで、PWMコントローラーICで高電圧入力から定電流を発生させてLEDを駆動するアイデアを紹介しよう。パワーMOS FET(Q1)とコイル(L1)を直列に接続したものに、米オン・セミコンダクター社の電流出力型PWMコントローラーIC「NCP1200A」(IC1)を組み合わせることで実現した(図1)
 採用したPWMコントローラーICは、整流出力を備える高電圧源に直接接続できる。IC自身の電源電圧は入力した高電圧から生成するため、変圧器や外部電源を別に用意する必要はない。コイルとパワーMOS FETの間にLEDを挿入すれば、コスト・パフォーマンスの高いLED駆動回路として機能させられる。
 この回路の動作は次のようになる。まずR3にかかる電圧がVFB/3.3に達するまで、コイルとLEDに流れる電流を増加させる。R3の電圧がVFB/3.3に達すると、パワーMOS FETがオフする。この状態では、磁化電流がフリーホイール・ダイオード(D1)を介してコイルとLEDを巡回し続ける。
 LEDに流れる電流(LED電流)をきれいに保つには、コイルのインダクタンス値を十分大きくしておく。コイルに流れる電流リップルの大きさを許容範囲に抑えるとともに、PWMコントローラーICのオン時間がLEDの応答可能な最短時間(400ns)以下にならないようにするためである。このほか、PWMコントローラーICに内蔵された立ち上がりエッジ・ブランキング回路に対し、LEDのTRR(逆回復時間)に応じた遅延回路を外付けする必要がある。図1では、ICの3番ピンにR2とC1からなるフィルターを設けた。
 R1はフィードバック電圧(VFB)の設定用である。抵抗値はVFBが3.3Vより小さくなるように選択しておく。VFBが3.3V以上になるとVFB/3.3の値が1.0Vを超えてしまう。するとPWMコントローラーICに内蔵した短絡保護回路(ツェナー電圧が1.0Vのツェナー・ダイオード)が動作してしまうからである。図1ではフィードバック電圧が1.7VになるようにR1の値を選択した。このためLED電流のピーク値は1.7/3.3/4.7=110mAとなる。
 図1では、最大380Vと高い直流電圧入力(VIN)を想定している。定常状態におけるPWMコントローラーICのオン時間は、L1とVINの大きさによって決まる。一方でPWMコントローラーがオフしている間の電流の減少量は、L1に印加されるリセット電圧VFTOTALの大きさに依存する。ここでリセット電圧とは、直列接続したLEDの順方向電圧にフリーホイール・ダイオードの順方向電圧を加えたものである。図1では約12Vになる。当然のことながら、リセット電圧の値は使用するLEDの種類によって変化する。特に白色LEDの順方向電圧は1個当たり3V程度と大きいため、注意が必要だ。
 コイルのインダクタンス値は次のようにして求めればよい。まずPWMコントローラーのオフ時間はtOFF=L1(ΔI/VFTOTAL)、オン時間はtON=L1(ΔI/VIN)で与えられる。ここでΔIはL1に流れるリップル電流、VFTOTALは前述のリセット電圧、VINは直流入力電圧である。回路は連続電流モードで動作するため、オン時間とオフ時間を合計した値からPWMコントローラーICのスイッチング周波数が求められる。すなわちスイッチング周波数をfSとすれば、L1(ΔI/VFTOTAL)+L1(ΔI/VIN)=1/fSという式が成り立つ。この式から、L1=(1/fS)[(VFTOTAL×VIN)/(VFTOTAL+VIN)](1/ΔI)と求められる。
 今回PWMコントローラーICとして採用したNCP1200Aは、スイッチング周波数の違いで数品種が用意されている。例えば、スイッチング周波数が60kHzの品種(NCP1200AP60)ではスイッチング周期は16.66μsになる。ここで直流入力電圧を380V、リップル電流を20mAppとすれば、コイルのインダクタンス値L1=16.66μs×11.6V×50A=9.6mHと求められる。
 さらに、このインダクタンス値をPWMコントローラーICのオン時間を求める式に代入すれば、最短オン時間が計算できる。すなわちtON=9.6mH×0.02A/380V=505nsとなる。この結果、最短オン時間がLEDの応答可能な最短時間(400ns)よりも長いことが確認できた。図2は、図1のLED駆動回路を比較的低い直流電圧入力で動作させた場合の信号波形例である。

用語解説 / 会社情報
【LED】
light emitting diode
発光ダイオード
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